男女、親子、友人、そして殺人鬼!? あなたは誰と入れ替わりたい? 入れ替わりをテーマにした映画5選
芳根京子と髙橋海人主演の映画『君の顔では泣けない』が2025年11月14日(金)より公開されます。君嶋彼方の同名デビュー小説を映画化した本作は、高校生の時にプールに落ちたことをきっかけに心と体が入れ替わってしまった男女が、そのまま15年もの歳月を過ごすという、“入れ替わりもの”に“15年も入れ替わったまま”という独自の設定を加えた話題作。“男女入れ替わり”の複雑な感情の機微を主演の二人がどのように演じるのかにも注目が集まります。
「もし明日、誰かと入れ替わったら?」この想像は、古くから人々を魅了し続けてきました。自分とは異なる立場、異なる性別、異なる年齢、そして時には異なる時代を生きる人物になったとしたら……。そこで今回は、様々なアプローチで“入れ替わり”を描いた5作品を紹介します。
他者の視点で世界を見てみれば
『転校生』(1982年)
監督:大林宣彦
出演:尾美としのり、小林聡美、佐藤允 ほか
【あらすじ】
広島県尾道市。一字違いの名前を持つ幼なじみ、斉藤一夫と斉藤一美は中学時代に再会します。ある日、二人は学校の石段で転げ落ちた瞬間、心と体が入れ替わってしまいます。突然、異性の体で生活することになった一夫と一美は、戸惑いながらも、このことを周囲に秘密にすることを決意。なんとか元に戻ろうと努力しますが……。
【おすすめポイント】
大林宣彦監督が故郷の尾道を舞台に描いた、日本の“入れ替わり”映画の金字塔です。本作は山中恒のジュブナイル小説「おれがあいつであいつがおれで」を映画化したもので、後に『時をかける少女』『さびしんぼう』と共に「尾道三部作」の第一弾として知られることになります。尾美としのりと小林聡美という、後に日本映画界を代表する俳優となる二人の初々しい演技も見どころです。
『フォーチュン・クッキー』(2003年)
監督:マーク・S・ウォーターズ
出演:ジェイミー・リー・カーティス、リンゼイ・ローハン、マーク・ハーモン ほか
【あらすじ】
精神科医のテスは、几帳面で完璧主義者。2日後に控えた再婚相手との結婚式の準備に追われています。一方、15歳の娘アンナは学校の問題児で、ロックバンドに夢中。母の口うるさい小言にうんざりしています。新しい父親とも打ち解けようとせず、母娘の関係は最悪の状態でした。ある晩、家族で訪れた中華料理店で、二人は大喧嘩を始めてしまいます。それを見かねた店主の母ミセス・ペイペイが、仲直りのおまじないとして「フォーチュン・クッキー(おみくじクッキー)」を差し出します。それを食べた二人が翌朝目覚めると、なんと心と体が入れ替わってしまい……。
【おすすめポイント】
1976年のジョディ・フォスター主演作『フリーキー・フライデー』のリメイク版として製作された、ハートウォーミングなファミリー・コメディです。ジェイミー・リー・カーティスとリンゼイ・ローハンという、世代の異なる二人の女優が、見事に「中身が入れ替わった」演技を披露しています。
『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』(2011年)
https://youtu.be/6gFfH4TGL-U?si=gxQHJpAbzf135UeR
監督:デヴィッド・ドブキン
出演:ライアン・レイノルズ、ジェイソン・ベイトマン、レスリー・マン ほか
【あらすじ】
デイヴ・ロックウッドは一流法律事務所で働くエリート弁護士。美人の妻と3人の子供に恵まれ、誰もが羨む人生を送っています。しかし実際には、仕事と家庭の責任に押しつぶされそうな毎日を送っていました。一方、幼馴染のミッチ・プランコは独身のイケメン俳優志望。女性には不自由していませんが、夢はなかなか叶わず、ぱっとしない日々を過ごしています。ある夜、スポーツバーで再会した二人は、酒を飲みながら互いの人生を羨み合います。「お前の人生と入れ替わりたい」何気なく口にしたその言葉が、翌朝現実になってしまい……。
【おすすめポイント】
『ハングオーバー!』の脚本コンビが手がけた、大人向けの入れ替わりコメディです。これまでの入れ替わり映画の多くが親子や男女間だったのに対し、本作は男性同士の入れ替わりという設定。ライアン・レイノルズとジェイソン・ベイトマンという個性的な二人の俳優が、互いの演技を真似し合う様子が見ものです。
『君の名は。』(2016年)
監督:新海誠
声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ ほか
【あらすじ】
千年ぶりとなる彗星の接近を1ヵ月後に控えた日本。山深い田舎町で暮らす女子高生の三葉は、古い因習に縛られた田舎暮らしに鬱屈としており、東京の都会生活に憧れを抱いていました。ある朝、三葉は夢の中で東京の男子高校生になっている自分に気づきます。一方、東京に住む男子高校生の瀧は、見知らぬ山奥の田舎町で女子高生として過ごす夢を見ます。最初は不思議な夢だと思っていた二人ですが、やがて自分たちが入れ替わっていることに気づき……。
【おすすめポイント】
新海誠監督が手がけた、日本アニメ史に残る大ヒット青春SFファンタジー。本作の特徴としては、単なる“入れ替わり”だけではなく、時空を超えた入れ替わりという設定を用いて、壮大なSFファンタジーとして昇華させた点にあります。美しい映像美も大きな魅力で、糸守町の田園風景、東京の都会の風景、そして夜空を彩る彗星の描写は、観る者を圧倒します。
『ザ・スイッチ』(2020年)
監督:クリストファー・ランドン
出演:ヴィンス・ヴォーン、キャスリン・ニュートン、ケイティ・フィナーラン ほか
【あらすじ】
冴えない女子高生のミリーは、ある夜、連続殺人鬼ブッチャーに襲われます。なんとか一命を取り留めますが、翌朝目覚めると自分が屈強な中年男性の体を持つ殺人鬼ブッチャーになっていることに気づきます。一方、ブッチャーは若い女子高生の体に入り込み、その姿を利用してさらなる殺人を重ねていき……。
【おすすめポイント】
『ハッピー・デス・デイ』のクリストファー・ランドン監督が手がけた、斬新な設定のホラー・コメディです。これまでの入れ替わり映画にはなかった「女子高生と殺人鬼の入れ替わり」という大胆な設定が、新鮮な驚きを与えてくれます。キャスリン・ニュートンとヴィンス・ヴォーンという、体格も年齢も全く異なる二人の俳優が、見事に「中身が入れ替わった」演技を披露しています
“入れ替わり”をテーマにしながらも、コメディからSFファンタジー、ホラーまで、様々なジャンルの5作品になったのではないでしょうか。男女の入れ替わり、親子の入れ替わり、友人同士の入れ替わり、そして殺人鬼との入れ替わり。「もし明日、誰かと入れ替わったら?」という、単純ながらも心をワクワクさせる想像はこれからも様々な作品を生み続けることになるでしょう。