【訪問レポ】札幌純喫茶旅(3)創成川を望む落ち着いた空間。こだわりぬいたナポリタンが人気「ドロシー」
札幌の二条市場からすぐ。創成川通沿いにある「喫茶ドロシー」は、老若男女問わず人が集まる純喫茶。オムライスが人気の「喫茶小鳥」の姉妹店として2023年にオープンしました。クラシカルな店内には大きな窓があり、そこから眺められる街並みも相まって居心地の良さがたまりません。
クラシカルな雰囲気の喫茶店
「ドロシー」という店名は、架空の猫の名前をイメージしてつけたもの。店内には猫の置物やイラストなどが散りばめられています。そんな遊び心と、クラシカルなテーブルや棚、ランプシェードなど、古き良き喫茶店の雰囲気が融合しあう空間です。創成川の東側に50年以上あるオフィスビルの1階にあり、その建物の古さも相まって、よりレトロな空間を作り上げているようです。
朝9時から11時まではモーニング営業。時間帯限定でさまざまなトーストメニューを提供しています。使用する食パンは西区発寒の名店「おかめや」製。しっとり柔らかい食感を活かすため、オーブンでトーストするのではなく、温めて提供するのがこだわりです。
おすすめの「モンブラントースト」は、食パンの上に、カスタードクリームと生クリームを合わせたディプロマットクリームをたっぷりトッピング。卵と生クリームの軽やかな風味は、食パンとの相性が絶妙です。クランブル(ナッツなどを混ぜ細かくした生地)が散りばめられ、サクッとした食感も楽しめます。
オーナーが徹底的にこだわった、渾身のナポリタン
オムライスが人気の「喫茶小鳥」の姉妹店でありますが、メニュー構成は違います。「ドロシー」の目玉はなんといってもナポリタン。オーナーいわく、「小鳥で提供しようと思っていたけど、納得がいく味わいにならなかった。レシピはじっくり時間をかけてブラッシュアップしてきたもの」なんだとか。
麺は2mm(一般的には1.6〜1.7mmが多い)を使用し、茹でた状態で一晩寝かせてモチモチの食感に。とことん煮詰めて味を凝縮させた自家製トマトソース、ウィンナーやベーコンではなく、自家製パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬)を使い、凝縮された肉のうま味がアクセントに。麺とソースを合わせてジュージューとしっかり炒めることで、香ばしさも引き出します。一口ほおばると、素材一つひとつのうま味が絶妙に絡み合い、濃厚なコクを感じるのがたまりません。
自慢のプリンは、しっかり固焼き食感
月替りの季節の「タルト」、濃厚な「バスクチーズケーキ」など、スイーツメニューも人気です。中でも心を引かれるのが「プリン」。白身が多めの卵液に、生クリームと牛乳をたっぷり。美しくエッジがたった、いわゆる昔ながらの堅焼きプリンです。一口頬張れば、しっかりとした舌触り、ほろ苦さがくせになるカラメルソース、牛乳の芳醇な香りが口いっぱいに広がります。あっさりとした甘さで、コーヒーとの相性は絶妙です。
窓からの日差しが心地良い、落ち着く空間
“レトロな喫茶店”ではなく、“純喫茶”を目指して作られた「ドロシー」。どんな人にも入りやすい雰囲気作りは、オーナーの「喫茶小鳥でやりきれなかったことを、ここでやりたかった」という思いが込められています。
ランチメニューは、1日10食限定の「喫茶店の鯖定食」(1.150円)や、「カレードリア」(1,030円)、「バターチキンカレー」(950円)など、どれも興味をそそられるものばかり。休憩時間のサラリーマンから若い女性まで、幅広い客層に支持されています。ふらりと訪れるもよし、ランチタイムを充実させるもよし。それぞれの楽しみ方ができるのが「ドロシー」の魅力です。
※金額は全て税込
ドロシー
■所在地:札幌市中央区南1条東1丁目2-1 太平洋興発ビル1F
■営業時間:9:00〜11:00(L.O.10:30)、11:30〜17:00(L.O.16:30)
■定休日:月曜日
【ライタープロフィール】
山下 恭平(雑誌・書籍編集者&ライター)
ラジオ局で番組制作の仕事をしながら、ミニコミ誌の制作や雑誌のライター業を始める。その後、編集者として出版社に入り、タウン情報誌をメインにさまざまな記事を手掛けてきた。好きなことは料理、山登り、川釣り、札幌の石碑。札幌市南区在住で、南区をこよなく愛している。