<セルフレジで大ゲンカ!>ぜ~んぶ自分でやりたい3歳の息子が「ボクもやる」ゲッ!【まんが】
私は3歳の息子(アキト)を育てています。幼稚園への入園は来春からなので、いまは毎日、息子のお世話を頑張っています! 最近の息子は「やりたい!」盛りです。私がキッチンで料理をしていると……。
「ママー! アキトもお手伝いする~」そう言いながら、子ども用の踏み台を持ってきます。子どもの「やりたい」を大切にしたい。そういう気持ちがあるのも事実です。でも本当は自分ひとりでちゃっちゃとやってしまった方が、時短にもなるしストレスもたまりません。
レタスを洗うだけならこちらの負担が少ないだろうと提案しても、アキトは「ジュージューがやりたい」と言ってきます。
こうなると、もうお手上げです。子どものやりたいことに寄り添いながら、危険なことや手間がかかることを避けるのはどうしてこうも難しいのでしょうか。私はアキトと一緒に子ども用の包丁を持ち、「ゆっくりね……」と言いながら一緒にハムを切りました。
手間も時間もかかるけれど、こうやって少しずつ「できる」ことを増やしてあげたい。内心「ゲ!!!」と思っていても、子どもの味方でありたい。私はそう思います。 子どもの「できない」が「できる」に変わる瞬間をサポートしていくのが、親としての務めだと思っているからです。
そんなある日、100円均一ショップに行ったときのことでした。お会計はすべてセルフレジになっています。私がバーコードをかざしていると……。
セルフレジは6台ありました。ウチが多少遅くても、並んでいる人は先に空いたレジを使うことでしょう。
「後ろに並んでいる人がいるの、分かりません?」「え……あ……あの……」
子どもといると、いつも子どもの機嫌とにらめっこです。だって外で機嫌が悪くて泣きだすと、周りの視線が気になってしまうから……。それに子ども自身に「新しいことを経験させる」のは、そんなに怒られるようなことなのでしょうか。レジは他にも5台あります。空いたらそちらを使えばいいのに、なぜ私は怒られないといけないのでしょうか。
【お姉さんの気持ち】迷惑な親子「並んでるの、見えない?」
私は営業の仕事をしています。今日は得意先を何件か回らないといけません。得意先を回る合間に仕事で必要なものを購入するため、駅前の100円均一ショップに入店しました。レジに並びながら、電車の時間とにらめっこです。なかなか空かないレジにもどかしさを感じていると、前でセルフレジをしていた母親が子どもにゆっくりとレジの使い方を教えていたのでした。それを見た私は、つい腹を立ててしまったのです。
思わず腹を立ててしまった私は、つい「人が並んでいるのに、子どもにゆっくりレジを教えるとか迷惑なんですけど!!!!」そう注意してしまったのです。
「め……迷惑って……。誰にだって「はじめて」はありますよね? 子どもにレジを教えるなってことですか?」母親の言葉にさらに腹が立ちます。 「後ろに人が並んでいるでしょ? 見えないの? それなのに空気読まずにゆっくり子どもとおままごとしているなら、早くレジ代わってください!」
「おままごとって……。子どもたちにはまだまだ覚えないといけないことや、教えないといけないことがたくさんあるんです! そんな成長の機会を奪う権利があなたにあるんですか?」母親の言っていることは理解できません。混んでいるのに子どもにレジを教えるのがそんなに大切でしょうか。
「レジは他にもありますよね? 皆さん次々に空いた台を使いますよね? それなのに、どうして私たちだけこんなこと言われないといけないんですか?」「お年寄りってセルフレジ、すごく遅いですよね? ひとりじゃできなくて、店員さんに教えてもらっていますよね?」 もちろん私の言い方もよくなかったところはあったのかもしれません。けれど目の前の母親は、まるで「自分は悪くない」と言わんばかりの口ぶりです。そしてお年寄りまで引き合いに出してくるのです。
レジが遅いことを注意しただけで「少子化」の話にまで発展してしまいました。そういうことを言いたいのではありません。私は電車の時間のことを忘れて、思わず戦闘態勢に入ってしまいます。
「そんなに怒らないのー。ね? ボクがびっくりしているわよ?」そこで声をかけてきたのは年配の女性でした。
