「今年もウナギの代用品を探そう!」国際取引規制の可能性でますます食べづらくなるかも?
本日は土用丑の日。一年で最もウナギを食べたくなる日ですが、ときには「代用魚」を美味しく食べるというのもありかもしれません。
ウナギの輸入も難しくなる?
今年も「土用丑の日」がやってきました。今年は7月19日と同31日が土用の丑の日に当たり、この日に向けて飲食店や小売店では、例年通りウナギ商戦が加熱しています。
いっぽうで、ウナギという魚は今や絶滅危惧種に指定され、保護の必要性が叫ばれています。実際、近年のウナギ水揚げ量は低迷が続いており、20年前の10分の1ほどになる年もあります。
日本ではニホンウナギの水揚げ量の減少に伴い、ヨーロッパウナギやアメリカウナギを輸入して利用してきましたが、それらの資源すら減少してしまっています。
国際取引の規制も
そのため現在、EU諸国などから「すべてのウナギ類の国際取引をワシントン条約で規制するべき」という提案がなされています。今年11月から行われる会議でこの提案が認められれば、日本国内に流通するウナギの量は大きく減少することは間違いないでしょう。
ウナギの代用とされる魚たち
このような情勢の中、数年前から「ウナギの代用品」が求められる様になっています。ウナギは多くの場合「蒲焼」で食べられるため、蒲焼にして美味しい魚類がその代用品として脚光を浴びることが多いようです。
一般的なものとしてはアナゴ、深海性のアナゴなどが挙げられるでしょう。アナゴ類はウナギ目に属し、生態や味の点でウナギと近いものがあります。ただし河川で育つウナギと異なり、アナゴ類は海で育つためにウナギ独特の「川魚らしい香り」に欠ける点を評価しない人もいます。
その「川の香り」という点でウナギと共通するものを持っているのがナマズ類です。ナマズはウナギ同様ゼラチン質豊富で厚みのある皮、そして弾力がありむちっとした身を持っており、河川にも生息するので蒲焼にするとかなり似た仕上がりになります。ただし脂が乗りにくいものもあり、そうなるとウナギと似ているとは言えない仕上がりになります。
この欠点を補うべく、養殖によって脂肪をつけ、ウナギと似た味わいに仕上げているナマズも開発されています。自然界にいるものでは「ギギ」というナマズの一種が脂が乗りやすく、比較的近い味わいという評価を受けています。
植物性食材でもできる?
ウナギの代用品として見られている食材は魚だけではありません。近年のビーガンブームもあり、植物性食材によるウナギ代用品に注目が集まっています。
有名なのは「豆腐」で作られたもの。木綿豆腐の水分を抜き、海苔を片面に貼り付けて油で揚げ、蒲焼のタレを絡めて焼くことで「ちょっとウナギっぽい豆腐料理」を作ることができます。精進料理の文脈から開発されたウナギ代用品と言えそうです。
また、山形県では近年、野菜の「ごぼう」を使ったウナギ代用品が食べられています。ごぼうを蒸してから叩いて伸ばし、素揚げにしてからタレを絡めて焼いたもので、ウナギというにはちょっと食物繊維が強いものの、土の香りに一瞬「ウナギらしさ」を感じることができます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>