【相模原市】中央三丁目自治会 回覧板をデジタル化 情報の即時性確保
中央三丁目自治会(高橋良典会長/約150世帯)が、LINE(ライン)のシステムを活用した「電子回覧板」の運用を今秋から始めた。現在は会員世帯の3割ほどに相当する50人ほどが「友だち」登録。従来の回覧板と併用しつつ、LINE方式の有用性を広めていきたいという。
昭和40年代から宅地開発が進み現在は70代後半から80代のシニア層とその後新たに移り住んだ30代から40代を中心とした第二世代の住民で構成される中央三丁目自治会。多くの自治会と同様に会員の高齢化や自治会離れといった課題を抱えている。
今年4月、新体制スタートと同時に三役と町内10区長が参加するグループLINEなどを新設した。連絡をスムーズに取ることができるなど、その有用性を実感した執行部は、以前から方式も含めた運用改定が話題に上っていた回覧板のデジタル化を思案。9月下旬から準備を進め、10月上旬に稼働を開始した。
届いた時には終了の情報も
町内の高齢化が進み、共働き家庭が増えている実情もあってか、これまでは回覧板がスピーディーに回らず、全ての会員世帯を回り終える頃には催し事を案内する回覧物の内容が既に終わっていたこともあったという。LINE版であれば情報の即時性を確保することができる点も、導入へ向けた動きを後押しした。
稼働から1カ月、現在の登録者数は50人ほど。画面には執行部が配信した回覧物がタイムライン表示され、登録者はここで即時に情報を手にできる。災害時には避難所の開設情報なども逐一、配信されるという。画面下部には自治会の会議資料を見られるページ、地域のニュースが閲覧できるページのリンクボタン、ごみの収集情報などがまとめられている。
「安心・安全」の面からも期待される。例えば自宅で体調を崩し救助を求めることも可能だ。トーク画面に文章を入力すると自治会の三役にのみ通知される仕組みで、会話がやりとりできる。他の会員がこの会話を目にすることはない。
町内の店からのお得情報も
始動させるにあたって重きを置いたのが「仕組みを簡易にすること」だった。その理由について役員の一人は「役員は年々変わっていく。作業がわずらわしかったらLINEで回覧する意味がないし、持続的でない」という。
LINE版では月に200通までの配信は無料だが、それ以上は有料となる。仮に登録者が200人いたとすると1つの情報を送るだけで上限に達する計算だ。
今後、トーク画面に町内の飲食店や商店、企業から「お得情報」の広告を掲出する予定もある。この収益を運用に充てる考えだ。
担当役員は「『友だち』を増やすことが第一。LINEで回覧板が見られることを周知すると同時に、防災訓練などのイベントの際、登録方法を補助するなど地道に呼びかけたい」としている。