災害対策が行き届いた住宅とは?自然災害に強い住宅建築を考える
災害対策が行き届いた住宅とはどのようなものなのでしょうか。大規模な自然災害が増えている現在、災害対策に留意した家づくりが必要不可欠となっています。
この記事では、日本に起こりうる災害とその対策について解説しています!ぜひ参考にしてみてください。
自然災害が生活や住宅に与える影響
災害対策に気を付けて家づくりをすることで、長く快適に住める家を実現できます。まずは日本で頻発している自然災害が住宅に与える影響について、確認しておきましょう。
風による飛来物・浸水・落雷から生じる一次被害
大きな台風や線状降水帯が発生した時に考えられる災害は、風害と水害です。強風による飛来物で窓ガラスが割れ、河川の氾濫によって床下・床上浸水が発生します。最近では、毎年どこかで線状降水帯が発生し、洪水による甚大な被害をもたらしています。
以前と比べると雨を含んだタイプの台風が多く発生するようになり、土地によっては風害と合わせて水害などの災害対策が必須といえるでしょう。大気も以前より不安定になり、春先や夏には落雷の被害も見られるようになりました。したがって、落雷に関する災害対策も考えておく必要があります。
水道・電気・通信に不具合が生じる二次被害
風害や水害、地震、落雷などの自然災害が起きた後は、二次被害の拡大が懸念されます。水道や電気などのインフラが寸断されて利用できなくなり、重要インフラである通信も使えなくなります。
すぐに避難できない可能性を考えると、一定時間耐え忍ぶための対策が必要です。最近では、防災グッズや一時的に生活を維持するための蓄電池が注目されています。自然災害の甚大化が進むと、より高度な災害対策が必要になるでしょう。
住宅災害対策機構と災害対策基本法
以前より施行されていた災害対策基本法は平成25年に公布されました。日本政府が定める災害対策基本法の概要は主に4つの項目に分けられます。
大規模広域な災害に対する即応力の強化等被災者保護対策の改善住民等の円滑かつ安全な避難の確保平素からの防災への取組の強化
主な変更点は、縦の連絡網をより簡略化し、緊急事態にすぐに対応できる組織作りを目指した点。災害時には大量の産業廃棄物が発生することがありますが、環境大臣が特例地域を指定した際は特例的な産業廃棄物処理を行うことが可能となりました。
(一社)住宅災害対策機構では、自然災害で住宅が壊れた時の被害の査定と、保険会社への連絡を行っています。火災保険などの損害保険は、思いの外さまざまな事象に対応しており、実費での修繕が必要ないケースも多くあります。
査定を受けた後は、そのまま住宅災害対策機構にリフォームや修繕の依頼を出すこともできるため、自然災害による被害を被った時に役立ちます。住宅災害対策機構の名前を覚えておきましょう。WEB サイトにも詳細の記載がありますので、事前の確認をおすすめします。
住宅の災害対策を考える
近年の住宅が持つ災害対策機能について、自然災害ごとに解説します。
地震に備える
東日本大震災以来、住宅の地震対策に多くの労力が投入され、各ハウスメーカーでは強い揺れにも対応できる家づくりを進めてきました。
住宅の構造による地震対策には、以下の種類があります。
・揺れに耐える耐震構造
・揺れを吸収する制震構造
・揺れを伝えない免震構造
戸建てでは耐震構造を採用した家が多くあります。同じ耐震構造でもハウスメーカーごとにさまざまな工法があるため選択に迷うところですが、過去の災害対策に関する実績を確認するのが良いでしょう。
特に実績がない場合は、耐震テストの実施内容や検査機関からの認定などを参考にしましょう。
風水害に備える
近年では、地震だけでなく、甚大な水害の多さも気になります。毎年日本のどこかで大規模な水害が発生しており、住む土地によっては万全な災害対策が必要です。
