ハワイで気候変動対策のため宿泊税を増税 ワイキキビーチの浸食対策などへ
気候変動対策のため 全米で最高水準の宿泊税に
米ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は、ハワイ州の宿泊施設で加算される宿泊税について、増税する法案について署名し、この州法が成立した。
宿泊税は、ホテルや短期バケーションレンタル、タイムシェアなどの施設の利用客に課される。現行の宿泊税は10.25%だが、2026年1月1日から11.00%となる。宿泊客には、これ以外にも郡ごとの宿泊税などの他の税金もかかり、合計で18.712%の税金が徴収されることとなる。この水準は、全米でもかなり高い。
マウイ島の山火事を経験 ワイキキビーチの浸食対策などに
今回の宿泊税増税の主な理由は、気候変動対策のため。ハワイでは、2023年にマウイ島で大規模な山火事が発生し、マウイ島の一大観光地であるラハイナの町が甚大な被害を受けた。この山火事の原因のひとつとなったのが、可燃性の外来植物であると言われており、そのような植物の除去のプロジェクトにも、今回の税収が充てられるという。
また、温暖化による海面上昇の影響で、ワイキキビーチでは人工的に砂浜の拡張工事が行われている。そのような浸食対策も必要だ。
これらの気候変動に起因するさまざまな対策のための資金調達として、ハワイを訪れる観光客からも徴収しようと至ったのが、今回の宿泊税増税だ。
グリーン州知事は「地球を揺るがす気候変動災害に対処するため、国や他の州も同様の動きを起こす必要がある」と述べ、「将来を見据えたメカニズムがなければ、このような危機に対処できないだろう」とコメントを発表している。
今回のハワイの宿泊税増税から私たちが考えなければならないのは、気候変動の影響がこれまでに以上に、さまざまな部分に表れているということ。さらに、そのような対策や対応の責任は地域住民のみならず、その地を訪れる旅行客も担っているということだ。ハワイへの旅行代金が増えるといった表面的な事実だけにとらわれず、その本質に目を向けてみよう。