【佐渡金山の世界遺産登録】静岡県と観光連携している新潟で初の登録。土肥〜佐渡の金山を結ぶ縦のラインの活性化に期待!
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「佐渡金山の世界遺産登録」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年7月30日放送)
(橋本)新聞はパリ五輪一色みたいになっていますが、7月28日付の静岡新聞で「新潟県の佐渡の金山が世界遺産に登録された」という話題が大きく取り上げられたので紹介します。後で話しますが、静岡県にも関係があるニュースです。
記事にもあったように、佐渡の金山は日本の文化遺産としては21番目で、自然遺産を含めて26番目ということです。静岡県内の世界遺産というと、富士山、明治の日本の産業革命遺産の一つである韮山反射炉がありますが、新潟県内での世界遺産登録は初めてです。
(山田)新潟県、世界遺産は初めてなんですね。
(橋本)韓国との歴史問題で登録が当初の想定より遅れましたが、そうしたこともあって地元としては喜びもひとしおのようです。佐渡では登録を決めたユネスコ世界遺産委員会のパブリックビューイングが行われて、登録を祝うイベントなども開かれたようですね。
江戸幕府を支えた金山
(山田)行ったことないです。佐渡島ですよね。歴史に少し出てきて勉強した思いがあるんですけども、詳しくわかってないので改めて佐渡金山を説明していただけますでしょうか?
(橋本)佐渡島は日本地図で新潟県の左上に位置する、船を二つ並べたような、逆さの「Z」のような形が特徴的な島です。
佐渡金山というのは、資料を見ると55の鉱山があり、その金山の総称ということです。その中で今回、日本政府が推薦して登録されたのが、「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」。西三川砂金山などは平安時代より前からの歴史があるという話です。1601年に徳川家康の所領となって、この年に金脈が新たに発見されたということで、江戸時代を通して幕府の財政を支えたという歴史があります。
(山田)めちゃめちゃ採れたのでしょうね。
(橋本)鉄鉱石の採取から精錬まで、手工業で行っていた時代の遺構が残るのは世界でも例がないことから、世界文化遺産に登録されたということです。明治時代に機械化が図られて、1896年に民間に払い下げられました。戦時中は軍需物資として銅を優先的に生産して、戦後にまた金銀を生産したということですね。
だんだん鉱石が取れなくなってきたため、最終的には1989年に操業を止めています。400年間で金は80トン前後、銀は二千数百トンを産出したということです。
金の産出だと、国内で言うと鹿児島に菱刈鉱山という桁違いに埋蔵量が多くて今も採掘がされているところがありますが、銀も合わせて取れる鉱山としては日本最大のようです。
佐渡から土肥までの「黄金KAIDO」に再び注目が集まる⁉
(橋本)新潟県は、静岡県と観光振興で連携しているので、静岡県としても無関係ではないんです。
(山田)この新潟と静岡の観光振興の話はこのコーナーでも少し勉強したことがあるんですけどもちょっとそこも改めて教えてください。
(橋本)川勝平太前知事が「山の洲(くに)」というのを提唱して、新潟、長野、山梨、静岡の縦のラインで観光連携を呼びかけたということを覚えてる方もいると思います。ちょうど新型コロナの感染拡大で消費低迷が問題になっていた2020年に、この4県で、相互に観光の振興や農水産物の消費拡大に取り組みましょうということで始めました。バイ・ふじのくに、バイ・山の洲などと銘打って、直売会や物産展などを開くという取り組みです。
さらに、観光で佐渡金山と伊豆の土肥金山を結ぶと約570キロぐらいのルートになるらしいんですが、長野と山梨にもそれぞれ金山があるので、そこを繋いだ道を「黄金KAIDO(かいどう)」と命名し、国内外から観光客を誘致する取り組みを2023年に始めました。先日の「3時のドリル」でお話ししたように、外国人客は三大都市圏に集中しているのが実情なので、それとは違った田舎の良さ、地方の魅力を生かして誘客に繋げたいという狙いがあります。
(山田)以前のこのコーナーで僕はこの「黄金KAIDO」のことを知ったんですけども。これ、川勝前知事がやったことですけども、成果はどうだったんですか。
(橋本)そうですね。成果というと、まだ始まって1年で難しいところもあると思うんです。ただ、国内で浸透してるかというと…。
(山田)いや、静岡の人もどれぐらい知ってるんですかね。黄金KAIDO。
(橋本)おそらく、全然浸透していないのが実情だと思います。でも、今回佐渡の金山が世界遺産に登録されたということで注目度が一気に上がると思います。
前知事がやっていたことだと、引き継ぐ場合もありますが、知事が変わってしまうと「何のことだっけ」みたいになることもあるじゃないですか。でもせっかく、4県が連携したので、これから佐渡が国際的にも注目されることを機に、もっと活発化させていろんなアイデアを出してほしいと思います。
今まで、静岡は横のラインで動く感覚はありましたが、縦のラインというのはあまり意識してなかったと思うので、4県で連携しましょうという視点はなかなか素晴らしいものがあると感じます。
1日で土肥金山から佐渡金山へと行くいうのはちょっと無理だと思いますが、お互いに情報を発信する、例えば佐渡に行けば土肥金山のことを含めて勉強できるというような、そういうことからやっていけばだんだん浸透してくるんじゃないかなと期待したいところです。
縦ライン4県の県民が行き来することにも期待
(山田)今回の佐渡金山の世界遺産登録で、土肥金山がまた見直されたらいいなと。
(橋本)土肥金山には、大きな金塊がありますよね。なかなか見れないものだし、楽しいですね。
(山田)砂金集めもできたりしますから、また、注目されていけばいいですよね。
(橋本)知事が変わっても、観光の連携が続いてくれたらいいなと期待したいです。
(山田)これから鈴木康友知事に期待したいということですよね。縦のライン、中部横断道ができて、山梨の方に行きやすくなってますからね。
(橋本)海外も大事ですが、お互いの県民が行き来きするみたいなことは、今まではちょっと限定されていたと思います。新潟の人が、土肥金山ってどんなところだろうと思って旅行に来てくれたりということがもしあれば、いいことだと思います。
(山田)しかも夏は、涼しい方面じゃないですか。夏の旅行で、この縦ラインで山梨、長野を通って新潟に行くというのがなんかおもしろそうな気がします。佐渡の金山が世界遺産になったことで、日本の世界遺産の文化遺産21件、自然遺産5件を改めて見直すのもいいかもしれませんね。今日の勉強はこれでおしまい!