大阪市立美術館『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』日本初公開の手紙も公開!
大注目の『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』が、大阪市立美術館でいよいよ開幕。会期は7月5日(土)〜8月31日(日)です。 東京都美術館(9月12日(金)〜12月21日(日))、愛知県美術館(2026年1月3日(土)〜3月23日(月))にも巡回が予定されています。 本展では、ファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の作品や手紙を展示。コレクションを受け継いできた人々の活動にも焦点を当てて深掘りします。
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見どころ①日本初!ファン・ゴッホ家のコレクションに焦点を当てた展覧会
ファン・ゴッホは、生前には絵がほとんど売れず、没後に評価が高まった画家としても知られています。一体なぜ?と思ったことはありませんか?
名声を確立した背景には、ひとりの女性がいます。ファン・ゴッホの弟テオドルス(テオ)の妻、ヨハンナ(ヨー)です。
テオとヨーが結婚したのは1889年。1890年には息子を授かり、フィンセントと名づけました。しかし1890年、ファン・ゴッホが急逝。1891年、後を追うようにテオも亡き人となり、ヨーは息子と2人で残されてしまいます。
ヨーはテオが遺したファン・ゴッホ作品を展覧会に貸し出したり、テオに宛てられた手紙を整理して出版したりと奔走。ときに絵を売ることもありましたが、生計のためだけでなく、ファン・ゴッホの評価の確立を目指した行動でもありました。
亡くなる前年の1924年には、ロンドンのナショナル・ギャラリーのために《ヒマワリ》を手放します。これによってファン・ゴッホの名声はより確かなものに。
1945年以降、息子でありファン・ゴッホの甥であるフィンセントがコレクションに深く関わるようになります。作品の販売をやめてコレクションの散逸を防ぎ、1960年にフィンセント・ファン・ゴッホ財団を設立。
1973年には国立フィンセント・ファン・ゴッホ美術館(現ファン・ゴッホ美術館)を開館させ、財団のコレクションの展示が始まりました。
ファン・ゴッホの絵画には、テオ、ヨー、フィンセントをはじめ作品を愛した人々の想いも詰まっています。家族の物語に光を当てるからこそ、本展は味わい深い展覧会になりそうです。
見どころ②30点以上のファン・ゴッホ作品でたどる初期から晩年までの画業
10代半ばから画廊で働いていたファン・ゴッホが画家になると決意したのは意外と遅く、27歳のときでした。
37歳で亡くなるまで、画業はわずか10年。しかし活動は精力的で、短い期間で信じられないほどの多数の作品を制作しました。現在ファン・ゴッホ美術館には200点を超える絵画、500点以上の素描・版画が保管され、世界最大のファン・ゴッホ・コレクションとなっています。
本展は30点以上のファン・ゴッホ作品を通して、初期から晩年までの画業をたどる内容。オランダ時代の暗く重厚感のある画面から、パリに移住して明るく鮮やかに色を使うようになった転換など、ファン・ゴッホの画業のダイナミックな変遷を通覧することができます。
見どころ③初来日となるファン・ゴッホの手紙4通も展示
ファン・ゴッホの画業を読み解く重要な鍵となるのが、本人が遺した手紙です。しかし手紙に使われた紙の質が悪いことや、インクが色褪せしやすいことなどから、ファン・ゴッホの手紙の実物が展示されることは滅多にないとのこと。
しかし本展では、ファン・ゴッホがオランダの画家アントン・ファン・ラッパルトに宛てた4通の手紙が公開。これらは長らく所在が分からなかったもので、2006年に発見され、本展で日本初公開となります。
ブリュッセルで出会った2人は手紙を交わし、自身の制作や雑誌に掲載された挿絵などについて語り合いました。本展では、救貧院の男を描くことに忙しいと述べ、スケッチを添えた手紙などが展示されます。
ファン・ゴッホ財団は本人の作品だけでなく、ファン・ゴッホが集めた作品や、関連する画家の作品も収集・保管しています。バルビゾン派やハーグ派、象徴主義、印象派、ポスト印象派など同時代を彩る名画のコレクションの中から、ゴーガンやクォストをはじめ選りすぐりの作品が来日します。
また、ファン・ゴッホは日本の浮世絵に熱中し、収集していました。同財団が受け継いだこれらのコレクションの一部も、本展で里帰りします。
展覧会情報
大阪・関西万博開催記念
大阪市立美術館リニューアル記念 特別展
ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢
会期:2025年7月5日(土)〜8月31日(日)
会場:大阪市立美術館(天王寺公園内)
展覧会公式ウェブサイト:ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢
◎『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』巡回予定
2025年9月12日(金)〜12月21日(日) 東京都美術館
2026年1月3日(土)〜3月23日(月) 愛知県美術館