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神戸で抽象のなかに生命のエネルギーを描いた画家の個展『パウル・クレー展――創造をめぐる星座』開幕、音声ガイドは伊東健人

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『パウル・クレー展――創造をめぐる星座』

2025年3月29日(土)に兵庫県立美術館にて、10年ぶりの個展『パウル・クレー展――創造をめぐる星座』が開幕した。

パウル・クレー「ハマメットのモティーフについて」1914年 バーゼル美術館

スイス・ベルン生まれのパウル・クレー(1879-1940)は、人生の根源的な悲劇性と向き合いながら、線と色彩によって光を呼び起こし、抽象のなかに生命のエネルギーを描き出した画家。その独創的な画風から、生前より高い評価を受け、現在では20世紀前半に活躍した最も重要な美術家のひとりとみなされている。1920年には彼の作品を売り出した画廊の販売戦略として「この世では、私を理解することなど決してできない。なぜなら私は、死者たちだけでなく、未だ生まれざる者たちとも一緒に住んでいるのだから。」と言う言葉が用いられ、孤独に瞑想する芸術家としての彼のイメージが広められた。確かに作品は謎めいているが、同じ時代を生きたほかの多くの前衛芸術家たちと同様に、クレーもまた、仲間たちと刺激を与え合ったり、夢を共有したりしながら、困難な時代を生き抜いたひとりの人間だった。

パウル・クレー「蛾の踊り」1923年 愛知県美術館

兵庫県立美術館を含め国内3館を巡回する同展では、スイスのパウル・クレー・センターとの学術的な協力のもと、キュビスム、表現主義、ダダ、シュルレアリスムといったクレーと同時代の美術動向にも目を向ける。クレーと交流のあった芸術家の作品との比較や、当時の貴重な資料の参照を通じて、多くの人や情報が構成する星座=コンステレーションのなかでクレーを捉え直し、その生涯にわたる創造の軌跡をたどる。

音声ガイドのナビゲーターは、『【推しの子】』のゴロー役、『マイホームヒーロー』の間島恭一役なども務めた、声優の伊東健人が担当。作品鑑賞のポイントなど、展覧会の魅力が語られる。展示構成は下記の通り。

1章 詩と絵画

パウル・クレー「リリー」1905年 パウル・クレー・センター(リヴィア・クレー寄贈品)

クレーがミュンヘンのアカデミーに学び、帰郷後再度ミュンヘンにてカンディンスキーやフランツ・マルクら青騎士の芸術家たちと出会うまでを紹介する。

2章 色彩の発見

パウル・クレー「チュニスの赤い家と黄色い家」1914年 パウル・クレー・センター

1912年にパリを訪れたクレーは衝撃を受け、その後チュニジアを訪問、色彩に目覚める。ここではピカソ、ブラックらの作品も紹介。

3章 破壊と希望

パウル・クレー「紫と黄色の運命の響きと二つの球」1916年 宮城県美術館※4月27日まで展示

第一次世界大戦で青騎士の友人を失ったクレーは、戦争への批判的な態度を強め、自作の切断―再構成を実践する。ここでは戦争とクレーの関係性やダダの作家たちによるクレー評価を紹介する。

4章 シュルレアリスム

パウル・クレー「熱帯の花」1920年 パウル・クレー・センター

「シュルレアリスム宣言」で、クレーはその先駆者のひとりとされた。ここではクレーとシュルレアリスムの交流を展示する。

5章 バウハウス

パウル・クレー「北方のフローラのハーモニー」1927年 パウル・クレー・センター(リヴィア・クレー寄贈品)

1919年にクレーはバウハウスのマイスターとして招聘された。ここではクレーの造形論を紹介し、クレーにおける構成主義的な傾向の影響を検証する。

6章 新たな始まり

パウル・クレー「腰かける子ども」1933年 宇都宮美術館 ※4月29日から展示

ヒトラー政権樹立によりクレーは退廃的な「ユダヤ人」とみなされ、140点もの自作が「退廃芸術」として美術館から没収された。ここではクレー自身とその時代の危機的状況を紹介する。

『パウル・クレー展――創造をめぐる星座』は5月25日(日)まで、兵庫県立美術館にて開催。チケットはイープラスにて販売中。

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