【最終回直前ロングインタビュー!】『クラスメイトの女子、全員好きでした』の綾部監督と矢部Pに、最終回へ向けた思いについて直撃!
木村昴主演、新川優愛共演の連続ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』。クラスメイトが書いたノートを“盗作”して一躍人気作家になってしまった男が、担当編集者と共に「真の作者」を探しながら中学時代の甘酸っぱい思い出を回想していく、涙あり笑いありのハートフルコメディ。いよいよ来週最終話を迎える前に、綾部真弥監督と矢部誠人プロデューサーに緊急インタビュー! インタビュアーは、『ダウンタウンDX』を20年以上演出し、『クラスメイトの女子、全員好きでした』のファンでもある読売テレビの西田二郎が担当した。
木村昴の太陽のような明るさが枝松脛男の魅力を際立たせる
西田:いよいよ最終話ということで盛り上がってきていますか?
矢部:そうですね!9話・10話がとにかくもう怒涛の展開で、ラストに向けて今めちゃくちゃ盛り上がっているところです。
西田:何て言うんでしょうか。木村昴さんもそうですし、新川優愛さんもそうですし、今回出演されている役者の皆さん、やっぱり演技が上手というか、しっかりしていますよね。
綾部:そうですね。この作品は大人も中学生もたくさん登場するので、俳優の生き生きとした演技を褒めもらえると一番嬉しいです。
西田:木村昴さん演じる脛男が中学生に戻るときは、中学生のスネオが登場し、中学校のクラスメイトも出てくるわけですよね。25年遡った過去の演技になるんですが、今の脛男と中学校の時のスネオを演じる方が違うというのはなかなか難しいところじゃないですか?
綾部:そう思います。当然台本はしっかりと読まれていると思うので、キャラクターの理解は木村昴さんも中学生のスネオ役の及川桃利さんもしていると思うんですけど、実際に一緒の撮影現場に入ることができないので、どんな演技をしているのか想像するしかないですよね。だからこれは難しいなと思って、撮影を始める前に俳優さん全員集まっていただき、1話と2話を通してリハーサルをしました。すると、木村さんは「子供時代はこうやって演じているんだ」と理解され、及川さんは及川さんで「大人になるとこうなるんだ」と感じられ、最初に1話・2話をがっちりと固めたので、それによって意識しながら進められたと思います。また、彼らも完成した作品を見て、「なるほど、こうやって演じているんだ」と納得し、どこまで意識したかわかりませんが、次第に何も言わなくてもお互いが同一人物を演じるようになったと思います。
西田:この作品をドラマで見た時に、木村さんが“木村昴が主役の演技をしている”のではなく、ちゃんと脛男になっていると感じました。そのあたり、木村さんの役作りについて話しましたか?
矢部:木村さんとはクランクイン前にご挨拶するタイミングがあったんですけど、特別に何か役作りをしてくださいとは一切お願いしていないんです。今回、木村さんにオファーさせていただいた理由として、彼の持っている太陽のような明るさや、前向きなピュアさがありました。 主人公の枝松脛男って、演技をやり過ぎると少し気持ち悪かったりする部分もあるんですよね。例えば女性配達員の腕を見て、「ああ、脱毛しましたね」みたいなことを聞いたりすると、受け取る側としては「そんなこと聞いちゃうの?」と少し気持ち悪く感じることもあるんですけど、でもそれも脛男の個性なんです。そこを見ている人が引かないように、というか、それも含めて、こういうダメ人間が愛されるドラマにしなければならないと考えた時に、木村さんの持つ天性の明るさやピュアさが、新しい枝松脛男像として映るんじゃないかと思いました。なので、僕らは特別なことをお願いしたわけではなく、木村さんのお芝居と雰囲気が役とうまくマッチしたんじゃないかと思います。
現場で一番監督が笑う。だから役者もノリ、作品がさらに面白くなる!
西田:このドラマは脛男が誰かの作品をパクったのがきっかけですが、クラスメイトとのいろんな思い出を、タイムカプセルを掘り起こすかのように思い出していくのですが、クラスメイトもみんなちょっと変というか個性的というか…
綾部:変です(笑)
西田:各話の中で出てくる他のクラスメイトさんが、その“ちょっと変”なところをうまく大人になって生かしていたり、生かしていなかったり、こういったところは、やはりドラマを見ている人もみんなどこかに“ちょっと変”なところがある。というのが作品のメッセージにも感じたのですが、その辺は描きながらどう思われていましたか?
