先延ばし癖の原因やデメリット、改善方法を解説
重要なタスクや決定を不必要に遅らせる行為である「先延ばし癖」。短期的には心理的な安心感をもたらすかもしれませんが、他者に迷惑をかけたり物事の進行に支障をきたしたりする可能性があるため、特にビジネスシーンでは改善すべき行動傾向です。
この記事では、先延ばし癖の原因や特徴、改善策などについて分かりやすく解説します。
先延ばし癖の原因とは?
そもそも先延ばし癖はどうして発生してしまうのでしょうか?環境などの外的要因から自身の行動傾向までさまざまな要因がありますが、ここではよくある3つの原因について解説します。
環境が整っておらず、集中できない
仕事以外のもので散らかったデスクや騒がしい環境は、集中力を奪い、タスクへの取り組みを妨げます 。例えば、リモートワークですぐに休める場所がある、デスクの上に趣味の本、ゲームなどが置いてある、スマートフォンやタブレットが常に近くに置いてある、といったことが挙げられます。このような環境で作業をすることは、先延ばしの大きな原因となります。
時間管理がうまくできていない
期日があっても タスクの整理や優先順位付けなどができておらず、時間の使い方を計画できていない 場合、物事を先延ばしにしがちです。
また、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン氏が提唱した「パーキンソンの法則」では、「人は仕事の複雑さにかかわらず、割り当てられた時間をすべて使い果たす傾向にある」とされています。つまり、明確な期日がなかったり時間に余裕があったりすることも、先延ばしにしてしまう原因のひとつといえます。
先延ばしを繰り返すことで自信を失ってしまう
自分に自信がないと、 タスクを始めることに対する不安やプレッシャーが増し、タスクへ取り掛かる意欲が削がれます 。その結果、先延ばしが起きてしまうのです。また、先延ばしを繰り返すうちに「またやってしまった」という自己嫌悪が芽生え、さらに自信をなくし、余計に先延ばし癖が常習化してしまう場合もあるでしょう。
先延ばし癖のある人の特徴とは
物事を先延ばしにする傾向がある人には特徴があり、特に下記の3つの行動パターンが多く見られます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
面倒なことを避けたがる
精神的な負荷が高い作業や高度な集中力を要する課題などに直面すると、そのストレスを回避したいがために取り組みを遅らせる傾向があります。また、作業の途中で「デスクまわりの掃除を始める」「スマートフォンで調べ物をする」など、ほかのことに熱中してしまい、すべきタスクから目を背ける傾向も強いです。このような現実逃避は一時的には安心感が得られるものの最終的には状況を悪化させる可能性があります。
未来を軽視する傾向にある
先延ばし癖のある人は、あまり先々のことを深くまで考えない傾向があるので、今の自分の行動が将来にもたらす結果を十分に考慮せず、安易に物事を先送りしてしまいがちです。「まだ締め切りまで時間があるから大丈夫だろう」「明日やれば間に合うだろう」などと未来に対する見積もりが甘い傾向が見られます。
完璧主義でミスを過度に恐れる
完璧主義なタイプの人は、細部にこだわるあまりに準備作業に過度に時間を費やし、本質的な作業の開始が遅れがちです。「完璧に仕上げられなければ、周囲に迷惑をかけてしまう」などの思考からなかなか仕事に取り組めない、終わらせられないという人もいます。結果として全体的な進捗を遅らせ、プロジェクトや期限の遅延リスクを高めます。これも先延ばし癖がある人の代表的な特徴です。
先延ばし癖がもたらすデメリット
物事を先延ばしにしてしまうとさまざまな場面で不利益が生じます。ここではビジネスシーンに関連するデメリットを3つ解説します。
生産性や仕事の質が低下する
タスクの複雑さや所要時間は、実際に着手してみて初めて明らかになるケースが多いでしょう。締め切り直前に着手してから「思ったよりも複雑で時間がかかる」「関係者への確認や調整が必要でなかなか進行しない」などの状況に陥ると、生産性や仕事の質は低下します。結果的に仕事の評価を下げることにもつながります。
精神的なストレスが溜まる
