Yahoo! JAPAN

「説明書を読まず」致死的な害虫駆除薬を使用した女、自分は避難も同じアパートの女児死亡(英)

Techinsight

英イーストロンドンのアパートで2021年12月11日、隣人の女が使用した危険な害虫駆除剤「リン化アルミニウム」が原因で死亡した11歳女児(『Metro.co.uk 「Woman who poisoned girl, 11, while trying to get rid of bedbugs spared jail」(Picture: Central News/Web Collect)』より)

英イーストロンドンのアパートで2021年12月、隣人の女が説明書を読まずに使用した害虫駆除剤によって、11歳の女児が死亡した。女は過失致死を認めており、今月18日に行われた裁判では実刑を免れたが、「厳罰に処すべき」という声が絶えないようだ。英ニュースメディア『The Mirror』などが伝えた。

【写真】女が使用した害虫駆除剤「リン化アルミニウム」

事故が起きたのはイーストロンドンのタワーハムレッツ区にあるアパート「ニダ・ハウス(Nida House)」で、トコジラミに悩まされていた2児の母ヤスミン・アクター(Jesmin Akter、34)が2021年12月、錠剤タイプの害虫駆除剤「リン化アルミニウム」を使用した。

リン化アルミニウムとは、水分を吸収すると有毒ガス「ホスフィン」を発生し、人間が吸引すると生命に危険が及ぶことがあり、あらかじめ認可を受けた者だけしか使用することができない。また化学兵器として使用されたこともあるほど危険なもので、もともとはヤスミンの母親がバングラデシュで購入したという。

ヤスミンは2021年11月、この駆除剤をイタリアから旅客機でイギリスに持ち込んでおり、翌月にアパートの部屋に多数の錠剤を置き、自分と家族は24時間、アパートから退避していた。

そしてしばらくすると、換気口から有毒ガスが充満し、犠牲になったファティハ・サブリンさん(Fatiha Sabrin)をはじめとするアパートの住人らが体調不良を訴え始めた。

ファティハさんは12月11日午前4時、母親カニスさん(Kaniz)に「トイレに行きたい」と訴えて嘔吐しており、午前9時半にはカニスさんがかかりつけ医と医療相談センターに電話をした。その後、緊急通報したものの「下痢止めを飲み、あっさりとした食事を摂るように」とアドバイスされただけだったという。

しかし午後1時半頃、ファティハさんの容体は急激に悪化。午後3時半には呼吸が停止して意識を失い、午後5時前に搬送先の病院で死亡した。

なお救急隊が到着した際、カニスさんと当時7歳だった弟も意識不明で倒れていたものの、2人は一命を取り留めていた。またファティハさんの父親はバングラデシュに出張中で無事だった。

亡くなったファティハさんのアパート内のホスフィンのレベルは、致死量の最大26倍に達していたと推測されており、その日はアパート内の異臭が酷く、頭痛や咳、喉の痛みを訴える人が相次いだ。そしてファティハさんらが病院に搬送された後、消防隊は「危険物による事故である」と宣言して住民を避難させ、アパートでリン化アルミニウムを発見した。

そうして今月18日、ヤスミンには懲役2年、執行猶予2年の判決が言い渡され、150時間の社会奉仕が命じられた。過失致死を認め、ファティハさんの家族に謝罪したが、害虫駆除剤の使用についてはこのように述べたという。

「リン化アルミニウムを使用することで隣人に危険を及ぶとは思わなかった。家族の勧めで駆除剤を手に入れたが、説明書は読まず、有毒ガスの発生については認識していなかった。」

判決にあたり、アレクシア・デュラン判事は「イタリアからイギリスへの飛行中、もし駆除剤の梱包が破損するようなことがあったら、数百人の命を危険に晒す壊滅的な事故に繋がった可能性もあった」とヤスミンの軽率な行動を非難。アパートのオーナーがトコジラミの問題を知りながら適切な対応をしなかったこと、ヤスミンが「トコジラミを確実に駆除したい」と、かなりの量の駆除剤を使用したことなどを指摘した。

ただ一方で、「ヤスミンは大きな罪悪感に苛まれていて、自身の行動が悲劇的な結果をもたらしたことを一生忘れることはないだろう」と語り、執行猶予付きの判決を言い渡したのだった。

奇しくも12月11日はファティハさんの11歳の誕生日で、父親は娘について「よくできた子で聡明だった。誰とでも友達になり、母親を良く助けてくれた」と語り、肩を震わせた。

そしてこのニュースには、次のようなコメントが寄せられた。

「心が痛む。これは悲劇だ。」
「なぜ飛行機に持ち込むことができたのか?」
「彼女は危険を十分に認識していた。自分たちだけ24時間も避難していたのだからね。厳罰に処すべき。」
「自身の怠慢で、少女が亡くなっているのに執行猶予付きなんて、何かが間違っている。彼女は刑務所に行くべきだ。」
「故意でなく、無知だったことが事故の原因。難しい判決だと思う。」

画像は『Metro.co.uk 「Woman who poisoned girl 11 while trying to get rid of bedbugs spared jail」(Picture: Central News/Web Collect)(Pictures: PA/Central News)(Picture: Crown Prosecution Service/PA)』『Tyla 「Family ‘haunted’ as daughter dies on 11th birthday after ‘paying the price’ when neighbour tried to get rid of bedbugs」(PA)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【注意喚起】PayPayキャンペーンを装ったフィッシング詐欺が横行中! その狡猾な手口とは?

    ロケットニュース24
  2. デザインの力を信じ続けたコンランの「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」展が開催中

    タイムアウト東京
  3. 『SMBC 日本シリーズ 2024』10/16からファミリーマート先行販売開始

    SPICE
  4. DJI Air 3S、フラッグシップ機に迫る本格撮影能力を備えたアップグレードの真価とは?[Reviews] Vol.85

    DRONE
  5. エル・ブリ財団が出版するワインの百科事典『ワイン・サピエンス』英語版第3巻、第4巻が登場!

    ワイン王国
  6. 【神戸】パリジェンヌが愛するグルメや雑貨が集合!「フランスフェア」開催

    PrettyOnline
  7. 【菊花賞】勝率50%&複勝率100%データ該当で軸は決まり! SPAIA編集部の推奨馬紹介【動画あり】

    SPAIA
  8. FM大阪「赤maru」5周年でライブイベント 赤松悠実さんが漫才・コントに挑戦

    OSAKA STYLE
  9. JR神戸駅で、連節バス「Port Loop」に乗れるようになる日が決定してる。ルートやダイヤの変更も

    神戸ジャーナル
  10. DJI、最先端デュアルカメラドローン「DJI Air 3S」発売。1インチCMOS搭載カメラや70mm中望遠カメラ搭載

    DRONE