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『ファイナル・デスティネーション:ブラッドライン』レビュー ─ トラウマ級のパニック死、シリーズ過去作にも繋がる

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(カナダ・トロントから現地レポート)ある一人の予知夢によって大事故を回避した生存者たちが、その後“死の連鎖”に巻き込まれていく——。そんな不可避の運命と、超グロテスク&ド派手な死の演出でカルト的な人気を誇る『ファイナル・ディスティネーション』シリーズ。その6作目となる最新作『ファイナル・デスティネーション:ブラッドライン(原題)』が、2025年5月16日に北米で劇場公開を迎えた。

前作から実に14年ぶりとなる本作では、予知夢によって死を逃れた者の“子孫”が新たなターゲットになるという斬新なアイデアが導入されている。原案・製作はトム・ホランド版『スパイダーマン』シリーズの監督ジョン・ワッツ。脚本は『レディ・オア・ノット』(2019)で注目を集めたガイ・ビューシック&ロリ・エヴァンス・テイラーのコンビが担当した。

物語のはじまりは1968年。恋人のサプライズでスカイタワーへと訪れたアイリス・キャンベルは、タワーが崩壊し、多くの人が墜落死するビジョン(予知夢)を見る。それにより大勢の命を救い、自身は生還する。舞台は現代へ移り、大学生のステファニーが講義中にそのスカイタワー崩壊事故の夢を見て錯乱状態に。眠れない日々の中、彼女は面識のなかった祖母の名前が「アイリス」であることに気づき、家族と疎遠だった祖母に会いに行く。

アイリスから明かされたのは、「死は誰にも訪れる。逃れた代償は子孫にまで及ぶ」という衝撃的な事実だった。ステファニーは自分と愛する家族の死を阻止しようとするのだが……。

これまでのシリーズでは、予知夢で助かった者たちが、些細な出来事の連鎖によって壮絶な死を遂げるのが定番だった。しかし本作では、ステファニーがその危険を“予知”し、「その車に近づかない方がいい」「サッカーをしている子どもたちに気をつけて」などと助言する姿が描かれる。一見すると過保護にも見える彼女の行動が、家族の運命を少しずつ変えていくのだ。

ステファニーの行動により死の運命から逃れた者を襲う、さらなる恐怖にも注目してもらいたい。些細な事がキッカケで頭がぶっ飛んだり、目が飛び出したり、とシリーズファンを飽きさせない過激で容赦ない描写も健在。特に冒頭のスカイタワーのシーンでは、崩壊そのものが迫力満点で、炎が燃え上がる中、人々がパニックを起こしながら次々と死んでいくシーンはトラウマ級だ。

また本作では、タトゥーとピアスだらけのエリックとペットの亀を溺愛するボビーのユニークな兄弟が登場(彼らはステファニーのいとこにあたる)。彼らの軽妙なやり取りに、ホラーでありながらコメディ場面も。劇場では観客の笑い声も響いていた。

そしてシリーズファンにとってはうれしい過去作との繋がりも。シリーズを通して生存者に助言を行ってきた“謎の男”ウィリアム・ブラッドワースが本作にも登場。ウィリアムを演じたトニー・トッドといえば、ホラー映画『キャンディマン』でも知られるレジェンド俳優で、低く不気味な声が特徴的(ちなみに3作目『デッドコースター』では、デビルの声のみで出演していた)。惜しくも『ファイナル・デスティネーション:ブラッドライン』は、昨年この世を去った彼の遺作となった。彼の登場シーンでは、心に残る印象的なセリフも語られるので要注目だ。

Rotten Tomatoesでは5月16日公開初日時点で批評家スコアが92%、観客スコアが90%といずれも高評価。批評家からは「間違いなく、『ファイナル・デスティネーション』の世界における堅実で研究された一章」「思わず身震いして歓声をあげたくなる」などの絶賛の声が見受けられた。

鑑賞後、日常に潜む全てのモノが“死のトリガー”に見えてしまう。そんな不穏な余韻が長く続く、鑑賞後もどっぷり世界に沼ってしまう傑作だ。映画『ファイナル・デスティネーション:ブラッドライン(原題)』、日本公開は今のところ未定。

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