「腹が立ちすぎて笑ってしまう境地になれます」風間俊介&MEGUMI、お気に入りのシーンは?『劇場版 それでも俺は、妻としたい』
風間俊介とMEGUMI主演『劇場版 それでも俺は、妻としたい』が、現在劇場公開中。このたび、本作の公開を記念して、W主演の風間俊介とMEGUMI、2人の息子・太郎を演じた嶋田鉄太、そして足立紳監督が登壇する公開御礼イベントが開催された。
セックスレス夫婦が繰り広げる攻防戦!
連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)の脚本などを手がけた足立紳が、自身が手がけた売れない脚本家の夫とそんなダメ夫を罵倒する妻の夫婦“性”活エンターテイメント小説「それでも俺は、妻としたい」(新潮文庫刊)を原作に、風間俊介とMEGUMIがW主演を務めた真夜中ドラマ「それでも俺は、妻としたい」。テレビ大阪制作史上最高のTVer総再生数1,500万を突破(※集計期間:2025年1月12日~2025年4月3日、第1話~第12話の総再生数、株式会社ビデオリサーチにて算出)、風間俊介演じるダメ夫の豪太とMEGUMI演じる恐妻・チカとのやりとりがSNSを中心に話題を集めた本ドラマが、未公開シーンを含む足立紳監督によるディレクターズカット版『劇場版 それでも俺は、妻としたい』として絶賛公開中だ。
本作が劇場版として映画館で上映されることについて、風間は「ドラマというのは放送時間の中で流れて、みなさんの心にとどまっていくんですけど、映画となりますと<作品>として残っていくことになります。“映画は海を超える“なんて言い方もしますけど、海外の方にもこの柳田家が流れていくのかと思うとドキドキする部分もありますが、こうしてみなさんが劇場に観に来てくださり、映画として残っていくのはすごく嬉しいことです」と喜ぶ。
MEGUMIも「ドラマの時も『楽しく見てるよ』というお声をたくさんいただきましたが、やっぱり映画館で見るとなると、染みわたり方が違う感じで、みなさんにとっても考える時間にもなるんじゃないかと思います。この家族は、本当に言いたい放題で、ダサいところも全部さらけ出して、それでも一緒にいるという家族で、そんな家族を見て『大変だけどやっていこうかな』という気持ちになっていただけたら嬉しいです」と呼びかけ。
足立監督は「ドラマは全12話で4時間半ですが、映画はそれを2時間ちょっとにしていまして、豪太とチカの夫婦の関係、一対一の人間関係をなんとか持続しようと踏ん張る夫婦の形が、映画のほうがより鮮明になった気がしています。(ドラマと映画での)夫婦の見え方の違いも楽しんでいただけると嬉しいです」と思いのたけを口にする。
そして嶋田は、このドラマが映画になると聞いた時の気持ちを尋ねられると「映画と聞くとハリウッド映画、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が(頭に浮かんで)来るんですけど、『劇場版 それでも俺は、妻としたい』もそういう感じになるのかと思ったんですけど…」と率直な思いを吐露。風間はその言葉に「そうね、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とは対極のところにある映画ではあるんですけど…、どっちも最高に楽しい映画だからね」と苦笑交じりにフォローする一幕も。
これに対し嶋田は「もしかしたら続編の可能性もありますよね?(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同様に)未来編と過去編?」と畳みかけ、MEGUMIから「どれくらい未来に行きましょうか?」と振られると「20~30年後くらい?僕の子どもの話で。(風間とMEGUMIが)おじいちゃん、おばあちゃんで」と返し、ドラマさながらの一家の会話に会場は笑いに包まれる。
そんな中、風間は改めて「みなさん、既にお感じだと思いますけど、(嶋田くんは)天才なんですよ」と嶋田を絶賛。MEGUMIも「中身が58歳なんです(笑)」とうなずき、「歯を磨くように、水を飲むようにお芝居するんです」と称賛、ドラマの放送期間中、あちこちの現場で多くの俳優から「あの子、何?」と尋ねられたと明かしてくれた。また、撮影現場での豪太とチカの会話の掛け合いについて、風間は「MEGUMIさんがキレッキレの刀で豪太を斬りつける瞬間は、現場が盛り上がり続けていました」と振り返り、MEGUMIも「私がキレればキレるほど、監督はニコニコ笑っていました」と思い起こす。
劇中の会話の内容は、ほぼ全て足立監督の実体験によるものだが、足立監督は劇中の豪太とチカのやりとりについて「(自身の頭の中の)イメージを超えてきたところがあって、風間さんが演じる豪太が、ただのダメ男じゃない“小賢しいダメ男”という感じで…(苦笑)」と絶賛(?)を送った。
一方、足立監督の奥さんをモデルとしたチカを演じたMEGUMIは、<豪太のような男をどう思うか? >との問いに「監督を目の前にして何とも言いづらいですが(苦笑)、奥様は本当に偉大な方だなと思いますし、奥様を見かけするたびに温かい毛布を掛けてあげたいなと思いました。『夫婦っていろんな形がある』と言われていたし、思ってもいたけど、それを痛感させられた『すごい形の愛なんだな…』と思って見ていました」と語る。
そして、改めてチカの魅力について、MEGUMIは「やっぱり、豪太というのはなかなかな人で、仕事もままならないし、意外と言い返してきたりして、その言い返しも『その角度からかよ!イラっ!』みたいなとこがあるんですけど、ちゃんとそれをキャッチして、ボールを投げるってすごいなと思います。働かない夫に対して、あそこまでちゃんと向き合ってるって『愛してるんだろうな』というのが伝わってくる。チカを演じてみて、なんだかんだ想い合ってる2人だと思ったので、チカの懐の深さ、豪太のことが好きなんだなってところが素敵な女性だなと思っていました」と熱弁!
