ストーリーテリングで想像の翼を広げる「銀の櫂」
絵本などの目に見える物を使わず、童話や昔話を暗記して語るのが、ストーリーテリング。そのボランティアをする「おはなし『銀の櫂』」は、40代から70代の会員6人が四日市市立図書館(四日市市久保田)で、月に一回、お話会を開き、小学校や保育園などでも子どもたちに物語を届けている。大人向けの会も開くこともあり、言葉の抑揚と表情だけで語られる物語で、聞く人の想像の翼を広げている。
2004年、ほかのストーリーテリングの会で経験を積んだ加納豊子さん(64)と植原悦子さん(74)が、独立して立ち上げた。絵本の読み聞かせと違うのは、語り手が物語を暗記して語るため、目から入る物語の情報がなく、聞き手が登場人物など物語の世界観を自由に想像できることだ。図書館では館内の本から物語を選ぶため、参加した人はその本を借りて読むこともできる。
「銀の櫂」の会員
その印象的な語りから、小学校1年生の時に聞いた話を、4年生になっても覚えている子もいるという。長年の活動を認められ、4月に子どもたちの読書を推進した団体などに送られる文科大臣表彰を受けた。
5月11日の図書館でのお話会には子ども連れの人が4組参加した。図書館の児童書のコーナーにある小部屋で、聞き手と目線を合わせて語りかけ、物語の世界へ誘った。初めて参加した女性は絵本を使わないことに驚いていたが、じっくりと耳を傾け、物語の世界観に浸っていた。
会員たちは「聞き手の表情から、物語を共有できたと実感できた時や、親御さんから『ほっとできる癒しの時間だった』と言われた時などに、語り手としての喜びを感じる」と話す。
「銀の櫂」では一緒に活動する人を募っており、会員は「まずは図書館に来ていただき、ストーリーテリングを楽しんでほしい」と話している。毎月第2日曜日の午後2時半からお話会を開いている。6月は図書館の閉館日と重なり、第3日曜の15日に開く。
ストーリーテリングのために選んだ本を紹介する会員