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駄菓子屋が学び舎に 「商売」体験、不登校支援にも

タウンニュース

お釣りの受け渡しをする菅原想介さん(奥)

菓子の販売を通して子どもたちが社会や商売の仕組みを学ぶ「駄菓子屋クレヨン」が先月24日、石川に開店した。湘南大庭を拠点に活動する「NPO法人ぐるんとびー」の事業で、小学生が中心となって仕入れから販売まで行うなか、不登校支援の側面も兼ねており、地域の新たな集い場となっている。

「これください」「おつりは10円です。ありがとうございます」。トレーラーハウスを活用した店内に元気な声が響く。ずらりと並ぶ商品は、美味しくて安いスナック菓子や歴史上の偉人が描かれた知育菓子など、小学生目線で選んだラインアップだけに、来店者が次々と手に取っていく。

同店のある駒寄小学校周辺では、駄菓子屋が少ないこともあり、開店当初は多くの子どもたちでにぎわった。1カ月が経過し、「徐々に家族で来店する人も増え、地域に浸透してきている」と担当スタッフの富樫里美さんは話す。

手伝う小学生は5人。NPOのスタッフと販売する商品について考え、仕入れにも同行する。原価と利益の関係をはじめ「少しでも多く売れるために何をするか」を考える。子ども店長の菅原想介さん(12)は「また来たいと思ってもらえる場所がテーマ」と笑顔。手伝いの報酬は「好きなお菓子をもらえる」とかわいらしいが、経営についての学びは本格的だ。

社会とつながる場を

開店のきっかけは、大庭の介護事業所「ぐるんとびー駒寄」に地域の児童や不登校の子どもたちが自然に集まるようになったこと。

多い時は15人ほどが、施設を利用する高齢者と触れ合ったり、カードゲームをしたりする姿に菅原健介代表が「地域に開けた子どもたちが社会を学べる場を作れたら」と考案した。

子ども店長の想介さんは菅原代表の息子であり、現在は小学校に通っていない。他にも不登校の子どもが2人いるが、同店でのびのびと手伝いに励む。「駄菓子屋を手伝うようになってから、想介も算数に興味を持ってくれるようになった」と菅原代表は目を細める。6月からは子ども食堂の事業も開始し、今後はフリースクールとして事業の更なる拡大も視野に入れている。「子どもが社会と関わりを持てる場所をもっと広げていきたい」と話す。

藤沢市石川693の6。開店は毎週月曜日と木曜日の正午から午後5時。

子どもたちでにぎわう「駄菓子屋クレヨン」

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