「認知症予防」の観点で、扱いが難しい食材が「肉」。効果的な食べ方を医学博士が解説
大好きだった祖母が認知症を発症したことをきっかけに、認知症の予防法の普及に生涯をかける決心をしたという山根 一彦さん。医学博士として、認知症専門人材の育成、教材開発に携わってきました。これまで多数の認知症関連書籍の監修・執筆活動を行ってきた山根さんが、著書『OK食材、NG食材もズバリ!認知症を防ぐ最高の食べ方』(KADOKAWA)で伝授しているのは、認知症の最新情報や、認知症を予防、改善するための食材や食べ方です。今回はその中から、認知症リスクを減らすために毎日食べたい食材の食べ方と選び方をご紹介します。
※本記事は山根 一彦著の書籍「OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方」から一部抜粋・編集しました。
【OK食材】牛・豚・鶏肉
―――良質なたんぱく質は脳に不可欠
認知症予防の観点から食材を考えるときに、肉類は扱いが難しい食材です。
肉を食べすぎると「ホモシステイン」が増えるというデメリットがあります。
その一方で、肉のたんぱく質はアミノ酸スコアが高く(必須アミノ酸がバランスよく含まれている)、さまざまな病気が予防できると期待されます。この点では、健康に良い食材といえます。
さらに、肉にはたんぱく質が豊富ですが、たんぱく質は脳の機能を維持するために欠かせない栄養素です。
そうした理由から、肉を積極的に摂るメリットは「大きい」と私は考えています。
ただし、肉の脂肪分には注意が必要です。動物性脂肪を摂り続けると、悪玉コレステロールが増え、動脈硬化などの生活習慣病の原因となります。肉の脂は、できるだけ取り除いて食べましょう。
注意点はもう1つあります。肉には豊富なたんぱく質が含まれますが、食べたたんぱく質は、しっかり運動して消費しなければ最終的にはホモシステインを増やす原因になります。たんぱく質の摂取と運動はセットだと心得てください。
一般的によく食べられるのは牛肉、豚肉、鶏肉の3種類ですが、どれもたんぱく質の量は100グラムあたり20グラムほど。アミノ酸スコアが高いのも同じです。
大きな違いは、まず動物性脂肪の量。それからビタミン類、亜鉛、鉄分などのミネラル含有量も異なります。
簡単に3種類の肉の特徴を比較すると、以下のようになります。
肉それぞれの特徴
牛肉
脂肪が多く、ビタミンが少なめで、亜鉛や鉄分は多め。
豚肉
脂肪が多く、ビタミンB群が多く含まれるが、ミネラルは少なめ。
鶏肉
脂肪が少なく、純粋なたんぱく源として優秀。
まとめると、体重を増やして活動的になるためには牛肉。疲労を回復し、細胞の働きを良くするなら豚肉。体の脂肪を落とし、効率よく筋肉をつけるなら鶏肉......といえます。ただし、1つの肉だけ食べ続けるより、3種類ともバランスよく食べるのが正解です。
肉を選ぶときは、安い輸入肉は極力避けましょう。遺伝子組み換え飼料やホルモン剤が使われている可能性が高いからです。
もちろん、すべての輸入肉が信用できないわけでも、すべての国産肉が信用できるわけでもありませんが、パックの表示を確認する、信頼できるお店で買い物をするなど、質の低い肉を避けるための工夫は必要です。
POINT!
牛肉、豚肉、鶏肉をバランスよく食べ、肉を食べたら運動も欠かさずに。