「口下手さん」でも人を説得させる会話術とは?【相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学】
口下手さんでも説得させる会話術
プラス面とマイナス面を伝えて
人前でプレゼンすることや、商品説明が苦手という人は意外と多いもの。「口下手だからセールストークがうまくいかない」と悩む人もいるでしょう。そんな人は、商品やサービスについて、プラス面ばかりを伝えなくてはいけないと思い込んではいないでしょうか。マイナス面を伝えてしまうと評価が下がって買ってもらえなくなると考えるかもしれませんが、実は、プラス面に加えてマイナス面も伝えると、売上が伸びると言われているのです。心理学では、プラス面だけを説明することを片面提示といい、プラス面とマイナス面の両方を説明することを両面提示と呼びます。例えば、新商品のスイーツを売る場合、プラス面として「新鮮なフルーツを使ったヘルシーなスイーツです」と伝えれば片面提示になり、これに加えて「他の商品より100円高くて、日持ちもしない」と伝えれば両面提示となります。一般的な客なら片面提示である程度は売れるのですが、その商品に詳しい人、知識や情報を広く知っている人には、あえて両面提示をすることで購買意欲をくすぐることができるのです。もし、うんちくを語るちょっと面倒な客に当たってしまったら、あえてマイナス面も伝えてみると、予想以上に好感触が得られるかもしれません。
片面提示だけで強引に売ると、後日、マイナス面に気付いた客からクレームが来ることがあります。最初にマイナス面を伝えておくと、それが予防の役割をする(接種理論)のでクレーム防止になります。こうしたリスクがあることも頭に入れて、客のタイプを見極めながら片面提示か両面提示かを使い分けてみましょう。
説明が先か、結論が先かを見極める
口下手さんでもうまくトークできるコツがもう1つあります。それは、クライマックス法とアンチ・クライマックス法という会話テクニックを使い分けることです。
クライマックス法とは、まず説明をしてから最後に結論を持ってくる話し方をいいます。これに対して、アンチ・クライマックス法は、先に結論を話しておいて、後から説明をしていく手法です。どのように使い分けるかというと、相手が話を聞こうとしている場合にはクライマックス法がいいでしょう。誰にでも伝わりやすい標準的なテクニックなので、聞く人にもすんなりと浸透していきます。もし、相手が聞く耳を持たない、興味がないといった状態なら、アンチ・クライマックス法が効果的です。商品のセールストークも、客の興味を引くには「これはとってもおいしくてヘルシーなスイーツです。なぜなら、新鮮なフルーツを使いながらも甘味を抑えていて……」と、結論→説明の順に話すことが正解です。相手が興味を持っているかいないかをこっそり見極めることが、この会話術のポイントなのです。
相手の状態を見極めて会話術を練ろう
相手の反応を見て有効な方を選択する
片面提示は最後の一押しに
「パソコンを買いに来たんです」
「こちらは消費電力が小さくてお得です」
「買います!」
購入をほぼ決めている人には、よりポジティブな印象を残せて説得力のある片面提示がよい。
両面提示は長期的な説得に
「パソコンの購入を考えていて」
「こちらは従来に比べてちょっと重いですが、消費電力が小さいんです」
「なるほど!」
売る人がデメリットも伝えるからこそ説得力が増す。デメリット→メリットの順がよい。
【出典】『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』著:渋谷昌三