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中国発アニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』が心を打つ理由――夏川椎菜さん×雨宮天さん×麻倉ももさんが語る青春・友情・スポーツのリアル/インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

5月16日(金)に劇場公開される本格卓球アニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』。卓球大国・中国の新興アニメスタジオ「画枚動画」が製作し、中国国内でWEB配信され注目を集めた全3話のオリジナルアニメを1本にまとめ、日本語吹替版として劇場アニメ化した作品だ。

アニメイトタイムズでは、4人のメインキャラクターの日本語吹替版キャストへのインタビュー企画を実施。今回は、TrySailとしてオープニングテーマも担当する夏川椎菜さん(ジャン・ルオイ役)&雨宮天さん(ワン・ルー役)&麻倉ももさん(リ・シントン役)に、個性豊かな卓球少女たちの魅力や本作の見どころなどについて語ってもらった。

 

 

【写真】劇場アニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』夏川椎菜×雨宮天×麻倉ももが語る青春・友情・スポーツのリアル/インタビュー

卓球を知らない人でも熱くなれる作品

──『卓球少女 -閃光のかなたへ-」(以下、卓球少女)は、2024年7月から中国のBilibili動画などで配信された作品の日本語吹替版です。作品に関する第一印象から教えてください。

ジャン・ルオイ役・夏川椎菜さん(以下、夏川):個人的に卓球というスポーツには、あまり馴染みがなくて。観る前は卓球をどういう風に捉えて描いている作品なのか、すごく気になっていましたが、試合のシーンでは、球の軌道や試合のスピード感がすごくて、ニュース番組などで見たプロの試合のような緊張感も表現されていました。

登場人物たちは、ただのスポーツや部活の範囲を超えて、卓球を人生の自己実現のためのものとして向き合っているし、卓球というスポーツに対する熱量がすごく強い作品だなと思いました。それに加えて、卓球を通して少女たちが心を通わせているシーンもたくさんあるので、卓球を知らない人でも熱くなれる作品だと思いました。

 

 

──卓球に人生を懸けるくらいの熱さと、高校生たちの日常の両方を楽しめる作品ということですね。

夏川:今、人生を懸けているというよりは、過去に人生を懸けていたスポーツに対して、改めて向き合うみたいなお話だと思っています。たぶん、ほとんどの人が、特に大人の場合は、自分の中で何かしらの挫折を感じた経験があると思うんです。そういう経験などを投影しながら観ることもできる映画だなと思いました。

ワン・ルー役・雨宮天さん(以下、雨宮):そういった過去の挫折を踏まえて、今どう生きるかといったことを描きながらも、そこだけを深く描いて重い内容になっているわけではなく、日常シーンもしっかり描かれているんです。しかも、わりと楽しい感じで描かれているので、すごくバランスが良くて。映画だけど、テレビアニメみたいに気軽な気持ちで楽しめる作品だと思いました。

それに、日常のシーンが丁寧に描かれている分、中国と日本の文化の違いを知ることもできるんです。例えば、朝ご飯を食べるシーンでは、肉まんとか、いろいろ並んでいて。そういった文化の違いも見て取れて、興味深いなと思いました。

リ・シントン役・麻倉ももさん(以下、麻倉):私は、卓球を題材にした作品をあまり観たことがなかったし、中国の皆さんの卓球に対する思いについてもあまり詳しくはなかったのですが、中国では卓球が本当に身近な存在のようです。(作中で)街を歩けば、公園の中とかに卓球台があったりするんです。作品を通して、そういった日本との文化の違いを知れたことも、すごく面白いと思いました。

あと、卓球にはたくさん技があって、お互いにいろいろな作戦を考えながら相手のミスを誘発させたりとか、すごく奥深くて面白いスポーツだと知ることもできました。

 

 

──皆さんは、本作の登場人物のように、学生時代、スポーツや部活動などに熱中した経験はありますか?

夏川:スポーツではないんですけど、中学の時に演劇部だったんです。大会とかに本気で取り組む演劇部だったので、大会前の夏休みとかは、毎日学校に通って、ずっと発声練習をしたり、同じシーンを繰り返し練習したりもして。熱さみたいなものは、かなりスポ根的なノリでした。

演劇って団体競技みたいなところもあって、大会で勝てたらすごく嬉しいし、挫折とかもありました。あと、この作品では、卓球を通して少女たちが仲良くなっていくところも描かれますが、私も演劇という共通点をきっかけに、すごく仲良くなることもあったので、そういうところは、すごく共感できました。

