味の決め手はしょうゆとみりんの割合!村田吉弘さんが伝授する和食の基本
和食の味つけは、実はとってもシンプルな割合でできることをご存じですか?例えば昔から、煮物はしょうゆとみりんが同量で、その8倍の水分を足せばよいとされてきたのです。そんなシンプルな割合でつくる和のおかずの秘訣を、村田吉弘さんに教わります。
味のきほんはしょうゆとみりんが1:1
皆さんは煮物をつくるとき、どんなふうに味つけしていますか?
しょうゆ、酒、砂糖、みりん。それにだしやだしの素を加える方もいると思います。しかし、今回ご紹介する味つけは、もっともっとシンプルです。きほんは、しょうゆとみりんが1:1。同量です。砂糖は使いません。そして、だしも加える必要ありません。
しょうゆとみりんは、発酵調味料。しょっぱい、甘いだけではなく、うまみもあるので、それに素材のうまみが合わされば、味つけはそれでもう十分です。
それに8倍の水分が加われば、煮物の煮汁はOK!なのです。その水分、水だけでもええと言いたいところですが、もう一味加えると、グッとおいしくなります。それは酒です。酒はいわば「お米のだし」です。うまみがしっかりありますので、これを料理に使わない手はありません。全部酒でもええのですが、ここで紹介する煮物では、半分にしました。もったいないと思ったら、もう少し減らしてもかまいません。
和食は、食材や調味料のうまみを上手に生かそうと考えると、シンプルですが、しみじみおいしい料理になると思います。
焼き大根と豚バラの煮物
大根はまずレンチンして、しっかり焼いてから煮ればえぐみもなく、ええ柔らかさに仕上がります。
材料(2人分)
大根 400 g
豚バラ肉(塊)150 g
A (しょうゆ 大さじ1と2/3(25ml)
みりん 大さじ1と2/3(25ml)
水+酒 水カップ1/2+酒カップ1/2(計200ml))
七味とうがらし 適量
糸とうがらし 適宜
◎油
[1人分360kcal 調理時間25分(大根の粗熱を取る時間は除く)]
1 大根は皮をむいて、2cm厚さの半月形に切る。耐熱容器に入れてラップをふんわりとし、電子レンジ(600W)に7分間かけ、粗熱を取る。
2 豚肉は8mm厚さに切る。Aは混ぜ合わせておく。
3 深めのフライパンに油少々を強めの中火で熱し、大根と豚肉を入れ、どちらも両面にしっかり焼き色がつくまで焼く。Aを加えて(写真左)、時々大根と豚肉を返しながら、煮汁がほぼなくなるまで、7~8分間煮る(写真右)。
4 器に盛り、七味とうがらしをふり、あれば糸とうがらしをのせる。
しょうゆとみりんのはなし
しょうゆとみりんを味つけのベースにしているのは、どちらも発酵調味料で、それが和食の味つけにピタリと寄り添ってくれるから。そしてその2つを同量使うと、甘辛味のバランスがきちんと決まるからです。そのバランスをとるために、一つだけ守ってほしいことがあります。
それはみりんは、みりん風調味料ではなく「本みりん」を使うこと。みりん風調味料には塩分が入っているので、同量のしょうゆと合わせてもうまくいかないのです。
もちろんお好みもありますので、1:1でつくってみて、どちらかを少し加減したり、砂糖や塩を少量足していただくのも結構やと思います。
『きょうの料理ビギナーズ』10月号の特集「もう味つけに迷わない!割合でつくる和のおかず」では、しょうゆとみりんの1:1のほか、京風煮物や焼き物、酢の物など、シンプルな割合で味がピタリと決まるレシピの数々を紹介しています。「だし」を使わずおいしく仕上がる和のおかずを是非お試しください。
教えてくれた人
村田吉弘(むらた・よしひろ)
京都の老舗料亭の3代目。2001年刊行の『割合で覚える和の基本』(小社刊)は、15万部を超えるロングセラー。
■NHK『きょうの料理ビギナーズ』2024年10月号より
■撮影・蛭子 真、野口健志/スタイリング・肱岡香子