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日本いかにも土産物考~村上宗隆・岡本和真選手も身に着けていた、あの記念メダル編~

さんたつ

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どこの家庭の引き出しにも、1枚や2枚は転がっていそうな土産(みやげ)。それが記念メダルではないだろうか。昭和の時代、観光地には必ずと言っていいほど記念メダルの販売機があった。金色に光るそのメダルは、まるで物語に出てくる金貨のように映り、自分の名前や日付などをガヒョンガヒョンと刻印できる機械とともに、子供たちの心を捉えたものである。

昔ながらの記念メダル販売機と刻印機。ダイヤルを合わせて1字ずつ刻印していく(岐阜『関ケ原ウォーランド』)。
現在はほとんどがこのタイプの販売機になっている。刻印機もデジタル仕様(愛知『中部電力 MIRAI TOWER』)。

記念メダルは、どのような場所で販売されているか?

悲しいかな、多くの子供は成長するにつれ、そうした記念メダルを集める欲を失ってしまう。私自身も大人になってからは、旅先で記念メダルを購入することはほとんどなかった。

10年ほど前、『熱川バナナワニ園』に友人たちと訪れた際、友人の1人が作った記念メダル。その時には私はまだ記念メダルの魅力がわかっていなかった。

しかし、このままいけば土産としての記念メダルそのものが廃れてしまうかもしれない。そう思った私は、各地で記念メダルを見つけた時にはできるだけ入手しよう、と思い始めるようになった。

記念メダルは、どのような場所で販売されているのだろう。まず、城址などの歴史的な観光施設にあることが多い。

岐阜・大垣城のメダル。
名古屋城のメダル。大天守・小天守を備えたつくり。
名古屋城正門近くに2018年にオープンした「金シャチ横丁・義直ゾーン」の土産物店でも、記念メダルを扱っていた。
モデルになった戦国武将は誰だろうか(『関ケ原ウォーランド』)。

新しくできた観光施設に記念メダル販売機が置かれることは少ないが、古くからの観光施設では、昭和の時代から記念メダルが土産物として販売され続けているからだと推測できる。1964年に開園した、戦国武将のコンクリート像が200体以上も設置されている『関ケ原ウォーランド』にも、やはり記念メダルは存在した。

まだある、記念メダルを見つけられるスポット

各地のタワーもまた、記念メダルを容易に見つけられるスポットである。高いところに上った人は、何かしらその記念を残したくなるものなのかもしれない。

東京タワーの土産物店も数年前に新しくなったが、フットタウン3階のオフィシャルショップには記念メダル自販機が設置されている。
東京スカイツリー(R)5階の売店にて。自販機の他、数種類のメダルが土産物として販売されている。
『中部電力 MIRAI TOWER』(旧名古屋テレビ塔)。最近はフルカラーのメダルも多い。

東京スカイツリー(R)は2012年開業と比較的新しいタワーだが、それでも売店には記念メダル販売機がズラリと並び、外国人観光客なども群がっていた。

博物館も記念メダル発掘スポットだ。

『所沢・航空発祥記念館』のメダル。館内に展示されている、日本初の軍用機「会式一号機」がデザインされている。
上野『国立科学博物館』のメダル。ここは種類が豊富なので、行くたびに「どのメダルを持っていたっけ……」となる。

自館の所蔵品などをデザインした土産物を作るにあたり、記念メダルは最適のアイテムなのだろう。近頃では、常設展ばかりではなく、特別展の際にメダルが作られることも多い。

『国立科学博物館』で2022年に開催された特別展「毒」のメダル。毒キノコのデザイン。
土産物の第一人者、みうらじゅん氏の展示「みうらじゅんFES」のグッズ。さすがのツボを抑えたグッズ展開。

こうして集めた金色に光るメダルを眺めていると、まるで自分がお金持ちになったような気分になる。この高揚感をみんなに共有できないものか……と思っていた矢先に、あるニュースが飛び込んできた。

再ブームの期待を抱かせた、とあるニュース

2024年7月23日、プロ野球オールスターゲームがエスコンフィールド(北海道)で開催された。試合前、出場選手が私服でファンの前に登場する「ブルーカーペットショー」が行われたのだが、そこに登場した村上宗隆(ヤクルト)・岡本和真(巨人)の両選手が、首から金に光るお揃いのメダル型ネックレスを下げていたのだ。パッと見、高価なアクセサリーのように見えたそのメダルは、まごうかたなき記念メダルではないか。

ショーの後の村上選手のインタビューで、それが札幌駅直結のJRタワーで購入した記念メダルであることが明らかになった。岡本選手にも同じものをプレゼントしたという。きっと刻印もしたに違いない。両選手とも推定年俸が数億円にも上る一流選手であるが、そうした選手の心をもつかんでしまう記念メダルには、やはり抗いがたい魅力がある。

今回の一件で記念メダルの再ブームが起きるのではないか、というほのかな期待を抱きつつ、私はまだ見ぬ記念メダルを探しに行こうと思う。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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