高部屋地区自治会 炊き出し訓練を実施 自然災害への対応が目的
高部屋公民館まつりが2月15日、16日に行われ、地域団体の模擬店やイベントのほか利用団体の発表などが行われ、防災コーナーとして同地区20自治会の会長や副会長を対象に「災害時炊き出し訓練」が実施された。正午に行われた訓練の後には、出来上がった災害用長期保存食(アルファ米)約100食分が来場者に無料で振舞われた。
昨年8月の台風10号では、市内でも土砂災害が多数発生。国道246号では新善波トンネル出入り口付近(伊勢原側)の土砂崩れで道路が通行止めになり、高部屋地区でも土砂災害が発生した。
20ある同地区自治会の代表で今回の防災コーナーを企画した前場秀雄さんによれば、昨年元旦の能登半島沖地震だけでなく、近年毎年発生する台風などの自然災害への対応が自治会として求められていることから、昨年から炊き出し訓練を実施し、今回で2回目となる。前場さんは「災害現場で食料確保への対応がより迅速に行えるようになるための炊き出し訓練。自治会長は1期2年で交代するので、確認の意味でも毎年訓練は必要」と話す。
15日は災害用の保存食としてドライカレー100食分を用意。10年ほど前からアルファ米を使った炊き出し訓練を独自に実施している同地区石倉自治会の杉本和彦会長が指南役を務め、調理方法などを説明。参加した各自治会長らは皆、真剣な面持ちで作り方を学んでいた。
杉本自治会長は「こうした訓練を機に、住民の皆さんには自治会や市にはこうした備えがあることを知っておいてほしい。災害時に住民の皆さんの分が足りないかもしれないが、少しの量でも食べられれば力になると思う」と備えの必要性を訴える。出来上がったドライカレーが来場者に振舞われると、会場には長蛇の列ができていた。試食した人からは「野菜も入っていて美味しい。災害時に提供されるのはありがたい」と話した。
またこの日2016年に発生した熊本地震を体験した新田自治会の大谷信博自治会長が自身の被災体験を講話。発生時に身体が宙に浮いたことや、自宅の梁が落ち、母親が下敷きになったが消防団に助けられたことなどを語った。前場代表は「皆が自分事にして真剣に取り組んでくれた。各自治会で備蓄などは異なるが、教訓を生かしてもらえれば」と話した。