横須賀市 「転出超過」改善の兆し 都心不動産高騰、子育て政策奏功
横須賀市が抱える人口減少の課題で、転入と転出の差による社会増減に改善の兆しが見え始めている。
市がまとめた最新状況によれば、転出超過が全国最多となった2013年は社会減が1587人を記録したが、24年は307人と当時の5分の1まで改善。転入者が横ばいで推移しているため転出超過を克服するまでには至っていないが、ほぼ全ての年齢層で減少幅が抑制されている。中でも「30歳から59歳」とその子ども世代と考えられる「0歳から14歳」のファミリー層は10年間で1060人増え、24年は30人の転入超過に転じているとしている。特に東京23区からの転入者が増加傾向にあり、過去10年間で321人増えている。
要因として、都心の不動産価格の高騰により、値ごろ感のある市内の物件が注目を集めていることがある。横須賀中央エリアで開発が進む新築マンションなどがその受け皿となっており、入居者の46%が市外からの転入者というデータがある。
これに加え、エンタメを通じた都市イメージの発信や新婚世帯に向けた住宅取得の補助制度、中学校給食の実現、小児医療費無償化を18歳までとする政策などにより「住むまち」として選ばれようになったことが挙げられる。
市経営企画部では、「転出に一定の歯止めがかかっている」と分析しており、追い風が吹く中で、子育て世代を意識した環境整備を進める。以前から要望のある雨天や猛暑に対応した屋根付き広場を三笠公園と大矢部弾薬庫跡地に設けるほか、転入のきっかけとなる観光来訪にも注力していく方針を示している。