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高校生重視の指名傾向

今年は10月24日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番までちょうど1週間、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第1回はソフトバンク編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】
はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、ソフトバンクは合計224人（育成含む）の選手を指名しており、そのうち投手が117人で全体の約52％と、投手と野手の割合は半々となっている。高校生、大学生、社会人（独立リーグ含む）の割合は、それぞれ約56％、30%、14%と、高校生が半数以上を占めており、将来性重視の傾向にある。

2004年以降の各分類別指名人数

次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2014年以降の過去10年間において、上位指名（3位以上）を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名について。ソフトバンクは2014年からの10年間で7度競合しており、評価した選手へ積極的に入札していることがうかがえる。昨年は武内夏暉の指名を事前公表、3球団による抽選の結果、交渉権は西武の手に渡った。これでソフトバンクはくじ引き8連敗となったが、外れ1位で前田悠伍を指名し、3球団競合の末に交渉権を獲得。連敗ストップとなった。

近10年の「くじ運」成績は外れ1位以降も含めて3勝8敗とあまり良くない。なかなか目当ての選手を獲得できずにいたためか、2021、22年は2年連続で高校生を単独指名。結果的に、2020年の外れ1位・井上朋也から4年連続で高校生を指名する形となっている。

過去10年のドラフト1位指名

ポジション別でみると、投手が7人で最も多く、野手は内野手2人、外野手1人という内訳になっている。特徴的なのは初回入札で高校生の指名が7度あること。即戦力というよりも将来への投資を重視する傾向にあるようだ。

近3年は高校生重視からバランス型へ

ここからは上位指名（3位以上）について見ていく。1位指名は高校生重視の傾向にあったが、3位まででみても高校生の指名が多い。2015年と2020年に至っては、下位指名も含め支配下で指名した選手が全員高校生だった。ただ、ここ3年は全カテゴリーからバランス良く指名しており、戦略が変わりつつある。

投手と野手のバランスを見ると、「投手2・野手1」が6度、「投手1・野手2」が3度、「野手3」が1度と、その年の補強ポイントに合わせて指名しているようだ。近5年は野手が9人と多かったためか、昨年は支配下指名した6人中5人が投手とバランスを取ってきた。今年の上位指名も「投手3」、「野手3」のような偏った指名はなさそうだ。

過去10年ドラフト3位までの指名選手（青色で塗られている選手は高校生）

近10年で野手は計15人を上位指名しており、その内訳は捕手5人、内野手6人、外野手4人。1位ではゼロだった捕手を2、3位で重点的に指名している。ただ、ここ3年は指名しておらず、今年はそろそろ捕手を上位指名するタイミングかもしれない。

以上よりソフトバンクの指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・全体では高校生の指名が多く将来性重視
・1位入札も高校生重視
・近3年は高校生、大学生、社会人バランス良く指名
・捕手を上位で指名

かなり高校生に偏った指名を行ってきたソフトバンク。4軍制を敷くなど、育成にかなり自信を持っているが故の傾向だろう。ただ、近3年は大学生、社会人の指名も多くなっており、その傾向も薄れつつある。

今季は独走で4年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。戦力の充実ぶりは頭一つ抜けている中、今年のドラフトでは近年の傾向通りバランス重視か、それとも高校生重視路線に回帰するのか。その動向に注目が集まる。

※選手のポジションは指名当時

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記事：SPAIA編集部