雨宮:私も中学で演劇部に入っていたのですが、私の通っていた学校には元々、演劇部がなくて。私が中学3年生の時に初めてできた演劇部だったんです。部員も3年生の4人だけで、後輩もいませんでした。でも、せっかくだから、大会に出て終わりたいよね、ということになり、40分くらいの劇を作ることになったんです。

本当に人がいないから、何もかも自分たちでやらなくちゃいけなくて、すごくチームワークを磨いた経験でした。大会では全然勝てなかったし、何の結果も残らなかったんですけど、すごく大切な気持ちをくれた思い出なんです。いろいろなことに追われていない学生時代だからこそ、本当に熱中してみんなで頑張ったあの感覚は、この作品とも重なるところがあって、懐かしく思いました。

麻倉:私はミュージカル部だったんですけど、特に大会とかは無くて。年に3回、学校の中で発表する場があるだけの部活だったんです。脚本係、歌係、ダンス係とか、いろいろな係を決めて、みんなで一から手作りしていて。プロとかの公演と比べたら、本当に拙いものだったと思うんですけど、好きという気持ちだけで成り立っているような部活でした。

この作品では、卓球に人生を懸けているような子もいますが、その根底には、みんな卓球が好きという気持ちがあるんです。個性もバラバラな子たちが、同じ気持ちで集まっているところからは、胸がキュってなるような懐かしさや熱い気持ちを感じることができました。

 

ルオイは、ギャップのある可愛いキャラ

──ここからは、皆さんが演じている啓明高校1年生の3人の少女について伺いたいと思います。最初は、ジャン・ルオイに関して、演じられた夏川さんから、印象や魅力も含めて、ご紹介していただけますか?

夏川:ジャン・ルオイは、卓球一家に生まれて、小さい頃からずっと卓球だけをやってきたような少女だったんです。でも、ある時、挫折をした経験から、少し卓球と距離を置いて勉強に集中するために、この作品の舞台になる杭州という土地の(啓明)高校に来ました。

台詞の中に「最近(卓球)やってないから、鈍ってて」というセリフもあったりするのに、常に鞄の中に卓球のラケットを持っていたり、ランニングを毎朝やっていたりもして。卓球を避けるような面を見せつつも、卓球のことは好きなままで、卓球をやりたい気持ちを全然隠せていません(笑)。

真の卓球好きなんだな、というところが、すごくたくさん描かれているキャラクターです。一見、クールで陰がある感じに見えたりもするんですけど、全然そんなことはなくて。真っ直ぐに自分の今の状況などを捉えています。あと、方向音痴だったり、甘いものが苦手だったり、少しコミカルな面も描かれています。


 

──雨宮さんと麻倉さんは、ルオイに関して、どのような印象がありますか?

雨宮:最初、この作品のお話を頂いた時、見た目からして、ルオイを演じるのは私かなと思ったんです。すごくクールそうで、色も青色っぽい感じだし、意志が強くて、何かを跳ね返すために歯を食いしばって行くみたいな感じの子だと思ったので。でも、蓋を開けてみたら、動物というか、赤ちゃんみたいな子で。もらったから受け取る、用意されたから食べる、来たから返すみたいな(笑)。

夏川:たしかに、反射で生きてるね(笑)。

雨宮:本当に、全部反射なんだよね(笑)。天然っぽくて、ぽやぽやしたところもあるし、私の勝手なイメージとはギャップがある可愛いキャラでした。

麻倉:私も、最初は、見た目の印象からクールで落ち着いたキャラクターかなと思っていたんですけど、作品が始まってすぐに、可愛らしくて愛せるようなところが出ていて。作品全体を通しても天然という印象が強いです(笑)。最初にワン・ルーと出会った時も、「これは、絶対に怒らせたよ」みたいな行動を取っていて。

夏川:煽ってるみたいだよね(笑)。

麻倉:無自覚煽りみたいなことをしてるよね(笑)。リ・シントン役として傍から見ていても、ハラハラするし、(雨宮さんが言った)赤ちゃんという表現は、すごくしっくり来ました。

──次は、ワン・ルーについて、雨宮さんから紹介していただけますか?

雨宮:ワン・ルーは、いわゆるメガネキャラで、勉強もできる優等生ですが、それでいて卓球も凄い技を披露したりするくらい上手なキャラクターです。少しプライドが高くてツンとしているんですけど、意外といろいろな表情を見せてくれたりもして。アフレコ現場では、結構、ギャーギャー叫ぶシーンとかもあったし、普段の優等生然としている時とのギャップがすごく楽しいキャラクターだなと思いました。

 

 

──夏川さんと麻倉さんは、ワン・ルーにどのような印象がありますか?

