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iDeCo改悪にSNSで大ブーイング‼受け取り方で大幅課税の可能性が

mymo

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自民党・公明党の両党は12月20日、来年度の与党税制改正大綱を決定しました。与党税制改正大綱とは、新しい税制措置の内容をまとめた文書で、この文書をもとに政府は税制改正法案を作成し、翌年1月の通常国会に提出します。「103万円の壁」など、税制をめぐってはこのところ世間の関心が高まっていますが、この大綱には他にも私たちの財布に直結(特に老後の財布)する、注目すべき改正案が盛り込まれました。

iDeCoの「5年ルール」が「10年ルール」に

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今回の税制改正大綱で、多くの人の注目を浴びたのが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の課税強化の方針です。

iDeCoの掛け金の受け取りは60歳からで、原則60歳になるまでは掛け金を引き出すことはできません。会社の退職金には退職金控除が適用されますが、iDeCo でも一時金を受け取る時に退職金控除が適用されます。退職金控除が適用されるということはつまり、節税できるということです。

現状では、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、5年空けて65歳で会社の退職金を受け取れば、iDeCoも退職金もそれぞれ両方でフルに控除を受けることができるという仕組みです。しかし今回の税制大綱では、5年ではなく10年空けないと控除をフルに受けられず、控除額が減るという、いわゆる5年ルールを10年ルールに変更する内容が改正案に盛り込まれたのです。

退職金の課税額が大幅にアップ 

【画像出典元】「BabLab/Shutterstock.com」

これだけだと何が何だか分からないという方も多いと思います。そこで、60歳でiDeCoを一時金として600万円受け取り、65歳で会社を退職、退職金3000万円を受け取ると仮定した時の、課税額を具体的に見ていきましょう。

iDeCoの加入期間は20年、勤続年数は35年と仮定します。この場合、従来の5年ルールのiDeCOと退職金の控除額は次の通りです。なお、話が複雑になるため計算式の紹介は省きます。

●iDeCO一時金の課税額
所得控除 40万円×20年=800万円
課税額 (600万円-800万円)×1/2=0(非課税)

●退職金の課税額
所得控除 800万円+70万円×15年=1850万円
課税額 (3000万円-1850万円)×1/2=575万円

このシミュレーションでは、従来の「5年ルール」の場合、退職金の課税額は575万円ということになります。

それでは今回、iDecoの退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に変更された場合、従来と同じ条件での課税額はどれくらいに変わるのでしょうか。

●iDeCO一時金の課税額
所得控除 40万円×20年=800万円
課税額 (600万円-800万円)×1/2=0(非課税)

iDeCO一時金の課税額は変わりません。問題は、退職金の課税額です。

●退職金の課税額
所得控除 40万円×15年=600万円
課税額 (3000万円-600万円)×1/2=1200万円

課税額は、「5年ルール」の575万円から、「10年ルール」では1200万円へと2倍近くもアップしてしまう計算になります。

SNSでは大ブーイング「もはや会社員はiDeCoしない方がいい」の声も 

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ありていに言えば、今回の改正により、大損してしまう人が続出してしまうのではないかと危惧されています。現に、SNSでは次のような意見が飛び交っています。

「国は人生設計に影響が出るレベルの制度改変を平気でぶっ込んでくる」

「退職所得控除の5年ルールが10年ルールに改悪されたら、もはや会社員はiDeCoしない方がいいじゃん」

「こんな重要なことを何の予告も議論もなしに簡単に事後報告で済ませちゃうのがダメすぎる」

突然のルール変更に驚きと怒りの声を上げる人が大多数です。

対策はある?

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それでは、大損しないようにするためには、どのような対策があるのでしょうか。まずは、退職金の受け取りを70歳以上に遅らせるという対策が考えられます。60歳でiDeCoの一時金を受け取ってから10年経過すれば、節税効果は完全に復活します。

しかし、現実的に考えて退職金の受け取りを70歳まで遅らせることは可能なのでしょうか。職場の就業規則にもよりますが、退職金は退職後1~2ヵ月後に支払われることが一般的です。また、再雇用制度や勤務延長制度がある会社でも、職場の規定で退職金の支払いは60歳時点という会社も少なくありません。

そうすると、70歳になるまで正社員として働かなければならないのでしょうか。そして、正社員として70歳になるまで雇ってくれる企業はどれくらいあるのかと、筆者は疑問に思います。

もう一つ考えられる対策は、iDeCoを一時金ではなく年金として受け取る方法です。iDeCoの受け取り額と公的年金などを合わせた年収が、65歳未満で60万円以下、65歳以上で110万円以下なら非課税となります。

iDeCoを年金として受け取ることで、公的年金の支給開始を遅らせることができ、老後の公的年金の支給額を増やせる点もこの方法のメリットとして挙げられます。

とはいえ、老後に大きな金額を一括で、かつ節税しながらお得に受け取れることをメリットに感じてiDeCoに加入した人が大半でしょう。そういった人からすれば、今回の改正(改悪?)によって、老後の資金繰りが思っていたのと大きく異なるものになる可能性があります。

そもそも「5年ルール」で募集していたものが、途中で「10年ルール」に勝手に変わるのはいかがなものかと筆者も思います。民間の、例えば生命保険の場合、そのような一方的なルール変更は認められるのでしょうか。

今回のルール変更はまだ、自民党と公明党の与党税制改正大綱に盛り込まれた段階で、衆議院と参議院の審議を経ていません。そのため、ルール変更される可能性が極めて高いとはいえ、まだ確定した訳ではありません。iDeCoがどのように変わっていくのか、結局変更されるにしても、どの党が賛成し、どの党が反対したかなど今後の国会審議に注目していきたいところです。

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