【横浜市鶴見区】東寺尾中部会 ジオラマで当時のまち再現 町会結成70周年を機に
東寺尾中部会(草水眞一会長)が町会結成70周年を機に、当時の街並みを再現したジオラマを作成した。当時の資料も少ない中で同町会の米谷栄一さんが中心となり、長年住む住民の声等を基に作成。11月26日からは東寺尾中台の地域の一画に展示される。
結成70周年を機に「何か記念になることができないか」と同町会でジオラマ作りの話が上がったのは3カ月前の9月ごろ。11月の町会の祭りでお披露目しようと急ピッチで制作が始まった。制作は主に、美術に精通している町会会員の米谷さんが担当した。
住民の記憶が制作の頼り
ジオラマは縦約50cm×横約95cmの大きさで、現在の東寺尾交番から東台小学校周辺の範囲を100分の1スケールで再現。当時「共栄会」と呼ばれていた商店街の風景も蘇っている。
しかし、いざ制作が始まり、町会員が当時の写真や資料を集めようと図書館などを訪ねてもなかなか見つからなかった。そこで頼りになったのが、当時を知る住民の「記憶」だった。同町会には長年住んでいる住民も多く、会員たちが当時の地図を片手に一軒一軒訪ねて聞き取り。「ここの家は板塀だった」「軒先には猫がいて、荷物が積み上がっていた」など細かな情報を得ることができたほか、今は無い寿司屋や花屋、染め物をしていた小屋などの話も集めることができた。
そして、制作では米谷さんが主導。家屋などの材質は発泡プラスチックや粘土などを使い、一軒一軒の屋根や電柱も手作り。3Dプリンターも駆使して、細部まで再現した。まちの色合いも当時の記憶を基に鮮やかに表現。「実際は灰色の屋根が多かったと言われていますが、カラフルな方が見て楽しめるかなと。実際に見た方から『この家はこんな色じゃなかった』などの声をもらえれば、もっと精巧に作り込んでいけると思うので、ぜひお声をいただけたら」と米谷さん。
11月8日には、町会の祭りでジオラマが初お披露目された。住民たちが興味津々に覗き込み、ジオラマの中の猫を探すゲームが行われたり、子どもたちは木に柿や柚子の模型を加えて楽しんでいた。
ジオラマは地元の老人会でも展示され、来週26日から1カ月間、東寺尾中台5の22の建物1階スペースに展示される。米谷さんは「これで完成ではなく、今後も更新していきたいと考えているので、昔のまちの風景を覚えている人はぜひ情報を寄せてもらえたら」と呼びかけている。