<男性が開発>ワークマンにも子育てアイテムが!大人気となったマザーズリュックの裏話とは
赤ちゃんとの外出時には、荷物がたくさんになってしまうこともしばしば。着替えやおむつセットにお菓子などもあるので、バッグも大きめになることが多いですよね。今では子ども用品の持ち運びがしやすい作りになっている「マザーズバッグ」「マザーズリュック」なども販売されています。そのようなカテゴリーで、昨年話題となったのが、ワークマンが販売した「はっ水マルチユースマザーズリュック」でした。そして2024年にはさらに進化した「高撥水マルチシートインマザーズリュック」(以下、マザーズリュック)が発売に。
このリュック、実は開発者は男性なのです。男性だってマザーズリュックを作ってもいいじゃないか! と言われそうですが……。なぜワークマンの男性開発者が「マザー」と名の付くグッズを開発したのでしょうか。そこでママスタセレクトは、ワークマン広報の松重尚志さんに、マザーズリュックの開発裏話をお聞きしました。まずは「ワークマンなのに」子育てアイテムを手がけた理由からお話しいただきます。
マザーズバッグ全般、実は値段が高い
――ワークマンといえば「作業服のお店」というイメージが強かったですよね。私も数年前までそう感じていて、なかなか利用する機会がなかったのですが、ここ数年でずいぶんと印象が変わったなと感じています。
松重尚志さん(以下、松重さん):もともとワークマンは、作業着屋さんからはじまっています。でも防水防寒に優れた衣類を仕事だけではなく普段着として取り入れるお客さんが増えたため、日常で使えるような普段着を販売するようになりました。それに伴って「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」など、より普段使いがしやすく、もっと女性が利用できる店舗をオープンさせています。
――「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」ができたことで、女性も利用しやすくなりましたね。
松重さん:はい。メンズアイテムを女性が使うことも多くなりましたし、女性から「丈夫な衣類やバッグ類も作ってほしい」という声をいただきました。
――ユーザーの声を敏感にキャッチしているのでしょうか?
松重さん:ワークマンでは、お客様の声を大事にすることを常に意識しています。今回発売になったマザーズリュックも「たくさん入って、開けやすいリュックを作ってほしい」と、ママさんからの要望が寄せられていました。
ワークマンのマザーズリュック、ポイントの1つは価格
――マザーズリュックの開発は男性がされたのですよね? 男性が中心になって携わっていることに驚きました。女性が作るものと勝手に思っていたので……。
松重さん:たしかに。マザーズリュックを「男性目線」で作るのは珍しいのかもしれません。でも開発者である平林利樹の経験や思いがあったからなんです。子どもが生まれたときに、いろいろなお店に行ってマザーズリュックを見たところ、思った以上に値段が高かったのだそうです。「ワークマンでもっと低価格で作ったら、欲しいというお客様もたくさんいるのではないか、と考えた」と言っていました。
――ワークマンの「マザーズリュック」は3,900円(税込)。実は私も購入しました。もう子どもは大きいので旅行などで使っていますが、3,900円は安いのではないかと思っています。
松重さん:ワークマンで商品を開発するとき、最初に決めるのは価格です。その後で、決めた価格で販売できるように素材や機能を考えていくのが「ワークマンの文化」になっています。また製品を作る工場も長くお付き合いのある会社さんなので、お互いに信用を得ていることもあって製造コストを抑えつつ、お客様には低価格での提供を実現できています。
――マザーズリュックを作る際、苦労したことを教えていただけますか?
松重さん:先ほどワークマンでは最初に価格を決めてから機能などを考えていくとお話ししましたが、実は価格が1番のハードルでした。マザーズリュックでも、お客様や社員の声をお聞きしつつ、たくさんの機能を付けていきたかったのですが、そうするとコストがかかってしまいます。最初に3,900円と決めている以上、この価格は絶対です。コストを抑えるために何を取り除くのか、どの機能を付けないのかでとても悩みました。
――子育てグッズは機能も大事ですが、やはり価格は重要ですからね。
松重さん:子育て世代は、何かとお金がかかるものですよね。ベビー用品もそうですし、ママさんが使うものも同じです。だからこそワークマンは、業界が驚くような価格で商品を提供したいと考えています。もちろん子育てに使うものは他社さんからもたくさん販売されています。ワークマンの商品は選択肢のひとつとして、お客様が使いやすいと感じられたら、手にとっていただければと思います。
(取材後記) ワークマンのママさんアイテム「マザーズリュック」。その開発や制作の裏側をお聞きしてわかったのは、これからお金がかかる子育て世代のことを踏まえたうえで、開発者さん自身の経験を通して生まれたリュックだったということでした。
※取材は2024年10月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。
取材、文・川崎さちえ 編集・ここのえ