【注意喚起】ついに石破首相や高市早苗氏を使った〝なりすまし投資詐欺〟のSNS広告が表示されまくる事態に
新年早々、Facebook広告が無法地帯の大荒れ状態になっている。Instagramにも同様の広告が増え始めているので、“META社のSNSサービスの広告枠がメチャクチャになっている” と言い換えても良いだろう。
お伝えすべきことは山ほどがあるが、なかでも、ついに “一線を超えた” と思ったのが、石破茂内閣総理大臣や、自民党の政治家・高市早苗氏を使った「ウソ記事」の広告が表示されまくっていること。
結論から言えば、これらすべてはウソである。絶対に信じてはならない。それでは一体、このウソ広告がどんなものなのか? 何を狙っているのか、そして「なぜ今?」なのかを、簡潔にまとめておきたい。
【画像と動画】ウソ広告、ウソニュース、その後の流れに、実際の電話、すべて見せます
・ついに首相までが “なりすまし” の対象に
私のFacebookに日本のトップである石破首相や政治家・高市早苗氏の〝なりすまし投資詐欺広告〟が表示されまくるようになったのは、まさに1月1日から。
石破首相、高市早苗氏ともに、「ニュースに見せかけた広告」になっており、どちらも「悲劇の結末」や「告発が確定」「秘密がついに明らかに」「今朝のニュースは日本人全員に衝撃(or震撼)を与えた」など、センセーショナルな見出しが付けられている。
広告を押すと、「gooニュースに配信している読売新聞」のフリをした、でっちあげのウソ記事が表示される。
記事のタイトルは、両人とも「日本銀行が生放送での発言で石破茂氏(高市早苗氏)を提訴」であり、内容も名前を変えただけで全く同じ。
非常に長いでっちあげ記事なので、本稿の最後にオマケとしてスクリーンショットを貼り付けておくが、超簡潔にまとめるなら、
テレビの生放送中、ついうっかり「働かないで億万長者になる方法」をバラしてしまった石破(高市)氏。約4万円を支払えば、最新AIによる暗号通貨の運用により、15週間後には1億円になるという。この「うまい話」を国民に広められたくない日本銀行は「ただちに放送を中止せよ」との電話を番組に入れた……。
……てな感じだ。
・先に進むとどうなるか
この詐欺広告がまず求めてくるのは、名前とメールアドレスと電話番号。“誰よりも先に騙されて被害を食い止める” ことをモットーとする迷惑メール評論家である私は、もちろん電光石火で入力した。
この後のやりとりも、参考資料として記事下にすべて晒すが、簡単に言えば「アンケートの後、実際に電話がかかってくる」のである。
その電話の主は、日本語が少し怪しい女性。SMSで送られたURLに進むと、怪しげなサイトに飛ばされる。そこで、免許証やパスポートなどの身分証明書の画像を求められる。
また、住居を証明するもの(電気料金請求書や、ガス料金請求書など)の写真もアップロードするように促される。その後は銀行口座の情報に、毎度おなじみクレジットカード情報。
つまりは個人情報すべてを求められる。
その後、とりあえず25000円を支払えば億万長者への道が開かれるとの説明だったが、「いまクレカが手元にない」とウソをついて切り抜けた。
このやりとりも、今後、新たな被害が増えないよう、当記事の最後の最後に完全ノーカット動画ですべて晒すので興味のある人はご覧いただきたい。
・なぜ正月になって爆発的にウソ広告が増えたのか
毎日ネットならびにネット犯罪をパトロールしている私としては、“2025年1月1日になった瞬間” からFacebookの広告が一気に変わったとの体感がある。
なぜ1月1日からなのかといえば、私が思うに、「お休みだから」ではないかと。この手の犯罪をパトロールする者も、取り締まる者も手薄になるから、あえて今の時期を狙っているのではないかとの予想だ。
なお、あくまで私の環境での話だが、どれだけ〝なりすまし投資詐欺の広告〟が表示されるのかといえば、アクセスするたびに5〜6個以上は表示されている。
知り合いの投稿が3つあったら、次は詐欺広告、その後の3つは普通の投稿、次はまた詐欺広告……といった具合に、もはや「詐欺広告を見るためにFacebookを見ている」ような状況に。
また、今回は石破首相&高市早苗氏を取り上げたが、ほかにも「タモリ」「孫正義」「木村拓哉」「中居正広」「小島よしお」「千鳥の大悟」「水卜麻美」あたりのなりすまし広告も増加中である。
・総理大臣を詐欺に使われた日本政府の対応は
この〝政治家を使った、なりすまし投資詐欺広告〟を正月早々に見つけた私は、日本政府に通ずる知人にすぐさま報告。結果として、なりすまされた本人陣営にも情報は渡った。
警察庁を通じて削除要請中とのことであるが、結論としては「削除されない」そうである。それはなぜか? 簡単に言えば「対応できる法律がないから」であるという。
また、なりすまされているのにもかかわらず、法律的には被害届けも出せないのだという。
余談だが、この話を聞いた時、私は、「楽天市場のアカウントを乗っ取られたから警察に行ったのに被害届も出せなかった過去」を思い出した。
乗っ取られているのに、法律的には「私は被害者ではない」のだという。そんなバカな話あるかと、私はその足で詐欺師のアジトに乗り込んだ。詳しくは過去記事「追跡ネット犯罪」を参照のこと。
・いつかはこうなると思っていた
このFacebookなどにおける〝なりすまし投資詐欺〟については、昨年4月、自民党本部で開かれた合同勉強会に、なりすましの被害者でもあるホリエモンこと堀江貴文氏と、zozo創設者の前澤友作氏が出席。
ウソの投資話で金を騙し取られる被害者が続出している状況から、堀江氏は「法改正か警察の摘発か 具体的な施策が対策になる」、前澤氏は「シンプルにプラットフォームを規制するのがよい」と訴えた。
しかしその後、政府が〝なりすまし投資詐欺〟への対策をした様子を私は見た覚えがない。その結果、有名人のなりすましを通り越して政治家、果ては「日本のトップ」のなりすましに至るまでになってしまった。
私はこの事態を、わりと冷めた目で見ている。実は内心、「いつかはこうなるだろう」とも思っていた。ほれみたことかと。
堀江氏は、上記の勉強会の時「ずっとなめられている。規制しないとだまされてしまう人が出る」と話していたが、私も完全に同感である。
事実として、こんなウソに騙される人がいる。騙される人がいるからこそ、詐欺師たちはお金を出してまで広告枠を買い、詐欺広告を載せるのだ。
結局のところ、現状の日本の法律では「何もできない(何もされない)」からこそ、プラットフォーム(サービス会社)や詐欺師たちはナメてかかかり、このような大胆な詐欺広告を正月早々、堂々と打ちまくるのである。
・一刻も早い法改正を
今この瞬間も石破首相や高市早苗氏の広告は表示されている。結果、騙される人も、どんどん増えていく。これはある意味、法改正するチャンスを放置していた政府の怠慢であり責任でもあると私は考える。
私は単なる迷惑メール評論家であるがゆえ、政治にも興味はないし、あまり政治のことも語りたくないが、「本当にそれは必要なのか?」と思うような法律やルールが次々と決まっていく今の日本。
そんなことよりもなによりも、一刻も早く、今現在進行形で被害者が続々と出ているインターネット犯罪に関する法整備を整えて欲しいと切に願うばかり。
今、日本は、完全にナメられている。
参考リンク:NHK「なりすまし広告 前澤友作さんと堀江貴文さん 対応策必要と訴え」
執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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