連続テレビ小説「あんぱん」河合優実さん×原菜乃華さん×中沢元紀さんクロストーク
連続テレビ小説「あんぱん」は、主人公・朝田のぶ、そして柳井嵩とそれぞれのきょうだいとの関係性も見どころの1つです。のぶの妹の朝田蘭子役・河合優実さん、朝田メイコ役・原菜乃華さんと、嵩の弟の柳井千尋役・中沢元紀さんが語る、「あんぱん」出演秘話、そして役についての思いをお届けします。
3月末に発売し、売れ行き好調につき早速の重版が決定した『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説あんぱん Part1』。本書より、インタビューの一部をご紹介します。
(※NHK出版公式note「本がひらく」から抜粋)
オーディションを経て役をつかんだ3人
河合 この3人は全員、朝ドラ初出演でもあるんですよね。
原 河合さんは蘭子役に決まったときってどうでしたか?
河合 私はヒロイン役のオーディションに参加していました。妹役に決定し、資料も一緒にもらったのですが、あらすじ、蘭子がたどる人生などが書いてあって。役もですし、何よりドラマ自体のメッセージがとてもすてきだったので、頑張ろうと思いました。
中沢 僕は嵩の弟役オーディションを受けたんです。「アンパンマンのマーチ」の歌詞を喜怒哀楽を込めて朗読するという審査でしたね。
原 私もそれやりました!
河合 私も! 同じですね。
中沢 みんな経験したんですね! 後日、電車に乗っているときにマネージャーさんから電話がかかってきて。急いでホームに降りたら「決まりました」と言われて、衝撃とうれしさと、いろんな感情がこみ上げてきてしまって、ホームを1分ぐらいウロウロしたのを覚えています(笑)。
原 私もヒロインオーディションを受けていたんですが、最終選考の手前で落ちちゃったんです。しばらくしてから、「妹役に決まりました」という電話が来たときはただただびっくりでしたね。絶対に出られないと思っていたので……。
河合 朝ドラって家族が喜んでくれるのがうれしいですよね。
原 ですよね! うちもすごく喜んでくれています。
中沢 祖父と祖母もとても喜んでくれました。
河合 日本中の皆さんが毎朝放送を楽しんでくれると思うと、それがいちばんうれしいです。
原 私は中沢さんと同じ事務所で、3年ぐらい前まで一緒にレッスンを受けていたんですよ。ただ2人とも人見知りで……。ちゃんと話ししたことはなかったので、こうして今、朝ドラで共演できていることがとても感慨深いです。
中沢 僕もです。原さんは当時も今も明るくてかわいらしい愛されキャラ。メイコという役はぴったりだと思います。河合さんの出演作はいくつか見ていて、すてきな方だなと思っていました。「あんぱん」でも共演シーンがなかなかないのですが(笑)、スタジオ前のモニターで見ていると目を惹きつけられるお芝居をされていて、すごいなと思っています。
河合 ありがとうございます。
原 私は過去に、河合さんと同じドラマの別の回に出たことがあったんですが、そこで初めて河合さんのお芝居を見て、「この方はなんというお名前!?」と思ってすぐに調べたぐらい、強烈な印象があったんです。だから蘭子姉ちゃん役が河合さんだと知って、本当にうれしくて!
河合 それ、初めて聞きました。
原 出演作もいろいろ見ていて、感想は伝えられていないんですけど、本当に好きです‼
河合 うれしい……。私も、原さんがアイドル役で出演しているドラマを見ていて、周囲に「原菜乃華ちゃんがどれだけすごいか」について熱弁を振るいました。キャラクターの愛らしさを100%以上にまで表現される方なので。
原 わぁ……! 今の録音しておけばよかった(笑)!
真ん中っ子・末っ子・弟 三者三様のキャラクター
河合 この3人がそろって、高知の海でロケをしたシーン(第3週)は印象的でした。
原 クランクインの日ですね!
河合 嵩さんと千尋さんが並んで立っているのを初めて見て、兄弟だということがすごく腑に落ちる2人だなって思いました。私が演じる蘭子は、朝田家の中で一歩引いた立ち位置で家族を見ている子。それを踏まえて自分がどう動くか決める人という気がします。常にバランスを取って行動しているし、三姉妹の中で最初に何かを選択することはあまりない。のぶ姉ちゃんとメイコにうれしいことがあったら自分もうれしい、2人と一緒に喜んだり悲しんだりしたい、という気持ちは、私も三姉妹の長女なのでよく分かります。
中沢 河合さん自身は長女なんですね。真ん中っ子を演じてみてどうですか?
河合 のぶは、長女だから我慢する、というようなタイプの姉ではないんですよね。むしろ自分からどんどん進んでいくから、妹としては安心してその背中を見ていられると思っています。メイコは本当にかわいいよね。
原 メイコはザ・末っ子。みんなが「しょうがないなぁ」と笑って許してくれる、愛らしいキャラクターです。
中沢 千尋はときどき朝田家にパンを買いに行くんですが、店番はメイコちゃんが多いですよね。
原 メイコはコミカルなセリフを言ったり、明るいシーンを担当することが多いんです。楽しい朝田家をより明るくできたらいいなと思いながら、のびのびと末っ子を演じています。千尋くんはすごくしっかりした弟ですよね!
中沢 勉強もできて柔道も強くて優しくて。そんな優秀なキャラクターだと知ったときはすごいプレッシャーを感じました。やなせたかしさんも、弟の千尋さんのことを「弟は柳瀬家のホープであった」と書かれていますし。だけど兄貴(嵩)とはすごく近い距離感で話せているので、いい兄弟だなと思いますね。
『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説あんぱん Part1』では、このクロストークの完全版がお楽しみいただけます。今田美桜さん演じる朝田のぶ、北村匠海さん演じる柳井嵩への3人のメッセージや、撮り下ろしグラビアも満載です。また、ドラマ・ガイドは今田美桜さんと北村匠海さんの対談を始め、脚本家・中園ミホさんや豪華出演者のインタビュー、モデルとなったやなせ夫妻の歩みや、ドラマ内の美術解説など、ドラマがもっと楽しくなるための独自企画も収載。朝ドラファン必携の1冊です。
撮影/須田卓馬 取材・文/大曲智子
河合優実(かわい・ゆうみ)
2000年生まれ、東京都出身。主な出演作に、映画「少女は卒業しない」「あんのこと」「ナミビアの砂漠」、ドラマ「不適切にもほどがある!」など。劇場アニメ「ルックバック」では、声優に初挑戦。NHKでは、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」などに出演。
原 菜乃華(はら・なのか)
2003年生まれ、東京都出身。主な出演作に、映画「3月のライオン」「はらはらなのか。」「罪の声」「ミステリと言う勿れ」「恋わずらいのエリー」「【推しの子】」、劇場アニメ「すずめの戸締まり」、ドラマ「真犯人フラグ」「ナンバMG5」など。NHKでは、大河ドラマ「どうする家康」などに出演。
中沢元紀(なかざわ・もとき)
2000年生まれ、茨城県出身。主な出演作に、映画「沈黙の艦隊」「さよならモノトーン」「ファストブレイク」、ドラマ「ナンバMG5」「埼玉のホスト」「下剋上球児」「沈黙の艦隊シーズン1~東京湾大海戦~」「366日」「ひだまりが聴こえる」など。