日本の少子化対策がほとんど効果を上げていない理由
12月27日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは「2024年の出生数70万人割れ」というテーマで、ジャーナリスト・浜田敬子氏に話を伺った。
浜田敬子「先日、朝日新聞が推計を出したんですけども、(出生数が)70万人割るだろうっていうことは秋ぐらいから言われていたんですね。で、朝日新聞がもう少し精度を高く推計したところ68万7千人くらいになるんじゃないかと。これ、80万人を割ったのって2年前なんですよ。2022年のときに『80万人ショック』なんて当時言われて、そこから2年のうちにもう70万人を割ったっていうのは、わたし個人的には物凄くスピードが速いなと思いました」
長野「そうですね。これはでも晩婚化というか結婚しない人たちが増えているっていうのも背景にあるんですか?」
浜田「コロナの影響もあると思います。やっぱりコロナの時になかなか出会いがなかったりというのもあるんですけど、根本的にこの数年やっぱり言われているのは、若い人たちの将来不安・経済不安による未婚化も増えているということもありますよね。そもそも日本で少子化と言われてもう30年以上経っているわけですよ。『1.57ショック』と言われたのは1990年くらいなので、そこから色々と“エンゼルプラン”というものから始まり、手を変え品を変え少子化対策をやってきたのにも関わらず、それがどれも功を奏してない。効果を上げていないですよね。少子化問題などをずっと研究してきた(日本の)先生は海外の学会に行くと『なんで日本は少子化対策をやってこなかったんですか?』って聞かれるっていうんですよ。つまり無策だったって見られているんです。無策じゃなくて国は色々とやっているつもりなんだけど、結果として韓国とか日本はこれだけのスピードで少子化が進んでいるということなんですよね」
長野「(日本と韓国の少子化のスピードが速い理由は)なぜなんですか?」
浜田「シカゴ大学の山口一男先生っていう方が、少子化がすごいスピードで進んでいる国に共通していることを3つ挙げられているんですけども、1つ目は、家族に優しくない職場の環境。2つ目は、根深い性別役割分業、つまり女性に家事・育児の負担が偏っていること。3つ目は、出産をした女性で一旦退職をした人たちの再就職が困難、っていうことも言っているんですよね。日本はこれ全部やっぱり当てはまるんですよね」
長野「こればっかりは本当に改善されないんですね」
浜田「そうなんですよ。なんでこれだけ国とかは色々とやっているつもりだけども功を奏していないのかっていうと、山口先生が指摘しているような問題、当事者たちの切実な問題と、打っている対策がやっぱりズレているんだと思うんですよね。本当にニーズを汲み取った政策じゃない。それの象徴的なのが今年少し話題になった“移住婚”って覚えてます?」
長野「ありましたねぇ~。(支援金が)60万円だっけ?」
浜田「そう。(東京)23区内で働いていた女性たちが結婚を機に地方に移住したら最大で60万円の支援金。これは完全にやっぱり(子どもを)産むことを期待されているわけですよ。そういう女性に産むことだけを期待するような政策みたいなことを未だにやる。いまの少子化の背景には、女性たちが性別役割分業っていうものとか産むっていうことだけに物凄くプレッシャーをかけられるっていうことに対しての静かな抵抗みたいな意味も私はあるんじゃないかなと思います」