夏川:ワン・ルーは、とにかく努力家というか。自分に失敗を許さない完璧主義者みたいなところがあって。周りにも「私は完璧です」と自分でアピールしているし、それを実現できる力もあるので、すごい子だなと思います、その反面、「大丈夫かな? 無理してないかな?」って助けてあげたい気持ちにもなるキャラクターでした。あと、私はルオイを演じているから、ワン・ルーに対しては、「それ、ワン・ルーが聞いたら、絶対にびっくりするよ。反感買っちゃうよ?」って思うような不用意な発言をたくさんしなきゃいけなかったんですけど(笑)。天さんが演じるワン・ルーのリアクションとかがすごく面白くて。ルオイは、天然で思わず言ってるだけだと思うんですけど、私としては、ルオイの身体を借りてワン・ルーにちょっといたずらを言ってるみたいな不思議な感覚を体験しました。

麻倉:私もワン・ルーは、勉強もスポーツもできて完璧なかっこいいキャラクターだなと思っていました。でも、(ライバル校にいる)幼馴染のロン・シャオと絡んでいる時とかには、ちょっと子供っぽい部分とかも出てきてたりして。私たち3人のキャラクターの中でも一番ギャップがあるというか、演じ分けが大変そうだなと思うキャラクターでした。あと、カッコ良いんだけど、ちょっと不憫なところもあって。視聴者としては、そこがまた愛すべきところだなって思えるようなキャラクターでした。

 

 

リ・シントンは、マスコットっぽい子

──続けてリ・シントンについて、麻倉さんから紹介していただけますか?

麻倉:私が演じたリ・シントンは、とにかく卓球が大好きで、プレーはそんなに上手くはないんですけど、卓球愛は誰にも負けない子です。

用語や作戦とか、ラケットなどの道具についてとか、卓球に関しては何でも詳しくて。自分が試合をしているシーンは、あまり無いんですけど、他の選手の試合を観ている皆さんにも分かりやすいように解説するようなシーンもあります。あと、コミュニケーション能力もすごく高くて、マスコットっぽい子だなと思っていました。

 

 

──夏川さんと雨宮さんは、リ・シントンにどのような印象がありますか?

夏川:リ・シントンは、物語を動かしてくれるキャラクターだなと思っていましたね。さっき、天さんに言われてたみたいに、ルオイは、自分からは動かず、目の前に来たものに対してリアクションをするという主人公にあるまじきキャラクターだったので(笑)。

ルオイを卓球部に誘ってくれたのもリ・シントンだし、積極的に街に連れ出してくれたのもリ・シントン。(もう一人のメインキャラクターの)ディン・シャオたちとの絡みも全部、リ・シントンが間に入ってくれていました。

基本、ルオイとシントンは、セットで動いてることが多かったので、右腕とは違うんですけど、何て言うのかな……。お供キャラというか、日常パートの要みたいなキャラクターだなと思っていました。

雨宮:ベビーシッターじゃない?

夏川:たしかに(笑)。 

雨宮:ルオイがぽやぽやしていたり、天然だったりすることを一番早くに理解して、ケアをしてあげるキャラクターなので、ベビーシッターなのかなって(笑)。

それに、私もそうなんですけど、卓球の経験がなかったり、詳しくなかったりする人でも、リ・シントンが熱を上げて説明してくれるから理解ができて、ちょっと卓球を分かった気分になって作品を楽しめる。卓球ベビーな視聴者さんにとっても、ベビーシッターのようなキャラクターなのかなと思います。

──ルオイたちの同級生で、もう一人のメインキャラクターでもあるディン・シャオを演じているのは、皆さんにとっては事務所の先輩でもある戸松遥さんです。ディン・シャオについても印象などを教えてください。

 

 
夏川:ディン・シャオは、4人の中ではトラブルメーカーという感じで、実際に、あまり感情が表に出ないルオイを怒らせたりもするキャラクターなんですけど。初登場の瞬間から、ずっとコミカルかつ、何らかのトラブルを巻き起こしたり、周りの人間の感情を逆撫でしたりする、すごく目が離せないキャラクターです。

あと、この4人の中では、唯一、天才肌と言えるキャラクターなのかなと思っていて。底知れぬ潜在能力を感じさせるところが、すごく特徴的なのかなと思います。それを戸松さんが演じることによって、すごく身近にいる感じがするというか。実際に、ディン・シャオとは会ったことがないはずなのに、「学生時代にこういう子いたな~」と思わされる説得力があるというか。より目が離せないキャラクターになっていると思います。

