【キシャメシ】下越の最強味噌ラーメン「こまどり」(新潟市西蒲区)、「濃厚」だけでは語れない沁みる美味
札幌生まれ札幌育ちの記者は、良いことか悪いことか「札幌ラーメン」以外の「味噌ラーメン」に対してかなりシビアに見ていたところはある。それでも新潟県には「東横」「まごころ亭」や「食堂ミサ」など、珠玉の味噌ラーメン店が何店もあり、一定のポテンシャルを認めている。
新潟に来て、最初に「これは美味い」と思った味噌ラーメンは、他でもない、新潟市西蒲区「ラーメンこまどり」だ。新潟在住のラーメン好きでこの店を知らない人は、まずいないと思う。県外のラーメンフリークにもその名は轟いていることだろう。
「新潟5大ラーメン」のひとつ「濃厚味噌ラーメン」の発祥ということになっているが、正直それはどうでも良いくくりだ。こまどりの味噌ラーメンに対して「濃厚」というワンイシューが果たして妥当なのかどうか。そう思わせる深みがあると思っている。
本日、久しぶりにこまどり訪ねる。県道から少し奥に入った場所にあるが、高台によく目立つ赤い看板が目に入るのですぐに見つかる。
順番待ちに並んでいるわけにもいかないのでピーク時間を外しての訪店だが、それでも結構来客がある中、カウンター席に通される。
広いオープンキッチン、職人の仕事ぶりを見るだけで「美味しい」が確定する
そうそう、この広いオープンキッチン。ラーメン店ながらまるで温泉ホテルの厨房のような広さは壮観だ。これがピーク時はフル回転する。
コマドリの場合、味噌ラーメンは6種類あるのだが、献立によって「太麺」「平麺」「細麺」と使い分けられている。記者は「バター味噌ラーメン(太麺)」(税込900円)とライス(平日昼のみ、税込100円)をオーダー。
ラーメン専門店と思ったら、意外に幅広いメニュー構成
カウンターの目の前で繰り広げられる職人技を見て胸躍る。ラードで野菜を炒める北京鍋が、豪快にガシガシ振られている。この光景もまた、味のうちだと感じる。
ややあって着丼。世の多くの味噌ラーメンが、どういうわけか「すり鉢」に盛られてくるスタイルだが、いったいどこが発祥なのか。丼内にはたっぷりのキャベツともやし、ひき肉、そしてその山の頂に角に切った大きめのバター。赤味噌のブレンドを使ったこまどりの味噌ラーメンは、札幌の定番スタイルとは少し違う。
バター味噌ラーメン(税込900円。もう、たまらん・・・
まずはスープから。おあっ、良いねえ・・・この季節には味噌ラーメンが沁みる。さっきまで外にいてすっかり冷え切っていた身体に、じんわりと沁み込んでくる。
こまどりの味噌ラーメンと言えば、忘れてはならないのが「割りスープ」の存在だが、なぜか今回は付いていない。「バター味噌」だから割スープは付かないのか、それとも割スープのスタイル自体を廃止したのか。聞いてみようと思ったが「いや、そのまま受け入れよう」と思い直す。丼の中のスープはそのままで十分完結されていた。
このスープ・・・芳醇だ。味噌が輝いとる
こまどりの味噌には太麺が良い
この味噌スープ、単に「濃厚」だけで片付けられない複雑味がある。しょっぱ味の奥には辛み、苦み、酸味、甘味など数々の味が重なっている。それでいてひとつひとつが尖ららずに、まろやかに仕上がっている。なんというか「芳醇」なのだ。これこそ日本の発酵文化、味噌の深い旨味だと思う。
バターの溶け出しているあたりのスープがまた格別。味噌とバターの風味が絡み合うほどに美味い、知ってたけど・・・
あっという間に完食。間違いなかったね、やっぱり。たとえ札幌から客が来たとしても、食べさせたい味噌ラーメンが、新潟にはある。
あ!あまりに久しぶりだったからギョウザ頼むの忘れた。こまどりに来たらギョウザも、だったよねえ・・・
(編集部 I)
【ラーメンこまどり】
新潟市西蒲区竹野町2454-1
営業時間 月~金 11時~14時半 16時半~20時
土曜 11時~15時 16時半~20時 日曜 11時~15時 16時半~19時
不定休
<グーグルマップ「らーめんこまどり」>
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。