±15歳の人脈。年齢を超えたつながりが、キャリアを豊かにする理由【27歳からのキャリア戦略】
「年齢差 ±15歳 の人脈を意識的に築くことが大事」と語るのは、転職サイト「リクナビNEXT」の元編集長で、現在は転職支援・キャリア相談サービスを運営する黒田真行さん。なぜ、「±15歳」なのか?世代を超えた人脈術の極意について伺いました。
社内外タテ・ヨコ・ナナメ「三次的なつながり」が、自分の可能性を広げる
—— 最初に、人とつながりを持つことの重要性について教えてください。
キャリア形成において、人とのつながりは自分の可能性を高める最も重要な資源です。
「人脈づくり」というと、打算的というか、ビジネスチャンスを得るための手段として捉えがちです。しかし人とのつながりは、新たな視点や考え方を吸収できるインプットの機会であり、自分を大きく成長させるきっかけになり得ます。 同業種・異業種問わず、年代の異なる人との交流は、自分を形成するうえで欠かせない「栄養素」となる のです。
—— 黒田さんは、とくに±15歳の人脈づくりを推奨されていますが、その理由をお聞かせください。
人とのつながりは、年齢差によって3つの層に分けられます。まず、 ±5歳の「一次的なつながり」 です。これは直属の上司や同僚、後輩など、日常的に接点を持ちやすい人が対象になることがほとんどだと思います。
次に、 ±10歳の「二次的なつながり」 。ここには部長クラスの上司や後輩の後輩など、少し距離のある人とのつながりが含まれます。
そして、最も重要なのが ±15歳の「三次的なつながり」 です。ここには、年上であれば役員や幹部クラスの人、年齢によっては社長も対象になる可能性があります。こうした人たちと、どれだけ接点を持てるかどうかが自己成長のカギとなると思います。
—— なるほど。黒田さん自身は、いつから「三次的なつながり」を意識されてきましたか?
そうですね、20代の頃に担当していた求人情報誌の編集という仕事柄、20代の若手社会人から70代の経営者まで多様な年齢層、職業、役職の方々にインタビューをする機会が多かったので、そこで得られることの意義を体感することができました。その結果、自然に「三次的なつながり」を大事にするようになっていったように思います。
そんな経緯もあって、リクルートでマネジャーをしている時代に、営業部の1年目や2年目の若手社員たちに「ダメでもともと精神で、同期のみんなで日本を代表する経営者にその方の生き方や考え方を深掘りするインタビューをお願いしてみたら?」とアドバイスすることもありました。もちろん、相手への礼儀やマナーは不可欠ですが、20代という若さは大きな武器です。仕事などでアポを取るような機会があれば、「どうせ無理」と決めつけないで挑戦していただきたいと思います。
人脈を自分自身で「編集する」という意識を持つ
—— 15歳上の方に声を掛けるとき、少し勇気がいる気がするのですが、どのような点に気をつければ良いでしょうか?
もし返事をもらえなくても、「忙しいから無理です」と断られても、気にする必要はありません。ただし、相手の失礼にならないように「自分がどんな話を聞きたいのか」を明確に言語化しておくことは必須です。例えば、「創業時のお話を伺いたい」「〇〇の分野について教えていただきたい」など、具体的な目的を示し、誠意を持って伝えることで、相手もきっと前向きに検討してくれるはずです。
特に若い世代が年上にアプローチする際は、相手に「この子のためにひと肌脱ごう」と思ってもらえるような理由を伝えることが重要です。
—— 社外の人とつながりたい時は、どんなことを意識すれば良いでしょうか?
社外の人とどう接点を持つかは、職種にもよると思います。私は仕事柄、取材でお話を聞かせていただく機会が多かったですが、営業職なら交流会に積極的に参加するのも良いと思います。
あるいは講座の同期などの仲間うちで勉強会を開いて、その場に会いたい人を講師という形で招くのも良いと思います。手段は探せばいくらでもあるので、ここは知恵を絞って考えていただきたいですね。
—— 最後に、もっと人脈づくりに励んでいきたいという方にメッセージをお願いいたします。
身近な「一次的なつながり」は自然に形成されますが、自己の成長を大きく広げる「三次的なつながり」は意識的に築く必要があります。ぜひ、自分で「人脈を編集していく」という発想を持って見てください。逆に言えば、意識を持たないと理想とする人脈は広がっていきませんから、積極的な一歩を踏み出してみていただければと思います。この挑戦が、あなたのキャリア、ひいては人生に新たな可能性をもたらすはずです。
プロフィール
黒田 真行
ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役
1988年、株式会社リクルート入社。「リクナビNEXT」編集長、 リクルートエージェント HRプラットフォーム事業部部長、株式会社リクルートメディカルキャリア取締役を歴任した後、2014年にルーセントドアーズを設立。35歳以上向け転職支援サービス「Career Release40」を運営している。 2019年、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を開始。
代表著書 『35歳からの後悔しない転職ノート』『転職に向いている人 転職してはいけない人』