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猛暑の日々、氷やアイスのデザインを見て涼しい気持ちに浸りたい

さんたつ

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8月上旬を過ぎてもなお、毎日のように猛暑日が続いている。この暑さでは、気軽に散歩もできやしない。手っ取り早く涼を取ろうと、毎日かき氷ばかり食べていたところ、冷たいものを食べると覿面(てきめん)におなかを壊す体になってしまった。もはや自分は、かき氷の名店を巡るレポすら書けない人間である。

視覚的に涼しさを感じられないだろうかと、氷屋さんを見ていく

とはいえ、この暑さは何とかしたい。かき氷を食べることはできなくとも、涼しげな氷まわりのデザインを眺めることで、視覚的に涼しさを感じることはできないだろうか。

まずは氷屋さんを見ていきたい。昔に比べて街中の氷屋さんの数は減ったように感じるが、それでも古くから営業している氷屋さんは各地に存在する。

年季の入った看板。配色がしゃれている(下馬)。
友人Mさん撮影の、神谷町の氷屋さん。桜印が渋い。
路地を覗(のぞ)くと見つかる控え目な看板(府中)。

こうした氷屋さんでは、夏場にかき氷を提供する店も多く、近所の人たちの夏の楽しみにもなっている。

夏にかき氷を販売する下北沢の氷屋さん。ペンギンや氷という涼しさを感じさせる要素はあれど、真っ赤なデザインに熱量が感じられる。

氷屋さんのデザインの中で、特に涼しさを感じられるのがドライアイスの看板ではないだろうか。字体からしてすでに冷たそうだ。

スッとした硬質な字体が、ドライアイスの冷たさを感じさせる(小平)。
小平の氷屋さんの字体とほぼ同じ「ドライアイス」(岐阜県大垣)。

こうした看板にはシロクマやペンギンなどの寒冷地キャラクターがあしらわれていることも多く、涼しさの演出に一役買っている。

ドライアイスを運ぶシロクマがかわいい。スッとした字体は、「ニットーのドライアイス」のロゴなのだろうか(神田)。
80年代っぽいペンギンが印象的(千葉)。

涼しいペンギンのキャラは、街中を走る冷凍車にも見ることができる。

チルド物流を主とするムロオのトラック。このペンギンは「ブルペンくん」という名前だそう(岐阜県関ケ原)。

ペンギンはいなくとも、炎天下で信号待ちなどをしている時、目の前を涼しいデザインの冷凍車が走り抜けていくと、何となくうれしい気持ちになるものだ。

以前、「かわいいトラック」のコラムでも取り上げた五十嵐冷蔵のトラック。積もった雪が涼しそう(桜上水)。
こちらは氷屋さんのトラック。黒地というのは珍しい気がする(渋谷)。

アイスクリーム屋さんのデザインはどうだろうか

一方、同じく冷たい商品を扱う街中のアイスクリーム屋さんのデザインはどうだろうか。最近ではオシャレなアイスクリーム屋さんも増えてはいるが、やはりレトロなデザインの店舗に引かれてしまう。

もうアイスクリーム屋さんとしての営業は行っていないようだが、懐かしい雰囲気の看板(渋谷)。
惜しまれつつ数年前に閉店した「銀閣寺キャンデー店」。異なるフォントで冷たいものが列挙されている、素敵なデザイン(京都)。

幼い頃、海水浴の帰りに寄ってアイスを買った駄菓子屋さんを思い出すからかもしれない。

近年、日本各地のアイスのパッケージデザインが“地元アイス”として注目されているが、アイスクリーム屋さんの看板デザインもなかなか趣深いものがある。静岡・飯塚製菓の「アイスまんじゅう」看板は、シロクマや氷山があしらわれ、先に挙げた氷屋さんにも見られた涼しさが演出されている。

シロクマと氷山、これ以上涼しさを感じさせるデザインがあろうか(静岡)。

しかし、多くのアイスクリーム屋さんのデザインでは、「涼しさ」というより「かわいらしさ」が優先されている気がする。つまり、アイスクリーム屋さんの看板を見ただけでは、ひとは涼しい気持ちにはなりにくいということだ。

ジェラートの写真と文字だけなのだが、何となくレトロさを感じさせるのは色遣いのなせる業か(山梨県清里)。
ZOZOマリンスタジアム内の看板。シンプルながらかわいい(幕張)。
もう営業していないお店のようだが、1980年代的なファンシーさにあふれている(小田原)。
アイスクリーム好きには有名な神谷町の『SOWA』。近頃涼やかな外観の新店舗になったが、こちらは移転前の仮店舗のかわいい看板(友人Mさん撮影)。

実際に氷を食べる涼しさ

そう言えば、気温が上昇するにつれ、アイスクリームよりもかき氷の売り上げが伸びると聞いたことがある。ウェザーニュースの調査では、気温が34℃を超えると、アイスクリームとかき氷の需要が逆転し、かき氷が優勢になるという( https://jp.weathernews.com/news/41171 )。視覚的に涼しさを求めるのであれば、アイスクリーム屋さんより氷屋さんを見た方がいいということか。

かくして日々氷屋さんのデザインを眺めているが、やはり絵に描いた餅、実際に氷を食べる涼しさにはかなわない。猛暑が過ぎ去る前におなかの調子を整えて、かき氷店めぐりをしたいと願うこの頃である。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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