秘密は餡の“味変”に…「具だくさんでスープが絶妙」65年愛されるアツアツ広東麺
HBC テレビで、毎週月~金曜ごご4:50~7:00に放送中の情報ワイド番組「今日ドキッ!」。
北海道のさまざまな話題をご紹介している「今日ドキッ!」から、選りすぐりの情報をお届けします。
新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。
北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探るコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」。
今回は、創業から65年がたつ老舗ラーメン店に注目しました。
岩見沢の人気店がなぜ札幌に?誰もが絶賛する味の秘密
中央区のラーメン店「仙龍(せんりゅう)」
創業して65年がたつ老舗です。
このお店のロングセラーは…
醤油ラーメンに あっつあつのあんかけがかかった「広東メン」 。
創業から提供し続けているメニューです。
お客さん:「お肉もエビもすごい大きいんで、本当に食べ応えもあるし、スープが大好き。本当においしい」
お客さん:「醤油味に塩の餡がかかって、しょっぱずぎず、甘すぎず、絶妙です」
厨房で腕を振るうのは、2代目の三上 博史(みかみ・ひろし)さん。
妻の美幸(みゆき)さんと2人でお店を切り盛りしています。
店主 三上さん:「創業は僕が生まれた年。物心ついた時には、もうラーメン屋でみたいな」
広東麺といえば仙龍!
1950年、札幌味噌ラーメンの元祖と言われる「味の三平」が札幌中心部に開店。
その9年後に博史さんの両親が始めたのが仙龍です。
店主 三上さん:「そこからまもなく母の方が岩見沢に行って。父親が早く亡くなっていますんで、母が割と一人で頑張っていた小さいお店」
オープンから約6年後、仙龍は札幌から岩見沢に移転します。
当時の岩見沢は大学や高校が新たに開校したことから若者が多く集まり、活気にあふれていました。
その後、約60年もの間、岩見沢で営業を続け、岩見沢市内で「広東麺と言えば仙龍」と言われるほど愛され続けてきたお店です。
店主 三上さん:「はじめ、町中華みたいな感じだった。でも、一応メインにしていたのは、味噌ラーメン」
当時は、「札幌味噌ラーメン」が誕生した直後だったこともあり、多くのお客さんが味噌ラーメンを注文していたと言います。
店主 三上さん:「ずっとやってきたレシピで作る。うちの味噌ラーメンはこれでしょっていう感じ」
そんな仙龍の味を支えるのは、スープ。
店主 三上さん:「鶏ガラ、豚骨、香味野菜が入っている。スープでラードを乳化させるとまろやかになる」
そこに道産小麦100%の麺、チャーシューやネギ、メンマをトッピング。
どこかなつかしさを感じるラーメンです。
では、この定番の「味噌ラーメン」を追い抜き、広東麺の人気に火が付いたきっかけは…?
店主 三上さん:「昭和の頃って、広東麺ってわかんないじゃないですか。広東麺なんて読めなくて『コ―トーメンって何?』とか。少しずつ浸透してきて。これも食べてみようかなってなって、『なんだうまいじゃないの』って、そういう話でだんだん浸透していったんだと思う」
味に感動した常連客から輪が広がり、今も多くの人が魅了されています。
お客さん:「おいしいです。豊平区から食べにくる価値はある」
お客さん:「一番ここがうまい!」
広東麺の起源って?
町中華でよく目にする広東麺。
そもそもの起源を皆さんは知っていますか?
日本中国料理協会の本部理事でもあり、「中國料理 卓味(たくみ)」のオーナーシェフ 本田卓也(ほんだ・たくや)さんに聞いてみると…
本田さん:「広東麺っていうのは、日本の中華街が発祥だと思う。中華街っていうのは、元々ほとんどが広東人。広東人はあんかけに料理をふるさとではよく食べたいた料理だろうから、いろんな具を入れて餡にしたものを作りました」
本田さん:「それが日本人は、うどん・そば食べる文化があるから、その上にのっけて出してみたらうけるんじゃないかって出したのが広東麺」
その後、広東人が作った麺ということで、「広東麺」と名づけられ、日本中に広まっていったと言われています。
横浜の中華料理店で修行経験があった博史さんの父も「広東麺」を仙龍のメニューに加え、提供。
ベースとなる醤油ラーメンには、先ほどの味噌ラーメンでも登場したラーメンスープを使用しています。
店主 三上さん:「このスープは大元の元です。重要です」
そして広東麺の決め手となる餡は…
店主 三上さん:「ちょっと甘みをつける。スープの醤油の味と餡の味に差をつけるためにちょっと味変します」
醤油スープと、甘みのある餡で最後まで飽きずに味わえるよう工夫。
具材は白菜やきくらげ、豚肉にエビなど、8種類以上入っています。
こうして、岩見沢で長年愛されてきた広東麺が完成!
移転しても守り続けた味
しかし、仙龍は5年前に岩見沢から札幌に移転。一体なぜ…?
店主 三上さん:「ちょっと心臓の方がよくないので。岩見沢のお店は除雪とかもすごい大変だった。岩見沢でいつまでもできるかな~って思っていた」
岩見沢と言えば道内でも有数の豪雪地帯。
雪かきの負担も大きく、札幌への移転を決意しました。
しかし移転直後に新型コロナウイルスが拡大。
店主 三上さん:「札幌で店を始めて、すぐクローズ。何にも仕事できなかった。手持ちも全部なくなったし、借金もした」
そんな中でも、広東麺の味を守り続けようと、店をやめることはしませんでした。
店主 三上さん:「やるしかないじゃないですか。岩見沢のお客さんも通ってきてくださる。車で50キロ以上ある。足代かけて来てくれて、もう感謝しかない」
お客さん:「昔のときから知っている、私が小学生ぐらいのときから知っているお店で」
お客さん:「僕のふるさとの味と言ったら仙龍のラーメン」
愛され続ける理由とは…?
店主 三上さん:「変わらぬ味かな。子どものときに食べた記憶がそのまま現存してるっていうことが、通っていただける理由なのかな」
店主 三上さん:「後継者が結局いないので、ここは私で終わり。死ぬまで働くしかない」
【仙龍】
住所:中央区南5西7
※掲載の内容は番組放送時(2025年4月10日)の情報に基づきます。