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西千葉・千葉さんぽのおすすめ13スポット。独創性を楽しむ出会いと気づきにあふれる街

さんたつ

【散歩の達人】独創性を楽しむロマンチックさんぽ

千葉大学と包括的連携協定を結んだZOZOは、2021年、西千葉に本社を移転。個人店や地域のイベントも増え、散歩にもってこいだ。一方の千葉駅周辺にも、受け継がれてきた文化の香りが。その世界観に浸かろう。

『HADOWAAA』感覚を刺激するワンダーランド[西千葉]

熱田さんは落花生の名産地・八街市の生まれ。
花は1本から購入可。熱田さんが手掛けるブーケも好評。
店の一角でオリジナルの洋服や仲間のブランド、ビンテージなどアパレル部門も展開する。
路地裏ではためくのれんが目印。

咲き誇る花に囲まれ、それを超える笑顔の店主・熱田陽亮さん。生花店ながら洋服や雑貨、落花生も扱い、壁にアート、カウンターには私物のレコードも。見どころが多く一度に情報を処理できないが、その圧迫感がクセになる。

・12:00~19:00、月休。
・☎043-301-2647
・Instagram:hadowaaa

『Lillemillefy(リルミルフィー)』大人かわいいカフェで夢見心地[西千葉]

ショコラリルミルフィー800円、アールグレイ650円。
バニラシフォン1個550円。

ショコラリルミルフィーは、パリッ、ふわっなど異なる食感がたまらないチョコレートケーキ。西千葉マダムがフォークを片手に乙女の表情を浮かべる。おみやげは、県内産の米粉と卵を使ったシフォンがおすすめ。

・11:00~19:00、火・水休。
・☎043-301-4220
・Instagram:lillemillefy_

『いとなみ書店2.5』2.5坪の敷地にあふれる好奇心[みどり台]

本好きから出版関係者まで、25人の棚主が出店するシェア型書店。「ありがたいことに希望者が多く、2023年のオープン当初から棚を増設しました」とオーナーの中村千昌さん。千葉のマニアックな情報も手に入る。

・11:00~17:00、土・日・祝休。
・X:itonami_books

『pebble』温かみのあるクラフト雑貨に和む[みどり台]

張り子「Swing Swing」福田十糸子 各5500円。
木の豆皿/工房 やす 各990円。

見ていて気持ちがほっこりする小物や、手に取りたくなる木の器など、店主の山田麻里子さんが選んだクラフト雑貨が並ぶ。作家の人柄が伝わる物ばかりで、ときには運命的な出合いも。お気に入りを探して。

・12:00~18:30、不定休。
・☎043-306-3552
・Instagram:___pebble_

『nagu』素材を生かした日常のおやつ[みどり台]

ショートブレッド380円、じゃがいも柚子胡椒(クラッカー)300円。

目当ては手作りの焼き菓子。シンプルだからこそスパイスやハーブが効き、「柚子胡椒のクラッカーはお酒とも合います」と店主の西山美保さん。子供には、発酵バターが香るショートブレッドが人気だ。季節のタルトも目を引く。

・11:00~18:00、火~木休。
・Instagram:nagu_okashi

『こころび』目利きが厳選した産直品が800点以上[西千葉]

ミニとろイワシ味付385円。
プレミアムとろイワシ缶1080円。

マロニエ通りにある産直品のセレクトショップ。入り口の棚で人々を迎えるのは、契約農家から届いた新鮮野菜だ。銚子産イワシの缶詰や、契約農場の豚肉を使った房総もち豚は、自社工場で加工した自慢の品。他に、各地の厳選食品も。

・10:00~19:00、日休。
・☎043-306-6798
・Instagram:foodstory_cocorobi

『HELLO GARDEN』木漏れ日が揺れる地域のオアシス[みどり台]

写真提供=HELLO GARDEN。

「暮らしの実験広場」として開かれ、2024年で10年目。誰でも利用できるオープンスペースで、毎週金・土にはキオスク屋台が営業中。イベントを開催したり、キッチンカーが出店することも。

・Instagram:hello__garden

『Eureka Coffee Roasters』店先のベンチでコーヒーブレイク[みどり台]

ドリップコーヒーM650円。一から手作りの西千葉コーラ750円。
西千葉コーラ(シロップ)1900円。

産地で直接買い付けした豆を自家焙煎。西千葉ブレンドはマイルドで飲みやすく、通勤前にモーニングコーヒーを買いに来る人が多い。カラメルに西千葉ブレンドを使用した西千葉コーラは、もうひとつの名物。

・8:00~20:00(日は10:00~18:00)、無休。
・Instagram:eurekacoffeeroastersofficial

『田子作煎餅』生地作りから始める完全オリジナル[千葉中央]

うす焼き 16枚入り600円(右)、うす焼き あら挽き10枚入り650円(左)。

3代目の長島淳一さんを中心に、今どき珍しく生地作りから自社で行う。県内産コシヒカリと千葉県特産天然醤油を原料とし、炭火で手焼き。独特の薄さで、かじると程よい塩味と米の旨味が舞う。

・9:00~19:00(日は~18:00)、第2・3日休。
・☎043-241-4638
・Instagram:tagosakusenbei1954

『日暮らしサンドウィッチ』約30種のサンドイッチがずらり[市役所前]