雨宮:ディン・シャオは、日常パートで輝いてくれているというか。この作品のギャグの幅を広げてくれているなと思います。最初にお話しした挫折とかを描きながら重くなりすぎないというところの軽さを担当してくれている感じがするし、その軽さがワン・ルーに引っかかったりもして、ストーリーを引っ張ったりもしてくれる。

彼女自身は、常に自然体ですが、すごく楽しいキャラクターです。戸松さんのお芝居も振り切っていて、めちゃくちゃおかしくて。ディン・シャオが喋るたびに笑っていました(笑)。絵からすごく生き生きとしているキャラクターなのですが、戸松さんの声が入ると、よりディン・シャオの立体感が増すというか、存在感がすごくあって楽しかったです。

麻倉:元々、この3人も個性豊かだったんですけど、ディン・シャオが加わることによって、最後のピースがはまった感じがして。すごく重要なキャラクターだなと思いました。

アフレコの時、事前に絵もセリフも分かっているはずなのに、戸松さんのお芝居が加わることで、「ここは、こういう声でやるんだ!」みたいな面白さもすごくあって、笑っちゃうところもあったし、すごくコミカルで楽しいキャラクターだと思います。

 

ワン・ルーは、「声が似ているから高くして」とルオイと差別化するディレクションがあった

──アフレコの時、特に意識したことや、印象的なディレクションなどがあれば、教えてください。

夏川:ルオイは、大きく笑ったり怒ったりとかは、あまりしないキャラクターなんですけど、卓球に対する熱は、すごく強くて。卓球に関するワードが出たり、プレーするシーンになったりすると、少し目に光が宿るというか、目がさらに輝いちゃう。そういう印象をすごく受けたので、日常パートの落ち着いた感じと比べて、卓球のシーンでは少しだけ鼻息荒くなっているような感じが出せたらいいなと思って演じました。

ディレクションに関しては、作品の最後の方のシーンで、私が思っていたよりもかなり感情を入れた方が良いというディレクションをいただいたシーンがあって。最終的に、自分が持ってきたもの(芝居)とは、かなり違うものになりました。作品を通して、そこに至るまでのルオイの変化も描かれていると思うので、注目して欲しいなと思います。

 

 
雨宮:ワン・ルーは、ギャップが面白いキャラクターなので、切り替えは大事にしました。例えば、普段は、自分が優秀であるという自負があるので、少しプライド高そうな喋り方にして、ギャグシーンで顔もギャグ顔になった時には、(芝居も)とにかく振り切っています。

でも、原音というか、中国の声優さんのお芝居は、生っぽいというか自然な感じで、そんなに起伏をつけて喋ってはいなかったんです。アフレコ自体、そこまで原音に忠実ではなくても良いので自由にやってください、という形だったので、どちらもクールに見られがちなルオイと差別化するという意味でも、「ここはプライドが高そうに」「ここはギャグ」みたいなシーンごとの色づけは、かなり意識してやりました。

印象的だったディレクションは、最初の方で、「ルオイと声が似ているから高くして」と言われました。最初にルーのギャグな面が出る前は、二人ともクールに見えがちで、声のトーンが近いと、どっちが喋っているのか分かりにくくなっていたんです。「ちょっと可愛くなっても良いので、少し高めに変えてください」と言われたのですが、見た目的に目元とかも涼やかな感じだから、あまり可愛くなり過ぎない方が良いとも思って。そこのバランス感は、けっこう神経を使った部分でした。

 

 
麻倉:リ・シントンは、特に挫折とかを経験した様子もないし、あまりシリアスな場面にいなかったということもあるんですけど、常に卓球への愛でキラキラとして、テンションも高いということを意識して演じました。

リ・シントンは、解説をすることが多かったんですけど、私自身もそうなのですが、卓球に詳しくない人は知らないような単語を言うこともすごく多くて。しかも、短い尺の中で、バーッと言ったりすることもあったので、そういう時には、よりしっかりと伝わるように、その用語を立てて言ってください、というディレクションをいただきました。だから、短い尺の中でも、より丁寧に言うことを心がけました。

──自分も知らない単語などをまるで詳しく知っているように言うのは、難しかったのでは?

