上越市の中川幹太市長がUPZ内の町内会長と意見交換 情報提供や避難所などに要望
新潟県上越市の中川幹太市長は2025年7月13日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関し、原発から半径5〜30km圏の避難準備区域(UPZ)の町内会長を対象とした意見交換会を市内2か所で開いた。原子力災害発生時の避難について意見を交わし、参加者からは避難時の迅速な情報提供や避難所の空調などを心配する声が寄せられた。
《画像:上越市が開催した柏崎刈羽原発に関する意見交換会(吉川区)》
花角英世知事は再稼働の是非を判断するプロセスとして5月から県内市町村長との懇談会を地区別に実施していて、上越・糸魚川ブロックは17日に上越市で行われる。中川市長は知事との懇談会に先立ち、原子力災害時の避難に関する疑問や不安といった市民の意見を把握しようと開催した。
同市は柿崎区と吉川区の全域、大潟区と大島区の一部がUPZに含まれ、UPZ内の人口は1万2251人。意見交換会はUPZ内114町内会長を対象に吉川区と柿崎区の2か所で開かれ、計90人の町内会長が出席した。
会議は冒頭以外は非公開で行われ、内閣府の担当者が緊急時対応の取り組みを、県の担当者が被ばく線量シミュレーションの結果をそれぞれ説明したあと、意見交換が行われた。
《画像:あいさつする中川市長》
終了後、中川市長は、夏の避難所の空調の不安や、複合災害が発生した場合に除雪や土砂の除去を行う民間事業者や自衛隊への情報伝達や連携、住民への情報提供の徹底を求める意見があったと説明。「古い家の隙間から放射性物質は入って来ないのかといった声もあった。細かなことについては市がきちんと調査をして課題をまとめ、国や県と連携して必要な事業をやっていかなければならない」と語った。
出席した吉川区の町内会長の一人は、「いろいろな取り組みで原発事故が起きても福島の時よりは安全だと言うけれど、福島の事故の前も同じことを言っていた。被ばく線量シミュレーションももっと細かく気象や地形を考慮してやってほしい。住民が安心できる状態ではないし、女性の意見も聞いてほしい」と話していた。
市は意見交換会は原子力災害時の避難についての意見を聞く場とし、再稼働の是非についての意見交換はなかった。中川市長は「県が実施する公聴会や意識調査などを踏まえて、再稼働の是非を考えていきたい」と述べた。