森永製菓『おっとっと』。ヒットの理由は「とんねるず」!?
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。 新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴ります。
今週は「お菓子ウィーク」ということで、各曜日、好きなお菓子の話をしていますが、近藤さんが紹介するのは森永製菓の『おっとっと』です。この『おっとっと』の誕生やヒットの秘密について探りました。
『おっとっと』の発売は1982年
1982年はテレビ番組「笑っていいとも!」の放送が開始され、タイガーマスクなどの影響でプロレスブームが到来。薬師丸ひろ子さん主演の『セーラー服と機関銃』が邦画興行収入1位の大ヒットを記録しました。そして、北へと向かう東北新幹線、上越新幹線が開通。日本レコード大賞では細川たかしさんの「北酒場」が受賞しました。 そんな時代に森永製菓のロングセラーお菓子『おっとっと』がどうやって生まれたのか、その背景にはどんな苦労があったのでしょうか。
現場の試作は「地獄」と呼ばれていた
『ポケモン』とコラボした『おっとっと』も
1980年頃、森永製菓にはスナック部門の柱になるような新商品を発売したいという強い思いがあったそうです。そういった中、研究所で焼けば膨らんで中空になるシートが開発されました。この技術を生かした新たなスナック菓子を作りたいと考え、企画開発がスタート。菓子の型をデッサンにあわせてペンチでブリキを曲げて作り、工場での試作が始まったそうですが、焼くと割れたり膨らみにムラができたりとうまくいきませんでした。大きさを当初のものから3分の1に変更し、形もまんべんなく膨らむものを選定し、オ-ブンも何度か変えて、ようやくきれいに膨らむように。「地獄の現場試作」と言われたほど焼いてはダメ、焼いてはダメという繰り返しだったそうです。
名前は居酒屋での一言がきっかけに
組み合わせの『おっとっと』も
『おっとっと』は、なぜ海の生き物の形をしているのか。当初、味はカレー味やバーベキュー味などの候補があったそうですが、「自然」「健康」といったイメージがあり、売れ筋の味であるシーフード味に。シーフード味なら魚にしよう、という流れで形も決まったそうです。 商品名には、「うおっこパーティ」「小さな水族館」「おかしの魚屋さん」「トトワールド」「魚の学校」「なんかな~い」など何百もの候補が出ていましたが、商品名に悩んだ担当者が居酒屋でお酒を飲んでいると、お酒を注いだ時にグラスからあふれそうになり、思わず「おっとっと」と口に出たことから閃いたそうです。「おとと=魚の幼児語だ」「酒の肴にもなるなぁ。おっとっと、お酒もサカナもこぼさずに」「語呂も良い」と全員でワイワイ笑いながら商品名が生まれたそうです。
クジラのキャラクターの名前は「鯨野とと丸」
9種類の海のなかまの代表として、シンボルキャラクターはくじらに決定。当初は「赤いクジラ」と呼ばれていましたが、“名前がないのはかわいそう”ということで、1996年に「おっとっとキャラクター名づけ親大募集」のキャンペーンを実施。47004通の中から、1997年に「鯨野とと丸」に決定。他には「トットくん」「トット」「モリナガスクジラノトトゾウ(蔵)クン」「海の赤大将」「海原波之介(うなばらなみのすけ)」「美味久手吠留(うまくてほえる)クン」など、バラエティーに富んだ名前の応募があったそうです。「鯨野とと丸」に決まった理由は、商品名と関連していて覚えやすく日常的に呼んでもらえる、かわいらしい名前だからだそうです。
ヒットの理由は「とんねるず」
『おっとっと』が当初からヒットした理由には、菓子の形を楽しみながら独特の軽い食感の心地よさが感じられる子供向けのスナックという当時市場になかった新しいコンセプトの商品であったことに加えて、発売当時から「とんねるず」のユーモラスなテレビCMがお茶の間で人気となったことがあるそうです。
木梨憲武さんと共演している近藤アナもビックリ
長く愛される森永製菓の『おっとっと』、ぜひこれからもよろしくお願いします!
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)