大阪中之島美術館『日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!』縄文土器に若冲・応挙、現代美術まで…隠れた名品が集う
2021年に代表作「動植綵絵」が国宝指定され、今や知らない人はいない日本の画家、伊藤若冲。 しかし2000年以前は研究者や一部の日本美術マニアしか知らない、マイナーな存在でした。
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若冲のように、再評価のときを静かに待つ作家や作品が、たくさん埋もれているはず…。
そんな知られざる名品に出会える展覧会『日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!』が、大阪中之島美術館で開催されます。会期は6月21日(土)〜8月31日(日)です。
本展では、縄文土器から現代美術まで幅広い作品を紹介。
新たに発見された若冲と円山応挙の合作をはじめ、本展だからこそ見られる作品も多数あります。
「未来の国宝」を探しに出かけてみませんか?
見どころ①未来の国宝かも!?知られざる名品との出会い
若冲、岩佐又兵衛、曽我蕭白、長沢芦雪など奇想の画家はもちろん、今まであまりスポットの当たらなかった作品の素晴らしさを改めて発信する本展。
室町時代の水墨画や幕末・明治、近代の絵画などが、新しい切り口で紹介されます。
室町時代の水墨画といえば雪舟が群を抜いて存在感がありますが、他にも独特な作風で活動した画家がいました。
たとえば式部輝忠は、口を逆三角形に開けて笑っているような猿が壮大な景色の中で遊ぶ「巖樹遊猿図」を残しています。
しかし現存する作品が少なかったり、資料が少なく生没年すらわからなかったり、彼らの活動は謎に包まれています。
残された作品はいったい何を語るのか?ぜひ会場でお確かめください。
明治期に入ると、西洋絵画の影響を受けた不思議な絵画も登場。原田直次郎「素戔嗚尊八岐大蛇退治画稿」は立体的に描く西洋の手法を取り入れ、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する場面を描き出した作品です。
カンヴァスを突き破って犬が顔を出すトリックアート的な表現も珍しいのでは。
昭和期に描かれた牧島如鳩「魚籃観音像」は、観音様と聖母マリアが1つの画面で共演する珍しい作品。
キリスト教の信者だった如鳩は、その後仏教にも帰依し、「神も仏もひとつである」という立場にいたります。
キリスト教と仏教が融合した、他に類を見ない絵画を数多く残しました。
見どころ②若冲と応挙、合作が初めて発見!
江戸時代の日本美術を代表する、円山応挙と伊藤若冲。応挙は動物や植物の自然な姿を描写するわかりやすい作風で人気を博し、日本美術史に燦然とその名を轟かせてきました。
応挙を「主流」とするなら、若冲は長らく「傍流」と位置付けられ、主流での解釈が広がったのはごく最近のことです。そんな対照的な2人の合作が新たに見つかり、本展で公開されます。
2人が一隻ずつを手がけた屏風で、若冲は竹に鶏、応挙は梅に鯉を金地に水墨で描きました。
それぞれの画家が最も得意とした画題です。
金箔の質も同一で、金屏風を仕立てた発注者が、画題を指定して若冲と応挙に依頼したと考えられています。
江戸時代の日本美術を彩るスーパースター2名の共演は、本作以外に類例がありません。
貴重な作品をぜひ見逃さないでくださいね。
また、通常の前売券に加え、「竹鶏図屏風」「梅鯉図屏風」のミニ屏風と、観覧券(一般)1枚がついたグッズセット券を6月20日(金)23:59まで販売。
購入方法などは展覧会公式サイトでご確認ください。
見どころ③素朴絵に縄文土器、超絶技巧…日本らしさが詰まったユニークな美術
「素朴絵」というジャンルをご存知でしょうか?「ヘタウマ」と呼ばれ、凄みよりは親しみを感じるような、「ゆるさ」が特徴の絵のことです。
子供が描いたような絵、と言われることもあります。
こうした作品を稚拙でダメだと切り捨てなかったのが、日本です。
日本美術史を紐解くと、「なぜこれが歴史に残っているんだ…?」と思ってしまうような、ゆるい作品がいくつも存在します。
これも日本美術の個性のひとつで、なかなか他国にはないオリジナルな部分だなあ、と愛おしく感じます。
本展では、素朴絵をはじめとする日本美術ならではの作品を多数紹介。
世界でも傑出した豊かな造形を誇る縄文土器や、手先の器用さに度肝を抜かれる超絶技巧による明治期の工芸など、幅広い時代とジャンルから見るべき作品が集結します。
展覧会情報
日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
会期:2025年6月21日(土)〜8月31日(日)
休館日:月曜日、7月22日(火) *7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館
開場時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
※一部日程において開館延長を実施
開館延長日時:2025年7月18日から8月30日までの金曜日、土曜日、祝前日の17:00〜19:00
展覧会公式サイト:日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!