構造的に風水害に強いとされる住宅は、鉄筋コンクリート造りです。基礎が強い構造もさることながら、鉄筋コンクリート住宅は物理的な重量が重いため、同じ風速60メートルの風でも軽量鉄骨や木造住宅よりも建物への影響が少ないといわれています。ちなみに台風が多い沖縄の住宅は戦後より建て替えが進み、現在では鉄筋コンクリート造りの平屋住宅がスタンダードとなっているそうです。
鉄筋コンクリート造りの住宅は基礎の構造も強固なことが特徴。一般的な鉄筋コンクリート住宅の基礎梁の幅は220mmと、鉄骨住宅の約1.3倍となっています。
津波などの強烈な水害に遭遇しても、住宅自体に重さがあるため簡単に流されることはなく、バラバラになる可能性を抑えられます。風水害が懸念される場所に家を建てる時は、鉄筋コンクリート構造を検討すると良いでしょう。
停電に備える
停電は、地震や水害などの大きな自然災害に遭遇した時に二次災害として考えられるアクシデント。大手のハウスメーカーでは、ガスによる発電や、日頃の太陽光エネルギーを蓄電して、緊急時に使う仕組みを住宅機能に組み込んで販売しています。住宅を建てる際は、ライフラインを確保する災害対策がなされているかどうかを確認しておきましょう。
最近のトイレは電気制御のタイプも多くなり、停電でトイレが使えなくなることも考えられます。
停電時のトイレ対策も抜かりなく行っておきましょう。
防災意識を高くもつ
年々自然災害がひどくなりつつあるため、防災の意識を高く持っている方は以前よりも多いでしょう。
地震については、もはや日本のどこに住んでいても遭遇する可能性が高いため、リアリティをもって対策することが重要です。住宅を建てる場合、災害対策としてまずは防災機能を優先しましょう。安全な暮らしが基盤となって、快適な暮らしが実現することを忘れないようにしたいものです。
災害対策が行き届いた住宅を建てるには?ポイントをご紹介
ここでは、災害対策が行き届いた家づくりのポイントをご紹介します。
ハザードマップや地盤の確認は必須
水害や地震対策で始めに確認すべきことは、ハザードマップの確認です。ハザードマップとは、実際に自然災害が起きた時に想定される被害の大きさが地図上に示されたもの。最寄りの避難場所や避難場所に行くまでの経路が確認できるため、必ず持っておきましょう。
記載されている災害情報は、洪水や津波による浸水、土砂災害、地震が起きた時の家屋倒壊、火山が噴火した時の被害などの危険度です。河川の氾濫による洪水や大雨時の土砂災害、地震の際の家屋倒壊の可能性は地理的要因に基づいて記載されているため、ある程度信頼できる情報です。
建築予定の土地がどのような災害リスクを持っているのか、入念に確認しておきましょう。許容できるリスクであれば、事前に対策を考えることができます。
地盤の強さと住宅の構造を考える
ハザードマップと併せて、地盤の強さをさらに詳しく調査しておくと住宅設計の際に役立ちます。地盤調査には調査方法のグレードがあり、入念な調査になるにつれて費用が高くなります。
地盤調査の結果、改良が必要な場合にはさらに費用がかかることも押さえておきたいポイント。地盤の質が把握できれば、より良い住宅の構造を検討することも可能です。木造住宅や軽量鉄骨造りの住宅にもさまざまな耐震工法がありますが、構造的に最も強固な住宅は鉄筋コンクリート造りの家です。土地の地盤に併せて、建てる住宅の構造もよく検討しましょう。
まとめ:災害対策は土地の調査と住宅の構造で決まる
年々驚異を増す自然災害への対策は、住宅の建築前にハザードマップを確認し、必要に応じて地盤調査や地盤改良を行うことです。自分が建てる家の土地を事前に知ることで、取るべき対策がわかります。
住宅の種類は木造や軽量鉄骨造りなどいくつかありますが、風水害や地震に強い構造は鉄筋コンクリート造りの家とされています。地盤の質や予算、考えられるデメリットを考慮した上で、最適な住宅建築を検討しましょう!