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ただ今発掘調査中!天守のさらに奥にあるもうひとつの「備中松山城」

岡山観光WEB

岡山県高梁市の「備中松山城」は、猫城主さんじゅーろーがいる天空の山城として人気の観光スポット。しかし、訪れた人たちのほとんどが、猫城主に会い、天守に上がったらそのまま下山してしまいます。そんな天守の奥、さらにその先に、「備中松山城」のもうひとつの見どころがあるのを知っていますか?現在発掘調査も進行中で、徐々に全貌が明らかになりつつある、もう一つの「備中松山城」をご紹介します。

備中松山城とは?

「備中松山城」は、鎌倉時代から幕末に至るまで使われ続けたとても重要な地に築かれた山城です。天守が現存する唯一の山城として、また秋から冬にかけてお城の周りが雲海に包まれる天空の山城として、絶景の見られるとても人気の高い観光スポットです。

天守のさらに奥にあるもうひとつの松山城

二の丸から天守のある本丸下を通って現存する天守、二重櫓の更に先に水の手御門跡があります。実はここからもっと先に続く道があり、その奥に戦国時代、実際に戦闘のあった中世の山城「大松山城」があるのです。さらに奥には「備中松山城」のもうひとつの見どころでもある、大池という珍しい遺構なども残っています。さあ、奥に進んでいきましょう!

お城の様子がガラッと変わる中世の山城 

その一本道を進んで行くと高い石垣や建物も無くなります。ただの山の中という感じですが、ここがすでに中世の山城の真っ只中。土橋、番所跡、相畑城戸跡、天神の丸と続きます。

備中松山城の始まりの場所・大松山城

約650mで分岐があり、左に進むと「大松山城」に着きます。ここが「備中松山城」の始まりの場所。延応2年(1240)に秋庭氏によって砦が築かれたのが始まりです。その後、この場所が軍備上とても重要であったため、城主・代官・城番など19氏46代が交代して治め、明治時代を迎えました。なお、戦国時代には備中の覇者・三村氏の本城であった「備中松山城」は、備中兵乱という戦いの舞台となり、広島の毛利氏に攻められ城主の三村元親が自害し、ここに三村氏は滅亡しました。

山の中をよ~く見るとお城のいろんな仕掛けが見えてくる①

中世は戦時であったので、山城には様々な防御のための仕掛けが施されています。大松山城は城主のいる本丸をはじめ、兵が駐屯する曲輪と呼ばれる平坦地が山の中に連なって残っています。現在天守の建つ場所も、小松山と呼ばれる中世の松山城の一部だったものを、江戸時代に石垣を築き近世の城に改修したものです。その他、敵が城内に入ってこられないように尾根を遮断した堀切も残っており、実際に見ることができます。

山の中をよ~く見るとお城のいろんな仕掛けが見えてくる②

城内に入る道をわざと狭くした切通しなどの遺構も残っています。また、生活したり籠城したりする時に水は不可欠なもの。城内にも井戸が数ヶ所あり、今も見ることができるので探してみてくださいね。山城を見学する時は、行きは城を攻める気持ちで、帰りは城を守る気持ちになって周りを見ながら歩くと、そのすごさが解かります。「あっ!向こうの斜面の上から敵があなたを狙ってますよ!隠れろ!」

別名“血の池”!発掘調査・整備の進む謎の大池遺構

大松山城への分岐点で右下を見ると、石垣に囲まれた水の溜まった池が見えます。この池が大池で、「備中松山城」に残る謎の遺構です。地元では、人の首や戦で使われた刀を洗ったと伝えられており、別名は“血の池”。2016年から発掘調査および保存整備が行われています。

発掘調査により次々に新たな発見が!

ちょうど発掘調査中の高梁市教育委員会の三浦孝章さんにお話を聞くことができました。「池の水をはじめて抜いて池の底を全面発掘してみると、総石垣造りでした。石垣の積み方や使用石材から、幕末まで何回もの修理がされていた痕跡を確認することができました。また池底は、地山の花崗岩を削り出して成形されており、水が大池に溜まる構造になっていました。谷側には水位調節のための排水施設と、外部には石垣が確認されています。その下部には木樋も発見されました。規模の確定により、大池は“城郭における貯水池としては国内最大級”であることが判明しました」

今後、復元整備されていく大池遺構

まだ発掘整備の途中の大池ですが、2024年には谷側の排水口のある外部石垣の左右を掘った際に、谷を塞き止めるような石垣が出土しています。発掘調査の様子はロープの外から見学もできます。今後、3年で復元整備される予定ということです。今しか見ることのできない様子をぜひ見に行ってみませんか?

大松山城だけ行きたい人は雲海展望台の裏から

大松山城への行き方は、「備中松山城」のある臥牛山と峰続きの山にある、雲海展望台の裏から入るルートもあります。雲海展望台のさらに先の、行き止まりの駐車場まで車で向かいます。その先は歩いて約10分で吊り橋に着きます。その橋を渡るとすぐに大池、大松山城と続きます。後ろに見えている山が大松山城(右)と天神の丸(左)です。大松山城だけ行きたい方は、こちらからのルートがおすすめ。

野生の日本猿の生息地でもある臥牛山

「備中松山城」のある臥牛山は、野生の日本猿の生息地として天然記念物に指定されている場所でもあります。とても可愛い子猿なども見ることができますが、注意看板に従って刺激しないように観察してください。雲海展望台近くの車道や行止りの駐車場から吊橋へ向かう道辺りでよく出会います。

もしサルに遣遇した場合は、次の点に注憲してください 。
●食べ物を与えない
●面白がって、近づいたり、挑発しない
●目と目があってもにらみつけたりしない
●手荷物などをしつかり抱える
●サルが近づいてきても、相手にしない

おしまいに

(備中松山城・猫城主さんじゅーろー殿より)
「備中松山城」は中世の土のお城と石垣や天守のある近世のお城が同じ場所にあり、一度来れば二度楽しめちゃう日本の中でも珍しいお城です。本丸で僕に会ったあとは、さらに奥に足を延ばして、もうひとつの「備中松山城」も知っていただきたいにゃん!

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