遠方の出産に交通費と宿泊費を補助 名張市が支援策
三重県名張市は12月13日、遠方で出産する妊婦への交通費と宿泊費の補助など、4つの支援事業を実施する方針を明らかにした。
来年1月中旬以降、市内で出産が可能な医療機関がなくなり、伊賀地域でも4月以降は1か所のみとなる。この事態を受け、市は11月に公式LINEで市民アンケートを実施し、589人が回答。結果を踏まえ、支援策をまとめた。
「妊婦にやさしい遠方出産支援事業」は、伊賀地域での出産が難しく、自宅から移動に60分以上かかる医療機関で出産した妊婦に、交通費や前泊分の宿泊費の一部を助成するもの。交通費は8割、宿泊費は1泊あたりの実費から2000円を差し引いた額(上限1万700円)としている。
「妊婦情報事前登録制度」は、妊婦が事前に市に登録すると、情報が消防と共有されるもの。急を要する場合、かかりつけ医が必要と判断すると救急車を利用できる。
他は、医師や助産師にいつでも相談できる「産婦人科・小児科オンライン相談事業」と、市立赤目保育所(赤目町檀)内でデイサービス型の産後ケアを行う事業。産後ケアは来年4月、他の3事業は2月開始を予定している。
この日の市議会全員協議会で、市が方針を説明した。遠方出産支援は伊賀地域の医療機関での出産は対象外となっていることなどから、一部の議員からは「全然優しくない」「これだけでは相当、不足している」などの声が上がった。北川裕之市長は「緊急的にやれることで整備させて頂いた。当初予算に向けて再度練り直しさせて頂かなければならないと思っている」と述べた。
市は23日に、遠方出産支援の事業費50万円(2、3月分)を盛り込んだ補正予算案を提出する予定。
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