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高齢者の自律神経失調症とは?認知機能との関連と改善法を解説

「みんなの介護」ニュース

長谷川 昌之

高齢者の自律神経失調症とはどんな症状?

年齢を重ねるにつれて「疲れやすくなった」「体調が安定しない」といった症状を感じる方もいるのではないでしょうか。

これらの症状の背景には、体の調子を整える自律神経の働きが関係していることがあります。

自律神経とは?

自律神経は、呼吸や心臓の動き、血圧、体温調節、消化活動など、私たちの生きていくために欠かせない働きを24時間休まずに調整しています。

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれています。

交感神経は主に昼間や活動しているときに働き、心臓の動きを速くしたり、血圧を上げたり、筋肉を緊張させたりします。

一方、副交感神経は夜や休んでいるときに働き、心臓の動きを落ち着かせたり、消化を助けたりして、体をリラックスさせます。

健康な状態では、この2つの神経が相互に働くことで体調が保たれますが、ストレスや生活習慣の乱れ、年を取ることなどの影響で調整する力が弱くなると、いろいろな不調が出ることがあります。

高齢者に起こりやすい症状と他の病気との違い

高齢者では自律神経の調整する力が弱くなりやすく、以下のような症状が見られることがあります。

頭痛やめまい
動悸や息切れ
眠れない、眠りが浅い

これらの症状は他の病気でも起こるため、個人では原因を特定するのが難しいことが多いです。例えば、めまいは貧血や脳の血管の問題でも起こり得ますし、動悸は心臓の病気が原因の場合もあります。また、認知症や脳卒中の初期症状である場合も考えられます。

自律神経の乱れによる不調は、検査をしても明確な異常が見つからないこともあります。しかし、症状が長く続く場合があったり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、主治医に相談することが大切です。高齢者は複数の疾患を抱えている場合が多いため、自分で判断せずに医療機関を受診することをお勧めします。

認知機能との関連は?

最近の研究では、自律神経の調節機能の低下と認知機能の低下に関連がある可能性が指摘されています。特に高齢者では、自立神経が乱れ、睡眠の質が悪くなることで脳の疲れが取れず、記憶の整理がうまくいかなくなる場合もあります。

また、生活のリズムが乱れることも脳の健康に悪い影響を与えることがわかっています。特に一人暮らしの高齢者は、ひとりで食事をすることが増えるため孤独感から食事への関心が減ったり、加工食品や外食の割合が増えたりと、食事の習慣が乱れやすい状況になることがあります。それにより栄養が不足し、結果的に脳の働きに影響することがあります。

ストレスも自律神経に影響を与える要因のひとつです。過度なストレスが続くと、脳の働きに影響を与える可能性があります。そのため、脳を健康に保つためにもストレスをうまく解消することが重要になってきます。

高齢者に多い自律神経失調症の原因とは?

高齢者に自律神経失調症が多く見られる背景には、さまざまな要因があります。

年齢を重ねると共に自律神経系にも変化が起こり、外部からの刺激に対する対応力が低下していきます。

ここでは、高齢者によくみられる自律神経失調症の原因と、特に注意が必要な季節の変わり目の影響、そして医療機関への相談が必要なケースについて詳しく見ていきましょう。

高齢者に多い自律神経失調症の原因

高齢者の自律神経失調症には、加齢に伴う生理的な変化や生活環境の変化など、さまざまな要因が関わっています。主な原因として以下のようなものが挙げられます。

加齢に伴う自律神経機能の低下
慢性的なストレス
不規則な生活習慣

まず、最も大きな要因は加齢に伴う自律神経機能の低下です。年齢と共に自律神経の調節機能は衰えていき、外部環境の変化に対する適応力が低下します。

特に体温調節機能の低下は顕著で、暑さや寒さへの対応が遅くなり、体調不良を引き起こしやすくなります。

また、慢性的なストレスも大きな要因です。高齢者は退職による社会的役割の変化、家族構成の変化、健康への不安など、さまざまなストレスに直面します。これらのストレスが長期間続くと、自律神経のバランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こします。

不規則な生活習慣も自律神経が乱れる原因となります。

高齢者、特に一人暮らしの方は食事時間や就寝時間が不規則になりがちです。また、活動量の減少も自律神経のリズムを乱す一因となります。

これらの要因が複合的に作用することで、高齢者は自律神経失調症になりやすくなります。他の疾患など複数の要因が重なっている場合は、症状が重くなる傾向にあるため注意が必要です。

季節の変わり目には自立神経が乱れやすい?

