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「大切な人」への忘れられない後悔や想いを抱える人に!永野芽郁×大泉洋が涙腺を決壊させる映画『かくかくしかじか』

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「大切な人」への忘れられない後悔や想いを抱える人に!永野芽郁×大泉洋が涙腺を決壊させる映画『かくかくしかじか』

大ヒット漫画「かくかくしかじか」待望の実写化

漫画原作映画は数あれど、現役の人気漫画家の半生――プロへの憧れを抱いていた高校時代から漫画家として成功したリアルタイムの視点まで――を漫画家自身が描き振り返りつつ、自分の人生を変えた「大切な人」との関係を真正面から見つめ直した物語というのは珍しいかもしれない。

「東京タラレバ娘」や「海月姫」など著作が多く実写化されている人気漫画家・東村アキコは、地元・宮崎で漫画家を夢見ながらぐうたら過ごしていた若き日の自分=林明子と、恩師・日高先生との日々を漫画で綴った。そんな自伝的作品を実写化したのが5月16日(金)より公開の映画『かくかくしかじか』であり、東村自身が脚本も手掛けている。

『かくかくしかじか』©表記:©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

漫画家になるという夢を持つ、ぐうたら高校生・明子。人気漫画家を目指していく彼女にはスパルタ絵画教師・日高先生との戦いと青春の記録があった。先生が望んだ二人の未来、明子がついた許されない嘘。ずっと描くことができなかった9年間の日々が明かされる――。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

永野芽郁×大泉洋! 大納得の豪華キャスティング

映画『かくしか』で描かれるのは、若かりし東村が高校時代から通った絵画教室の教師・日高先生との悲喜こもごも、ドッタンバッタンの日々。東村の高校時代~プロ漫画家までを永野芽郁が、日高先生を大泉洋が演じる。この配役も東村自身が熱望し実現したそうだが、まるでお互いの新たな魅力を引き出すような相乗効果を感じさせるあたり、大正解のキャスティングと言えるだろう。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

原作を読了した人ならばご存知のとおりだが、あのスパルタ教師・日高先生が実写化に耐えられるのか? という懸念は、いまや国民的俳優となった大泉の好演によって秒で払拭される。「自分は絵がうまい」と根拠なく自惚れる高校生の明子を叱咤する姿は厳しくも絶妙な可笑しみを湛えていて、日高先生が東村の心にいつまでも在り続けている理由もじんわりと伝わってくる。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

明子の“フツーの高校生らしい”ぽやっとした雰囲気は永野自身の柔らかな魅力が活かされているが、あるシーンでの号泣演技の迫力には思わず胸を締めつけられる。しかし、のちに漫画家として成功した明子が流す涙が物語るように、全力でぶつかり全力で受け止める、そんな大人に出会える人は意外と多くないのだということも、すべてが過ぎ去ってから初めて分かることだったりする。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

見上愛や畑芽育、鈴木仁、神尾楓珠ら若手キャストに眼福!

本作は永野&大泉以外にも、見上愛や畑芽育、鈴木仁、神尾楓珠ら2人を取り巻く人々が良いスパイスになっていて、それぞれの交流によって人物の輪郭が多面的に浮かび上がってくる。もちろん、今をときめく人気若手キャストたちの眼福モノの演技をたっぷり堪能できるのも嬉しいところ。明子が大学で出会う理想の彼氏、神尾楓珠の登場シーンの神々しさなどは思わず目を細める眩しさだ。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

そして東村が「これぞ宮崎人」と称するのが、MEGUMIと大森南朋が演じる明子の両親と、有田哲平が演じる高校時代の美術部顧問。とくに明子の父親の、娘を大いに甘やかしつつその言動に一喜一憂する“保護者あるある”は爆笑必至だ。我が娘を「明子選手!」と謎呼びする天然パパぶりを全力で演じてみせた大森は最高に可笑しいし、劇中のドタバタエピソードを含め「ほぼ実話」だというからまたスゴい。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

モラトリアム全開の“学生時代あるある”に悶絶!

長年絵画教室に通いながら、自分が本当になりたいのは漫画家だと、日高先生になかなか言い出せなかった明子。念願だった美大に通い始めるも友人たちと遊び呆け、キャンバスは真っ白なまま。そんな彼女にとって、日高先生が言い続ける「描け! とにかく描け!!」という言葉は次第に重荷となり、いつしか先生からも教室からも足が遠のいていく。やがて漫画家として順調に活躍していく明子だったが、忙しさにかまけて日高先生とはついに疎遠になってしまう――。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

多くの観客が感情移入する対象は、やはり青春モラトリアム全開の明子だろうか。いわゆる“無敵”状態(a.k.a.井の中の蛙)の高校時代を経て、大人の目から逃れ、本来の目的を忘れ“恋に遊びに大忙し”な大学時代の描写はリアルで、色んな意味で突き刺さるはず。かたや日高先生はデリカシーという概念すらない。あまりの真っ直ぐさが正直ちょっとウザいが不器用な思いやりもあり、その言葉には誰にも忖度しないがゆえの不思議な説得力が乗っかっている。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

かつての後悔や不伝えられなかった想いを抱えている人へ

歳を重ねるうちに私たちは、自然と取捨選択を迫られていく。かつて何かに夢中になった経験がある人、どこかのタイミングでそれを諦めた人、あるいは今も全力で打ち込んでいる人……。そんな私たちに本作は、笑おうが泣こうがこれまでの人生を振り返ることを、全力で肯定してくれる。そして、身近な誰かに対する後悔を抱えていたり、かつての決断に迷いを残している人にも静かに寄り添う。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

これは実際に宮崎で起こった“今”につながる物語だが、過去を振り返り自分の人生を顧みることは決して後退じゃない、前に進むために必要なことなのだと投げかける。お涙頂戴のメロドラマにしなかったところに東村アキコの日高先生への想いの強さを感じるし、彼を偶像化しなかったのは東村の作家としての矜持でもあるだろう。物語の最後には、日高先生の「描け!」という言葉が、少し違って胸に響くはずだ。

『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

映画『かくかくしかじか』は5月16日(金)より全国公開

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