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「国内トップの価値」国天然記念物指定100周年の生島樹林

赤穂民報

生島樹林の国天然記念物指定100周年を記念して開かれたシンポジウム

 生島樹林が国天然記念物に指定されて100周年を記念したシンポジウムが26日、加里屋中洲の赤穂市民会館であり、有識者らによる講演やパネルディスカッションなどを約80人が聴講した。

 生島樹林は坂越湾に浮かぶ面積約8ヘクタール、周囲1・4キロの無人島の照葉樹林。原始の状態を保つとして、1924年12月9日に国天然記念物に指定された。瀬戸内海国立公園特別保護区にあり、スダジイの群落は兵庫県レッドデータブックAランクに指定されている。1975年以降に植生調査が計9回あり、2002年と21年には植生を維持するために市民ボランティアの手でムベの伐採が行われるなど、貴重な文化財を保全する活動が継続されている。

 シンポジウムは「国天然記念物 生島樹林を守り伝える」と題し、赤穂市教育委員会と「兵庫県みどりのヘリテージマネージャー会」が主催した。

 基調講演で、生島の植生に詳しい服部保・兵庫県立大学名誉教授は「屋久島や奄美大島の樹林に劣らない自然性を有しており、国内トップクラスの価値がある」と希少さを強調。樹木医や緑地保全などの専門家を加えたパネルディスカッションではムベの繁殖以外にもナラ枯れ、鹿による食害といった生島樹林の植生を脅かす問題が指摘され、早期発見と早期対処の重要性や予算の確保、市民ボランティアを育成する必要性が提案された。

 パネリストの一人として出席した赤穂市教委文化財課の荒木幸治係長は「生島は地域のシンボル。10年、20年単位で考えていくべき」と長期的視点で取り組む姿勢を示した。

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