「漫画家・森薫と入江亜季 展」が11月2日から世田谷文学館で開催
「漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―」が2024年11月2日(土)から「世田谷文学館」で開催される。同時期にデビューし、『コミックビーム』『ハルタ』『青騎士』と同じ雑誌で連載を重ね、ともに成長してきた漫画家・森薫と入江亜季。アナログの手描きにこだわり続けるという共通点もあり、繊細な線で描かれるキャラクターやダイナミックさと精緻さを持ち合わせた背景など、力強く観るものの心に残る作品世界を創り上げてきた二人だ。
同展では、原画とともに、同人誌時代の作品やイラストレーション作品、机周りや創作メモ、取材の様子など執筆の現場も紹介。物語の世界はもちろん、一枚の原稿が生まれる道程まで紹介する。
森薫の代表作といえば、ビクトリア時代の身分を越えた恋物語を描いた『エマ』、細部まで描きこまれた中央アジアの風物と美しい花嫁たちが登場する『乙嫁語り』が挙げられる。いずれも異様なまでの描き込みと小道具や紋様一つに対してまで妥協を許さない情熱によって、まるでその場にいるかのように錯覚させる情景描写と、当時の時代背景を巧みに取り込んだ王道のロマンス展開で多くのファンを虜にしてきた。
入江亜季の少女漫画的なタッチと端正なコマ割りによる「レトロモダンファンタジー」とでもいうべき世界観は、デビュー作である短編集『群青学舎』(2006年から連載)から確立しており、メルヘンから現代恋愛劇まで、独自の切り口とタッチで青春期の人々を描いた同作は、漫画ファンの中で瞬く間に認知され、入江亜季という才能を世に知らしめた。
その後、キラキラと輝く魔法と少女の成長を描いた『乱と灰色の世界』、アイスランドの大自然のなかで消えた弟の行方を探る『北北西に曇と往け』と異なる世界観でファンを増やし、魅了し続けてきた。美しい線画と華麗なコマ割りやセリフが織りなす綾はドラマティックでファンタスティックな物語へと読者を誘う。
ファン必見のイベントというのはもちろん、同展をきっかけに日本の漫画界が誇る才能に触れてみてもいいだろう。『乙嫁語り』と『北北西に曇と往け』は現在も連載中。ぜひこの機会に本誌も読んでみては。
会期は2025年2月24日(月・祝)まで。チケットなどの詳細は、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。