綾部:元々、原作の爪切男さんの本がそういう本で、かなり個性的な生徒たちによるお話。だから中学生の子たちは、ただお芝居が上手いだけじゃなくて、あんまり洗練されすぎていないというか、人としても芝居としてもゴツゴツした子たちに、なるべく集まってもらいたかったんです。だから一部高校生もいますが、徹底してリアル中学生をキャスティングしました。リアルな中学生だから、まだまだ人として洗練されていない。つまり、自分のちょっとした欠点やダメなところを取り繕わない人たちなので、お芝居も何となくうまくやってしまうのではなくて、荒削りで彼らが全力でやる演技のおかしみとか面白みみたいなものを前面に出したいという思いでした。
西田:ドラマを見ていると、「こんなところにいるのかな?」と思うようなコミカルなシーンが出てくるんです。ああいうのも監督から中学生役の子たちへの指示なのか、何か意図があったりするんですか?
綾部:あんまり細かい指示を全部するということはほとんどないですね。どちらかというと、「台本を読んでとにかく自分がやりたいことを考えてくるように。とにかく明日撮影するシーンの前後を含めてもう1回読んできなさい」と僕は口酸っぱく話しています。台本を読んだ上で、じゃあ自分のキャラクターだったらどういうちゃちゃを入れるんだとか、どういう顔をするんだろうとか、おとなしい子もいれば元気な子もいるし、自分のキャラクターによってこの場面でどう演じるのかというのを、中学生の子たちが自分で考えてくることをとにかく徹底しました。
その中で「静かにこうやるんだよ」とか、「いやもっともっと前に。全然足りないよ」など、方向性を示していきました。そして僕が大事にしていることですが、面白ければ素直に笑う。そうすると俳優って、大人もそうですが、監督が喜んでいると「これでいいんだ」とか「もっとやってみようかな」という気が起きます。これがコメディー作品だとすごく大事なんです。監督やメインのスタッフたちがみんな笑っていると、俳優の皆さん誰しも「これで間違ってない。これでいいんだ」という気になってもらえるんです。
西田:え!監督そんなに笑うんですか?
綾部:めちゃめちゃ大きな声で誰よりも笑います。僕が笑うことで、周りのスタッフも「笑っていいんだ」ってなるんです。面白いことをやっているのに、何かシーンとした中で演技をすると芝居も伸びないし、跳ねないと感じます。だから監督や助監督、カメラマンを含め、メインの現場にいる私たちが笑ったり、「それいいね」って言うことによって、どんどんどんどん現場が乗ってきて、作品自体がより面白くなると思います。
もう一度自分の個性を見直して欲しい!原作者・爪切男が“人”に対する愛と想い。
西田:ドラマの中で僕が感じたのは、中学とか高校とか、思春期に自分自身の自我が芽生えて、いろんなものに気づいてくる時期に、このドラマの中では「変」っていう表現にしているかもしれませんけれども、実は本質的にはそれが自分であるわけですよね。そういう自分というものが大人になり、社会の中で埋没して「これでええんちゃうか」っていうふうになっていっちゃう。で、それに対してこのドラマというのは、「いやいや、もう一回自分の原点を見直したら?」って、そんなことを言っているように思うんですが、監督いかがですか?
