オリックス逆襲のキーマン山﨑颯一郎、データが示す復活への道筋
7試合登板に終わった2024年の山﨑
昨季は4連覇を目指したもののまさかの5位に沈んだオリックス。巻き返しを狙うチームの中で、今年に懸ける思いが特に強い一人が山﨑颯一郎だ。
2023年は中継ぎとして53試合に登板して1勝1敗9セーブ27ホールドと大活躍し、3連覇に貢献。しかし、2024年はコンディション不良のため、わずか7試合登板で1勝も挙げられないままシーズンを終えた。
推定2300万円から一気に7000万円まで上がった年俸は5300万円にダウン。減額制限の25%に迫る大幅な減俸を受け入れざるを得なかったとはいえ、心中穏やかではなかっただろう。
2023年と2024年の成績を比較したのが下の表だ。K/9(奪三振率)は10.38から2.7へと大幅に悪化。BB/9(与四球率)も3.12から4.05に悪化している。
ストレートは球速5キロ低下、空振り率も大幅ダウン
山﨑と言えば、何と言っても190センチの長身から投げ下ろす球威抜群のストレートが最大の武器。しかし、球種別データを比較すると、昨季のパフォーマンスがいかに悪かったかが浮き彫りになる。
持ち球全て数値は落ちているが、投球の根幹となるストレートの球速は2023年の平均152.2キロから2024年は147.2キロと5キロも落ちている。
スピードの低下に比例してストレートの空振り率も11.6%から3.8%に大幅ダウン。被打率も.281から.286とわずかではあるが悪化している。
不調のためか、捕手のサイン通りか分からないが、ストレートは投球割合を59.9%から55.2%に減らし、フォークも18.8%から10.4%に減らした分、カットボールが18.6%から33.3%に増えている。
ただ、カットボールの空振り率は18.0%から18.8%とほとんど変わらず、被打率は.125から.250に悪化。フォークも被打率.170から.333と打ち込まれており、2024年はどの球種を投げても抑えられなかったことが分かる。1勝も挙げられなかったのも納得だ。
QSはリーグ最少のオリックス、カギはブルペン陣
元々、細かいコントロールがあるタイプではないため、やはり基本となるストレートが走らないと変化球が活きず、山﨑の良さは出ない。
今春キャンプではネットピッチングやシャドーピッチングを入念に行い、フォーム固めに躍起。26歳という年齢を考えても、まだまだ成長が見込めるし、コンディションを整えてストレートの球威が戻れば復活は十分可能なはずだ。
岸田護新監督も戦力としての評価だけでなく、現役時代に山﨑と同じセットアッパーを長く務めこともあり、背番号21への期待は大きいだろう。
昨季のチーム防御率はソフトバンクに次いでリーグ2位の2.82だったが、先発投手が6回以上自責点3以下に抑えれば記録されるクオリティスタート(QS)は、意外にリーグワーストの74しかない。それだけリリーフ陣の活躍がカギを握っているのだ。
イケメン右腕として女性人気が高く、チケットやグッズ売上でも貢献度の高い山﨑だが、今季は本業での活躍を見たい。岸田オリックスの浮沈のカギを握る右腕が、華麗なる復活を遂げるか注目される。
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記事:SPAIA編集部