藤沢市 介護事業者、虐待で処分 車椅子を固定、ベッドに柵
藤沢市は先月31日、施設利用者に対する不適切な身体拘束があったとして、介護サービス事業所の(有)ケアーメディカルことり(久保田志津社長)が運営する菖蒲沢の「ことりの森ふじさわ」を虐待認定した。介護保険法に基づき、施設への新規受け入れ停止と介護報酬3割を減額する処分を下した。期間は2月1日から7月31日まで。
施設は市指定の地域密着型サービス事業者で、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)と小規模多機能型居宅介護事業所を併設している。
市によると、昨年4月に身体拘束を通報する匿名の文書と写真が介護保険課に届いたため、5〜8月に市が調査。施設職員に事実確認をしたところ、80〜90代の利用者4人に少なくとも3カ月以上、車椅子を柱やテーブルにひもで固定したり、ベッドを柵で囲んだりしていることが分かった。10月に虐待認定し、12月に処分内容を示した。市指定事業所の処分は初。
身体拘束が認められる条件は、切迫性や非代替性、一時性の3つ。家族への説明や記録を取る必要があるが、施設側は適正な手続きを踏むことなく、法人代表と施設長の指示で組織的に行われていた。「別の利用者のケアに入るために目を離した際、転倒する恐れがあった」などが身体拘束の主な理由という。
施設側は「処分を重く受け止めている」といい、市は「大変遺憾に思う。今後こうしたことが再び発生しないよう指導を行っていく」とした。