季節の変わり目は、高齢者の自律神経が特に乱れやすい時期です。特に春や秋など気温差が大きい時期は注意が必要です。

高齢者は皮膚感覚の衰えなどから、暑さや寒さを感じにくくなっています。そのため、本人が気づかないうちに体温調節障害の状態に陥り、気づいたときには熱中症や低体温になっていたというケースも報告されています。

適切な衣類の調整や室温管理が難しくなることも、季節の変わり目に体調を崩す一因となっています。

また、季節の変わり目には大きな気候の変動もあり気圧の変化も自律神経に影響を与えます。気圧の変化に敏感な方は、頭痛やめまい、倦怠感などの症状が現れやすくなります。

特に注意すべき「春バテ」と呼ばれる症状は、3月~4月にかけて多く見られるものです。

春バテの主な症状には、体のだるさ、朝起きるのがつらい、イライラして落ち着かない、寝付きが悪く眠りが浅い、やる気が出ない、食欲がない、などがあります。これらは自律神経の乱れに関連する症状である可能性があります。

この症状に対しては、運動やリラクゼーションなど対策をすることで、季節の変わり目による自律神経の乱れを最小限に抑えることができます。

医療機関への相談が必要なケース

自律神経失調症の症状の多くは日常生活での対策や生活習慣の改善で軽減することが可能ですが、いくつかのケースでは医療機関への相談が必要です。高齢者の場合、軽度の症状であっても放置すると重症化する可能性があるため、早めの対応が重要です。

以下のような場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

症状が長く続く場合 自律神経失調症による一時的な体調不良は、休養や生活習慣の改善で数日から1週間程度で回復することが多いです。しかし、症状が長く続く場合は、他の疾患が隠れている可能性もあるため、医療機関での検査が必要です。 日常生活に支障がある場合 めまいや頭痛、倦怠感などの症状が強く、日常生活に支障がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。特に高齢者の場合、これらの症状が転倒や骨折につながる危険性もあります。 急激に症状が現れた場合 通常、自律神経失調症の症状は徐々に現れますが、突然の強い頭痛やめまい、意識の混濁などの症状が急激に現れた場合は、脳卒中などの緊急性の高い疾患の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。

医療機関を受診する際は、症状の経過や気になる点をメモしておくと、医師の診断に役立ちます。また、服用している薬がある場合は、お薬手帳や薬の情報を持参すると良いでしょう。

高齢者は症状が重症化しやすいため、少しでも気になる症状があれば、躊躇せずに医療機関への相談を検討してください。

高齢者の自律神経を整える方法

自律神経のバランスを整えることは、高齢者の健康維持に非常に重要です。

加齢とともに自律神経の機能は低下していきますが、日常生活での工夫や習慣づけによって、その機能を維持・改善することができます。

ここでは、高齢者の自律神経を整える具体的な方法について紹介します。

生活リズムを整える

自律神経を整える基本は、規則正しい生活リズムを維持することです。特に高齢者は生活リズムが乱れやすいため、意識的に整えることが重要です。

まず、毎日同じ時間に起床・就寝することは、体内時計を整える上で最も重要な習慣です。体内時計が整うと、交感神経と副交感神経のバランスも自然と整います。睡眠時間は個人差があるため、それぞれの生活スタイルに合わせて起床・就寝時間を保つことが大切です。

朝起きたら日光を浴びることも重要です。朝の日光は体内時計をリセットする効果があり、セロトニンという幸福感をもたらす神経伝達物質の分泌を促します。セロトニンは日中の活動を支える交感神経の働きを助け、夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)に変換されて良質な睡眠を促します。

それだけでなく、食事の時間も規則正しくすることが大切です。毎日決まった時間に3食バランスの良い食事をとることで、消化器系の働きが整い、自律神経のリズムも安定します。特に朝食はその日の体調を左右する重要な食事です。抜かずにしっかりとるようにしましょう。

また、日中は活動的に過ごし、夜はリラックスして過ごすという、メリハリのある生活も自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。昼間は窓際や屋外で過ごす時間を作り、夜は照明を暗めにして、体に「今は活動時間」「今は休息時間」というメッセージを送ることが大切です。