未処理のタスクが蓄積されると、常に仕事に追われているような感覚に陥り、精神的なストレスを感じます。また、タスクを計画的に処理していないことで「なんて自分はダメなのだろう」と、できない自分に対してもネガティブな感情が生まれます。この状態により、目の前の作業への集中力を低下させ、全体的な生産性を損なうといった悪循環に陥ってしまいます。
チャンスやまわりからの信頼を失う
物事を先延ばしにした結果、約束の期日を守れない状況が続くと、周囲からの信頼が損なわれ、人間関係に亀裂が生じる可能性があります。さらに、責任感の欠如を印象付けてしまうことで、重要な職務を任されなくなり、成長の機会を逃す結果となりかねません。
先延ばし癖の改善方法
ここでは、先延ばし癖を改善するために効果的な方法を5つ紹介します。仕事の場面以外に日常生活でもすぐに実践できることばかりなのでぜひ参考にしてみてください。
周囲の環境を整える
締め切りが迫っている課題があるにもかかわらず、別なことに手をつけてしまう行為を「セルフ・ハンディキャッピング」といいます。これは、 あらかじめハンディキャップを負うことで、もし失敗してもそれを言い訳にして自尊心を保とうとする心理からくるもの です。この心理が働かないようにするためには、取り組むべき課題以外の事柄を物理的に取り除くことをおすすめします。例えば、無意識のうちに触りがちなスマートフォンを一時的に別の部屋に置いたり、課題以外のタスクに関する情報は遮断したりといった対策をすると良いでしょう。
とりあえず着手する
「面倒くさそう」「時間がかかりそう」「ここのやり方が分からないから理解できてから取り組もう」などと考えると腰が重くなってしまい、取り掛かりが遅くなります。そうなってしまわないように、 あれこれ考える前にとりあえず着手してみるのがおすすめ です。「パソコンデスクに座ってみる」「資料を開いてみる」など、まずは取り組みやすい小さな行動で構いません。一度始めてしまえば、そのあとに徐々にやる気が出て作業を継続させることができるでしょう。また、完璧主義タイプの人の場合は最初から100点を求めるのではなく80点くらいの成果を目指して取り組み始め、あとから改善を加えていくといった流れを組めると初動が早くなります。
実際の締め切りよりも早い締め切りを設定する
実際に守らないといけない締め切りよりも前に個人的な締め切りを設定する ことも、先延ばし癖がある人には効果的です。例えば、1週間後が提出期日となっているレポートがある場合、その期日どおりではなく3日前の日付を締め切りとしてカレンダーに登録しておき、絶対にその期日を守るといった習慣をつくりましょう。
タスクを細かい作業に分ける
大きな課題に対してはどこから着手したら良いかが分かりにくかったり、所要時間の見積もりがしにくかったりして先延ばしにしがちです。そのため、すべきことがあったらまずは 小さな作業ベースのタスクに分割する のをおすすめします。例えば、会議の進行を担当することになった場合は「参加者を確認する」「会議室を予約する」「会議資料を作る」など細かいタスクを洗い出し、すぐにできるものから取りかかると良いでしょう。タスクを細分化し全体像が可視化されると、効果的なスケジュールも組みやすくなります。
定期的に気分転換をする
作業が行き詰まったり、集中力が途切れてきたりしたまま作業を進めるのは非効率です。 意識的にリフレッシュする時間をつくり、気持ちをリセットしましょう 。その際は長時間の休憩ではなく、こまめに休憩を挟むほうが効果的です。
集中する時間と休憩する時間のメリハリをつけて生産性を高めるためには、時間管理術「ポモドーロテクニック」が役立つのでぜひ実践してみてください。
ポモドーロテクニックについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
「ポモドーロテクニックとは?生産性を上げる活用方法を紹介」
まとめ
今回は、すべきタスクを後回しにする行動傾向である「先延ばし癖」について解説しました。仕事の質やまわりからの評価を下げたり、他者に迷惑をかけたりといったデメリットがあるため、先延ばし癖があると感じる人はビジネスパーソンとして改善してみてはいかがでしょうか。この記事を参考に原因や改善方法を参考にして、できることから実践してみてください。
関連記事: ロジックツリーとは?メリットや種類、作成方法を解説 心理的安全性とは?高める方法やぬるま湯組織との違いを解説 「デキるビジネスパーソンへの道」の記事一覧