綾部:ああ、もう完全にその通りです。この作品だけじゃなく、爪切男先生の全ての作品に共通するテーマです。だんだん大人になるにつれて自分がコンプレックスに思っていることとか「こういう個性でいいんだろうか」と悩むことで、だんだん平均化していきます。個性を捨てて、着るもの、身だしなみも含め、喋ることも、どんどんどんどん平均化してしまって、似たような大人になってしまう。爪さんはそうじゃなくて、もっとゴツゴツしている、みんなが個性豊かで生き生きしてた「あれがいいんだ」と。特にこの作品に関しては、毎週ヒロインが出てくるんですが、それぞれの女性がまだ化粧もしていないし、流行りの髪型もしないし、個性が際立ってた。そこが可愛いんだと。もはや「愛」としか言いようのない人間に対する爪さんの目線。これが美しいんですよね。僕自身、作品が大好きで、読んでいて、原作に負けないように、その子その子のキャラクターもそうですし、生身の人間の個性みたいなものが生かせるかどうかを考えていました。
矢部:爪先生の書かれた原作が面白いんですが、2話の中で「人と違う所って、魅力的じゃないですか。その人だけの個性って感じで、僕には輝いて見えるんですよ」という脛男のセリフが僕はすごく好きなんです。あの言葉がこの作品の世界観を全て表していて、出てくる女の子とのエピソードが本当にくだらないんですけど、面白いし、でも今の世の中に大事なメッセージを投げかけてくれている。だからこそ原作はエッセイだけど、どうしてもドラマ化して皆さんに届けたかった。 そしてドラマでやるんだったら、ということで、現在の爪先生をモデルにした枝松脛男という架空の人物を、こちらで少し加えさせていただきました。そして原作のそれぞれのエピソードが一番魅力的に伝わるやり方って何だろうと考えた時に、オリジナル要素でもある「真の作者を探すぞ」っていうところを縦軸に作ることがもっとも良いという結論に至り、この形に最終的になりました。
SNSでもまだバレていない!真の作者を最終回で目の当たりに!
西田:SNS界隈で真の作者が誰なのか予想で盛り上がっていますね。
矢部:はい。8話あたりから徐々に盛り上がってきていて、僕が見ている限り真の作者が誰なのかっていうところがまだバレてなさそうだなと思います。(笑)
西田:このタイミングで監督も話したいところもあるけれども、やっぱり楽しみにしてくれる視聴者の方もいるから、話せないところもありますよね。
綾部:そうですね。さすがに誰かは言えないですね。(笑)
西田:来週でドラマが終わってしまいます。最後に綾部監督から、この作品に対する思いをお聞かせください。
綾部:本当にスタッフもキャストもこんなに楽しんでいる撮影現場はないというくらい楽しんでいました。ただそれはバカみたいに騒いでということではなくて、作品の方向性に対してみんなが全力を投じてやってきたからこその楽しさであります。今ちょうど最初に言ったように最終回の編集の真っ最中なんですけど、寂しいんですよね。最終回を仕上げてしまうと、もう本当に我が子のような思いでやってるので自分の子供を嫁がせるような。視聴者の方に最後まで見ていただいて、自分の手元を離れるというのはすごく寂しいんですよね。
だけど爪先生の本に「この作品を読んでくれた人が楽しんでもらって、辛いことがあっても明日までは頑張って生きてみようかなって思ってくれたら嬉しいです」って書かれているんですけど、僕もまさに同じ気持ちです。
場合によってはばかばかしく見えるかもしれないけれど、この懸命に生きる中学生、そして25年の時を経て、今なお37歳というこの激動の年代を生きている人たちのこの輝く笑顔を見ていると、明日までは頑張ってみようかな、来週またこのドラマがあるから、何か楽しみにやっていこうっていう何かこう思ってもらえたら本当に嬉しいですし、最後まで楽しんでもらえればと思います。
西田:矢部プロデューサーいかがです?
矢部:僕も同じ気持ちですね。ここまで綾部監督と一緒にやってきて、同じ気持ちだし、ドラマを最後まで見てもらって、もう本当にシンプルに、観終わった後に、「ああ、懐かしい。昔の同級生の誰々にちょっと会ってみたくなったな」とか、「久しぶりにあの人に連絡取ってみようかな」って思ってもらえるようなドラマになったらいいなと思います。
西田:いよいよ最終話で「春と群青」の本当の作者がわかります。でも今から見る人もついて来れますかね?
矢部:今からでも間に合いますので、ぜひ見ていただきたいです。TVerでは最新話だけでなく、1話から3話も見られますので、途中から見てもちゃんと追いつけます。
矢部誠人プロデューサー(左)、綾部真弥監督(中央)、西田二郎(右)
【クラスメイトの女子、全員好きでした。の最新第9話と1〜3話がTVerで見られます】
https://tver.jp/series/srfjbdlove
【クラスメイトの女子、全員好きでした】
読売テレビ・日本テレビ系 毎週木曜よる11時59分〜放送中
最終回:9月12日(木) よる11:59~放送
https://www.ytv.co.jp/classmate/