風間は、そんなMEGUMIの言葉に深くうなずきながら「作品内でも素晴らしいですけど、(夫と自身をモデルにした)この作品を世に放つとなった時、奥様が『よし、行ってこい!』と言ってくれるのが、本当に素敵だと思います」と監督の奥さんの懐の深さに感嘆。そしてMEGUMIも、ある映画祭に足立監督の作品がノミネートされ、上映されるのを現地で見た経験を明かし「監督と奥さんの2人でいらしていて、奥さんが感激して、自分のことのように幸せそうな顔をしているのを見て、めちゃくちゃグッときました。『いろいろあるけど、映画をつくっているアンタが好きやで』というのが見られて、この作品はそういうことなんだなと思いました」としみじみと語り、劇場は感動に包まれていた。
しかし足立監督はそんなMEGUMIの“良い話”に対し、「(奥さんは)外っ面がいいんですよね。1対1の時もあんな感じでやってくれると…」と、まさかの本音をポロリ。これには風間がすかさず「やめなさい!」とツッコミを入れ、嶋田も「何てこと言うんですか…」と少し呆れ気味に。それに対して風間は「(劇中の)豪太の口ごたえって、こういうことなんですよ(笑)」と苦笑いを浮かべながら、和やかな雰囲気で場を包んでいた。
改めて、これから映画を観る観客を前に、お気に入りのシーンを尋ねると、風間は「柳田夫婦の大きな<起点>となる、2人揃って人前に出るシーンがあるんですが、その時のチカ、それを演じたMEGUMIさんの奮闘ぶりは、カッコ悪いんだけど、そうやってカッコ悪いことを一生懸命やる素敵さが出ていると思いますし、そこが美しかったと思います」とMEGUMIの熱演を注目ポイントに挙げる。
一方、MEGUMIも風間の演技を絶賛。「風間くん(=豪太)の世紀の大逆ギレですね。『お前が言うんかいー!』って地球上の全員が言うくらいの見事な逆ギレをなさっていて、そのお芝居が素晴らしくて大好きです。腹が立ちすぎて笑ってしまう境地になれます」とアピール、嶋田も同シーンについて「本当にぶんなぐってやりたくなります!」と激しく同意していた。
舞台挨拶の最後に、嶋田は「(本作を観ると)イライラして爆発しそうになると思うんですけど、いったん、ここでは抑えて、家に帰ってからどんどん文句を言ってください。本当に最悪ですから!(映画は)最高ですけど(豪太は)最悪ですから。それしか言うことないです」とアピール。MEGUMIは「この家族を見て、何かを持ち帰っていただけるような作品になれたらいいなと思います。ぜひ見終わった後に“『バック・トゥ・ザ・フューチャー』超えた”というコメントをSNS上で上げていただけると嬉しいです(笑)」と呼びかける。
風間は「すごく特殊な作品だと思っています。すごく挑戦的で、ドキュメンタリータッチと言いますか、日常の中にカメラが紛れ込んだような作品になっています。みなさんが知っている家族の形と違うかもしれないし、もしかしたら共感できる部分もあるかもしれません。全ての家族にそれぞれ思うことがあって、その中でみんな頑張っているんだなと思っていただける作品になっていると思います。この作品を見て、どこか家族のことを思い浮かべてくれたら嬉しいです」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
『劇場版 それでも俺は、妻としたい』は絶賛公開中