規則正しい生活リズムが難しいと感じる場合や、一人暮らしで食事の準備が負担になる場合は、老人ホームなどの介護施設への入居も選択肢の一つです。多くの施設では規則正しい生活リズムでの生活支援が行われており、栄養バランスの取れた食事も提供されています。ただし、新しい環境が逆にストレスになってしまわないよう、事前に見学や体験入居をすることがおすすめです。

定期的な運動とリラクゼーションを行う

適度な運動は、自律神経のバランスを整えるのに非常に効果的です。特に高齢者には、無理のない範囲で定期的に体を動かすことをお勧めします。

ウォーキングは高齢者に最適な運動の一つです。毎日15〜30分程度、自分のペースで歩くことで、血行が促進され、自律神経の働きが活性化します。特に自然の中を歩くことは、ストレス軽減にも効果的です。ただし、運動は無理のない範囲で行い、疲労を感じた場合は休息を取るようにしてください。

ウォーキングだけでなくストレッチも自律神経を整えるのに役立ちます。

朝起きた時や入浴後に全身のストレッチを行うことで、筋肉がほぐれ、血行が促進されます。

特に肩や首のストレッチは、交感神経の緊張を和らげる効果があります。難しいポーズは必要なく、心地よく伸びを感じる程度で十分です。

太極拳やヨガなどの激しくなく、ゆったりとした動きの運動も高齢者に適しているでしょう。

これらの運動は呼吸と動きを調和させることで、心身のバランスを整えます。カルチャーセンターやコミュニティセンターなどで高齢者向けのクラスが開催されていることも多いので、参加してみるのも良いでしょう。

また、入浴もリラクゼーション効果が高く、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。ぬるめのお湯にゆっくりつかることで、血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれます。

入浴中にゆっくりと深呼吸をすることで、さらにリラックス効果が高まります。ただし、高齢者は温度変化に弱いため、浴室と脱衣所の温度差に注意し、ヒートショックを防ぐことが重要です。

自律神経を整えるためには、これらの運動やリラクゼーションを無理なく続けることが大切です。

一人で続けるのが難しい場合は、友人や家族と一緒に行ったり、地域のグループ活動に参加したりするのも良いでしょう。

栄養バランスが整った食事をとる

自律神経を整えるためには、栄養バランスの良い食事が欠かせません。特に高齢者は食事量が減りがちであるため、効率良く必要な栄養素を摂取することが重要です。

特に重要な栄養素として、ビタミンBが挙げられます。

ビタミンB群は自律神経のバランスを整える働きがあり、豚肉や鶏肉、レバー、玄米、大豆、ナッツ類などに多く含まれています。

毎日の食事に意識して取り入れましょう。

また、ビタミンEは血行を促進し、自律神経の働きを助ける効果があります。アーモンドや植物油、赤ピーマンなどに多く含まれています。

カルシウムも自律神経の安定に重要な栄養素です。

骨を強くするだけでなく、神経の興奮を抑える働きがあり、イライラを和らげる効果があります。乳製品や小魚、豆腐などに多く含まれています。

食事の際には、一日三食規則正しく食べることを心がけたり、さまざまな食材をバランスよく摂る、水分をこまめに摂るなど基本的な部分を心がけましょう。

高齢者一人での食事準備が難しい場合は、配食サービスの利用や、栄養バランスの整った冷凍食品の活用も検討しましょう。また、家族や友人と一緒に食事をする機会を作ることで、食事がより楽しくなり、自然と食欲が増すことも期待できます。

まとめ

自立神経の乱れにより頭痛やめまい、動悸、睡眠障害、冷えなどの症状が現れる原因としては、加齢による自律神経機能の低下、ストレス、不規則な生活習慣があげられます。こうした症状が長く続く場合は医療機関への相談も大切です。

症状改善のためには、規則正しい生活リズムの維持が重要です。毎日同じ時間に起床・就寝し、朝は日光を浴び、バランスのとれた食事を心がけましょう。

また、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動と、ビタミンB群やカルシウムなどの栄養素を意識した食事も効果的です。一人暮らしで生活リズムの維持や食事の準備が難しくなった方には、老人ホームなどの介護施設への入居も選択肢のひとつとして考えてみるのもよいでしょう。

こういった健康的な生活は、認知症予防や全体的な健康維持にも役立ちます。無理なく続けられる範囲で実践し、自分に合った方法で健やかな毎日を送りましょう。

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