【菊池市】南北朝時代から歴史を見守り続けるおじいちゃんみたいな将軍木【くまもとの巨木】
私たちのはかない一生よりも、はるかに長く生き続け、歴史を見てきた大木。 見るだけで圧倒され、そして気持ちがやすらぎ、自然の偉大さへの敬意があふれてくる…そんな不思議な魅力があるのが巨木です。 県内各地にたくさんの大木があり、肥後ジャーナルでもたくさん取り上げられていますが、菊池高校正門脇にも、歴史ある大きな椋(むく)の巨木がありますよ。
菊池高校正門脇にそびえる巨木
菊池高校の正門向かって左手側にそびえたつ、椋の巨木・将軍木。
熊本県の天然記念物に指定されている巨木で、右側には、頓宮というお社があります。 南北朝時代の南朝方、征西将軍宮懐良親王(かねながしんのう)が、当時勢力があった菊池氏を頼り、ここに征西府を置かれた際に、親王の杖から芽をふいたとも、お手植えの木とも伝えられているそうで、樹齢はなんと650年以上!
征西将軍宮お手植えの木ということで、「将軍木」という勇ましい名前がつけられています。
この地で強く息づいてきた生命力
こちらの木の北側部分は、幹が腐朽して大空洞になっているそうですが、それでもなお、元気に生き抜いています。
主観部分も、裂けるのを防ぐため、頑丈な鉄環でしっかりと巻かれています。
枝も何本もの支柱で補強してあり、たくさんの人に守られながら今なお命を絶やすことのない、生命力あふれる椋の木です。
たくさんの支柱に支えられ、大空へとにょきにょき枝を伸ばしている様子は、自然がつくりだす芸術作品のよう。 よぼよぼになりながらも、力強く生き続ける姿は、「地域でみんなに愛され続けるおじいちゃん」といった風情です。
今も多くの人に愛される菊池神社の御神木
遠い昔から、地元の方々に愛されて続けている将軍木。
10月13日の秋祭りのときには、征西将軍を祭神とする頓宮で神事が行われ、こちらの隣接する能舞台にて、この木を将軍宮の象徴に見立てて、松囃子能が奉納されているそうです。
こちらの松囃子能は国の重要無形民俗文化財に指定されているほど貴重なもので、南北朝時代から600数十年継承されているのだとか。 想像もつかないほどの長い歴史に圧倒されます。
神事とともに、昔から大切にされてきた将軍木は、今もなお、生きる象徴として歴史を伝えてくれている、価値ある巨木です。 近くには、菊池神社や菊池市ふるさと創生市民広場、わいふ一番館や、ASANISHIMASAなどなど、素敵な歴史あるスポットや遊べる広場、カフェなどがたくさんあり、歩いてまわることができるので、お散歩がてら、将軍木を仰ぎ見て、悠久の歴史に思いを馳せてみられてはいかがでしょうか。