源頼朝など清和源氏に代々継承された兄弟刀が並ぶ 特別展『旧嵯峨御所 大覚寺』東京国立博物館にて開催
開創1150年記念 特別展『旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-』が、2025年1月21日(火)から3月16日(日)まで、東京国立博物館 平成館にて開催される。
本展では、清和源氏に代々継承された「兄弟刀」と伝えられる、大覚寺蔵「太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)」と、北野天満宮蔵「太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉)」(いずれも重要文化財)が、京都以外では初めてそろって展示される。
「太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)」と「太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉)」は、平安時代中期(10世紀)、清和源氏の祖・源経基の嫡男である源満仲が、勅宣により天下守護の太刀を求め、異国からきた刀工が八幡神の加護を受けてつくりあげたと伝えられている。その後は、その時々に起きた霊異譚(れいいたん)によって名を変えながら、所持者を勝利に導く存在として源氏に代々受け継がれた。
大覚寺は、平安時代前期に離宮から寺院となる際に、菅原道真(菅公)が尽力したことが記録に残っている。そのため、境内には菅公を祀る社があり、北野天満宮と長年にわたり交流を続けていることから、このたびの展示が実現したという。
重要文化財「太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)」
源満仲、頼光、義経など、清和源氏に代々受け継がれた「薄緑」および「膝丸」の伝承をもつ太刀。源満仲は平安時代中期の武士で、藤原摂関家と強く結び付いて清和源氏発展の基礎を固めた。長大で力強い刀身に細やかに乱れた刃文を焼入れており、鎌倉時代初期の備前刀の作風が認められる。
重要文化財「太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉)」
源満仲から頼朝に至る源氏の重宝「鬼切丸」および「髭切」の伝承をもつ太刀。鎌倉幕府滅亡に際し新田義貞が手に入れ、さらに義貞を討った斯波高経の手に渡り、その子孫の最上家が継承したと伝わる。刀身は身幅やや狭く中反りの優美な太刀姿を示し、平安時代末期から鎌倉時代の特徴を備えている。
京都西北に位置する嵯峨は、古くより風光明媚な王朝貴族遊覧の地として愛されてきた。平安時代初期、嵯峨天皇(786~842)はこの地に離宮・嵯峨院を造営し、空海(774~835)の勧めで持仏堂に五大明王像(現存せず)を安置。その後、貞観18年(876)に皇女・正子内親王の願いにより寺に改められ、大覚寺が開創された。
本展は、来たる令和8年(2026)に開創1150年を迎えるのに先立ち、優れた寺宝の数々を東京国立博物館で一挙に紹介するもの。なかでも、寺内の中央に位置する宸殿は、元和6年(1620)に後水尾天皇に入内した和子(東福門院)の女御御所を移築したものと伝えられ、内部を飾る襖絵・障子絵などの障壁画は、安土桃山~江戸時代を代表する画家・狩野山楽(1559~1635)の代表作として重要文化財に指定されている。
本展ではこれらのうち120面を超える障壁画のほか、信仰の歴史を物語る歴代天皇の書や、平安時代後期の仏像を代表する明円作「五大明王像」など、密教美術の名品も公開予定。
開創1150年記念 特別展『旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-』は、2025年1月21日(火)から3月16日(日)まで、東京国立博物館 平成館にて開催。前売券はイープラスほかプレイガイドで販売中。