厚焼きたまご スタンダード356円(手前)、アップルマンゴー496円。

ふわっとした食感と、じわっと染みる自家製出汁が心身を癒やす出汁巻きたまご。香りがよく旨味が強い白パンと相性抜群だ。季節のフルーツサンドもおすすめ。

・8:00~17:00(土・日・祝は9:00~15:00。売り切れ次第終了)、不定休。
・☎043-306-9977
・Instagram:higurasi_sandwich

『千葉劇場』戦前に開館した県内最古の映画館[葭川公園]

ヒューマンドラマに強いと評判の単館系映画館。『夏の終わりに願うこと』(2024年8月9日~)、『劇場版アナウンサーたちの戦争』(同8月16日~)。落語会も催し、2024年8月3日には春風亭昇也ら3人がスクリーン前の特設高座に上がった。

・☎043-227-4591
・X:chibagekijo_usc

『HIDEOUT』ビルの階段を上った先にある別世界[葭川公園]

季節のカクテル1200円~。バーテンダーの合田知史さんが説明してくれるので、バー初心者も安心。

バーテンダーがいざなう非日常の空間。旬のフルーツをふんだんに使ったオーダーメイドのカクテルが、日々の疲れを洗い流してくれる。ハーブやスパイスを漬け込んだ一期一会のメニューも。

・17:00~翌3:00(日は~翌1:00)、不定休。
・☎043-222-0255
・Facebook:BarHideout.chiba

『ROUTE』雑貨を愛する店主の人生をのぞく[千葉中央]

動物皿/cosael 5000円。
オリジナルキャラクターのルートくんステッカー。

これだけの数のものを詰め込みつつ、見事なまでに丁寧に配置されていることに店主・川島徹さんの愛を感じる。主に1970年代の雑貨を集めながら、近年は若手作家の作品も取り扱う。「イベントなどで出会って力を貸したいと思ったんです」。

・12:00~19:00、水・木休。
・Instagram:routetuor

のどかな街並みに緩やかな人の輪が重なる

総武線の電車の中で、稲毛から乗ってきたかわいいおばあちゃんに突然話しかけられた。もう少し会話を楽しみたかったが、次の西千葉で降りると伝えると「マロニエ通りの商店街がおしゃれよ」とおすすめの散歩ルートを教えてくれた。

改札を抜け、おばあちゃんに教わったマロニエ通りを歩くと、雰囲気のいい個人店が立ち並び、どこも活気がある。ひょいっと路地裏の店に飛び込むと、色とりどりの花が並ぶ『HADOWAAA』。花だけでなく洋服やアートなど、見どころが多い。

「雑誌とかレコードとか、昔から好きなものを収集するクセがありました。今も変わっていないってことですね」

そう言いながら、店主の熱田さんは店内を見回す。

幸町団地が建てられたのは1969年。リノベーションが進み、外壁を塗り直したモダンな住棟を眺めるのが楽しい。

さらにみどり台方面に歩みを進め、目に入ったのは『いとなみ書店2.5』の看板。こぢんまりした店内で地図ラーの会が作った『西千葉・みどり台』の冊子をめくっていると「このへんを散歩するなら『HELLO GARDEN』が気持ちいいですよ」とオーナーの中村さん。たしか『カリーダモン』の沖田さんも、以前そこで開かれていたマルシェに出店したと言っていた。ここでの経験をきっかけにして西千葉で店を始めた人も多いらしい。

行ってみると周りは住宅地で、誰でも自由にくつろげるようになっている。ノートを広げ、何かを思案していた青年は、聞けば千葉大生で、近々開催される「みどりまち盆踊り」に伴って開催するイベントのプランを練っているという。盆踊りは70年以上続く地域の祭りで、彼らはここを会場にして特別企画を行うらしい。

みどり台のラウンドアバウトに、ロバート・インディアナ作「LOVE」の彫刻が。ZOZOの前澤友作元社長が寄贈。

今と昔の景色が自然と交錯する

千葉中央駅から千葉港に向かってのびる全長400mの新宿公園。腰掛けられる場所が多く、休憩にぴったり。

京成千葉線を越えて南下すると、険しい崖が現れる。みどり台は「浜海岸」、西登戸は「千葉海岸」という駅名だった時代があり、当時この辺りは海を見下ろす別荘地だったとか。国道14号が元々の海岸線で、現在その先は幸町団地の広大な敷地。そうか、ここは海だったのか。

埋め立てがスタートしたのは1960年代。1954年に創業した『田子作煎餅』の由来書には「創業の頃、塩田の跡地に建てた煎餅工場の前には遠浅の海が広がっていました」とある。ちなみに、ここの煎餅は軽快な歯応えが特長のうす焼き。蓮池にあった花街の芸者からも気に入られていたようだ。

千葉港発祥の地に作られた千葉ポートパーク。干潮時には潮干狩りの客でにぎわう。晴れると夕暮れがきれい。

千葉ポートパークで過ぎし日の千葉に思いをはせていたら、だいぶ日が西に傾いてきた。いい時間だし、ちょっと飲んでから帰りたい。と、富士見で小さな看板を頼りにビルの階段を上ると、ほの暗いトンネルの先に別世界が。「隠れ家」の意味を持つ『HIDEOUT』は、ハーブやスパイスを使った実験的なメニューも多く、バー初心者もワクワクが緊張を上回る。気分良く酔っ払ってきたけど、ちゃんと帰れるかな。さっき通ったトンネルを出たら、また違う世界につながっていたりして!

近いうちにまた遊びに来てね!

取材・文=信藤舞子  撮影=逢坂聡
『散歩の達人』2024年8月号より

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