麻倉:カタカナで長い用語とかも多かったので、自分の中で馴染ませるのはすごく難しかったです。だから、分からない卓球用語は意味を調べて、台本に注釈みたいな形で書き足しておきました。それで、「これは、こういう技だった」という内容を確認してから、セリフを言うようにしました。

 

いろいろなタイミングの方にも楽しんでいただける内容

──皆さんがTrySailとして歌っているオープニングテーマ「アストライド」に関して、曲の印象やレコーディング時のエピソードなどを教えてください。

夏川:オープニングテーマを制作するにあたって、TrySailサイドから作品サイドに候補の曲を何曲か提示したんです。それぞれ毛色の違う楽曲だったので、どれが選ばれるのか私もすごく楽しみだったんですけど、一番キラキラした王道の青春ソングが選ばれたので、これが作品の描きたい世界なんだなって思いました。

青空の下で仲間と手を繋ぎながら歌っているみたいな曲で、ピアノアレンジしたら合唱曲にもなりそうだし、青春を感じる楽曲に仕上がっていると思います。ただ、レコーディングの時は、爽やかなだけじゃなくて、少し熱苦しいというか、泥臭い青春感みたいなものも表現したいというディレクションをいただき、少しピリッとスパイスが効いた感じにもなったかと思います。

作品自体も、ただ卓球を楽しくやろうねという話ではなく、一度挫折を味わっている人たちが集まって、卓球というものにもう一度向き合ってみる話で、ちょっとピリッとしたスパイスが胸にギュッと刺さるような作品だとも思っているので、すごくぴったりな楽曲になりました。

雨宮:この作品のキービジュアルには、4人と卓球台が描かれているんですけど、その奥に見える青空の印象もすごく強いと思っていて。「アストライド」の最初の歌詞にも「空」という言葉が入っているし、正に青空のイメージで爽やかな楽曲です。レコーディングするにあたって、最初は、作品的に考えても10代の青春の曲で、未熟で何もわからない中、希望を胸に走っていくみたいな曲かなと思っていました。

でも、キャラクターたちは10代だけど歌う我々は大人だし、観てくれる人も、若い人から大人の人まで幅広い世代の方がいるはずだから、最終的には、10代のキラキラふわふわした青春というよりも、地に足をつけた大人の人も共感できる曲になるように歌わせていただきました。なので、歌っている私たちの心にもより近い感じというか、青春のキラキラ感もありながら、どっしりとした重さもある楽曲に仕上がっているはずなので、いろんな方に聴いて欲しいなと思います。

麻倉:私も最初にこの曲を聴いた時の印象は、キラキラ青春という感じで。実際にキラキラした音もたくさん入っていたので、この曲自体、若めの曲だという印象を受けました。だから、自分もそういう方向で作っていったんですけど、当日のディレクションで、もっと私たち大人が表現する青春感みたいなものに寄せていこうということになったんです。

例えば、Aメロのちょっと過去を振り返ってノスタルジーを感じるようなところは、息多めだったり、サビでは熱さみたいなものを出したり。曲の中で、いろいろ幅を付けていくことになったので、そこを意識して歌いました。

 

 

──最後に、このインタビューを読んでくれている読者の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。

麻倉:卓球というスポーツに関しては、あまり馴染みがないという方々もいらっしゃるんじゃないかなと思うのですが、卓球のシーンが映像的にも本当に熱く美しくて。リ・シントンもちゃんと解説してくれるので、卓球初心者の皆さんにも楽しめる作品だと思います。

それに、部活をやっていた人とか、何かに挫折したことがある人とか、たぶん多くの人のどこかに刺さるポイントがある作品だと感じているので、たくさんの方に観ていただけたら嬉しいなと思います。

雨宮:卓球経験のある方は、絶対に楽しんでいただけるというか、何だったら、私たち以上に楽しんでいただけるかもしれません。それくらい試合のシーンにも時間を使っていて、すごく丁寧にすごい迫力で描かれています。だから、もちろん、そこは楽しみにしていただきたいのですが、日常シーンもたくさんあって。日本との違いもたくさん描かれているので、卓球に詳しくない方々にとっても、すごく楽しいポイントがたくさんあるはず。

あと挫折を描くと言えば、結構重い話かなと思いがちなんですけど、それが全然重くは描かれていません。もし、卓球が題材になっていることや挫折を描くところにハードルを感じている人がいたとしたら、それは完全に取り払って、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。

夏川:スポコン的な熱い展開ももちろんありますが、それだけの作品ではなくて。少女たちの中国での暮らしとか、グルメの描写もすごくいっぱいあるし、日常的なパートも本当に充実していて、いろいろな面で楽しめる作品かなと思います。

メインの4人の少女も、挫折を経験している人もいれば、ただただ卓球が好きで真っ直ぐに楽しんでいるキャラクターもいるので、共感できるキャラクターが必ず見つかるのかなと思います。挫折した経験がある人はもちろん、今まさに何かに向かって頑張っている人、未来に向けてちょっとだけ小休止している方とか、いろいろなタイミングの方にも楽しんでいただける内容になっていると思いますので、ぜひオープニングテーマと一緒に楽しんでください。

 
[文・丸本大輔]

 

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