私の言い方も、もう少し柔らかい口調にするべきだったのかもしれません。しかし早くお店を出なければ……という焦りが、語気を強めてしまいました。母親という仕事の大変さは、やったことがないから分からないけれど、いろいろな責任を負っているということは重々承知しているつもりです。だからこそ周りを見渡せる視野を持たないといけないのではないか……そう思ったのです。けれど相手に伝わらなければ意味がありませんね。そこは反省したいと思います。間に入ってくれたおばあさんに、感謝をしたいです。
【私の気持ち】年配の女性の言葉にハッ……!「誰にだって事情があるの」
ある日100円均一ショップに行ったとき、「ぼくもレジをやりたい!」と言う息子にセルフレジの使い方を教えていたら、後ろでレジを待っていた見知らぬ女性に怒られてしまいました。「遅くて周りに迷惑をかけている」と言われても、子どもなんだから仕方ありません。誰にだって子ども時代はあったはずなのに……。その後、私と女性は激しい言い合いになってしまいました。すると近くにいたおばあさんが、私の気持ちに寄り添った言葉で話しかけてくれたのです。
私の気もちに寄り添ってくれたおばあさんの言葉に思わず涙が出ました。子育ては楽しい一方で、理不尽に感じることもたくさんあります。
「でもね、このお姉さんの事情も考えたことあるかしら?」「もしこのお姉さんが、あと1分でこのお店を出ないと仕事に間に合わないとか、そういう状況が分かっていたら、あなたは子どもにゆっくりレジを教える?」
おばあさんの言葉にハッとしました。私は自分の都合を考えるあまり、周りに配慮することを忘れていたのです。
「でもね、子育てをしている人以外にも、分からないだけでいろいろな事情を抱えている人がいるってことを忘れてはいけないの」
私はセルフレジを教えることに、なぜこだわっていたのでしょうか。声をかけてきた女性にカチンとくるあまり、大切なことを見失っていたように思うのです。 「いま、あえて後ろの人を待たせてまで子どもに「練習」させる必要は……ないのかもしれないわね」
私は反省しました。おばあさんの言うことは、もっともだと思います。
「人に迷惑はかけないとか、危ないことはダメとか、その状況に応じて子どもに「できること」と「できないこと」があるという現実を教えるのが……大切なのかもしれないわね」
おばあさんの言葉は、そのひとつひとつがとてもゆっくりしていて、それでいてストンと心の中に沁み込んでいくのが分かりました。育児をしていると、どうしても目の前のことに気を取られてしまいます。けれど長い目で考えたとき、子どもに伝えていくべきことは「柔軟性」なのかもしれないな……と感じました。
「社会の一員」として忘れちゃダメなのは……互いへの配慮
「子どもを育てている側からすれば、「厳しくない?」とか「もう少し寛容になって欲しい」って思う気持ちもわかるし、常に社会に見張られているようで気が休まらないわよね~」
「でも、最低限のことに気を付けて、周りを見ながら行動していて……それでもまだいろいろ言ってくる人のことはもう気にしなくていいの。周りを気にしすぎないのも、うまく子育てをしていくコツよ?」
「難しいんだけどねー。私も4人育てたけど、結局子育ての何が正解だなんて、最後まで分からなかったわ」おばあさんの言葉に思わずくすっと笑ってしまいました。
「頑張って未来ある子どもを育てている人も、働いて社会を支えてくれている人も、一生懸命勉強している人も、家庭を守っている人も……ほんの少しだけでも周りを見渡せる余裕を持てれば、少しは社会の空気も変わってくると思うわ」
「そんなに目くじら立てないで、仲良く暮らしていきましょう」
おばあさんのうまい言葉に、思わずおねえさんと顔を見合わせました。「目くじら立てず」私もそうありたいと思いました。
「気が利かなくて……すみませんでした……」「はい……私も……少し言いすぎました……」
最初は「なんて子育てのしにくい社会になったんだろう」と怒りが沸いてしまっていましたが、おばあさんの話を聞いて、自分にも配慮が足りなかったことが分かりました。気を付けてはいたつもりでしたが、無意識に「子どもを育てている」ということを、印籠のように思っていたのかもしれません。周りの人にも事情がある……しっかり胸に刻んでおこうと思います。