福井・平泉寺白山神社で〝僧兵〟募集中 まさかの呼びかけに1.4万人興味津々「令和の世に?」「強訴!強訴!」
「な・なんと、令和の世に、僧兵募集だと?」 「やりたい笑」 「強訴!強訴!」
――そんな風に、にわかにX上を騒がせている〝募集〟がある。
2025年3月6日、福井県教育庁生涯学習・文化財課の公式Xアカウント「ふくい文化財かわらばん」(@bunkazaifukui)が投稿した、次のような告知だ。
「僧兵大募集!!」
赤く太い大きな文字が躍るチラシ。「33年に一度しかできない貴重な体験です」というコピーも添えられている。
中央には僧兵の装束を身にまとった屈強な髭面の男性がいて、まるで弁慶のようにも見える。横には、小柄な女性の僧兵が。
どうやら平泉寺白山神社の御開帳に合わせて実施されるイベント「僧兵行列」への参加僧兵を募るものらしい。
この呼びかけには1万4000件を超える「いいね」(3月7日時点)や冒頭のようなリプライが寄せられるなど、大きな盛り上がりを見せている。
「僧兵」という言葉に反応する人が、これほど多いとは......。今、なぜ僧兵がこれほど魅力なのか? どんな人から問い合わせが来ているのだろうか? Jタウンネット記者は、問い合わせ先として記載されている勝山市役所に取材してみた。
早くも申し込み殺到、女性多数!
Jタウンネットの取材に応じたのは、勝山市役所商工文化課の担当者だった。
「33年前の御開帳時の僧兵行列は、地元の住民だけが参加して行ったそうですが、今回は人数が集まらなかったので、一般の方にも参加していただこうと、募集告知のチラシを作るもとになりました」と、市役所担当者は語る。
チラシのモデルになったのは、勝山市の国際交流員であるイギリス人男性と、アメリカ人女性の二人。二人ともノリノリで、楽しく撮影に協力してくれたそうだ。
チラシの下の方には、恐竜の僧兵もいる。「チャマゴン」という、恐竜の町・勝山らしいキャラクターだ。
僧兵行列には「チャマゴン」も参加するのかと聞いてみたところ、「今のところ、未定です」。よく似合っているので、ぜひ現地でも見てみたいものだ。
福井県公式観光サイト「ふくいドットコム」によると、平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)は、仏教僧の泰澄により717年に開山されたと伝えられている。白山信仰の越前側の拠点として発展した。現在「白山神社」となっているのは、明治の神仏分離令により寺号を廃したからである。
鎌倉時代の初めには、源頼朝に追われた源義経主従が、奥州藤原氏のもとへ落ち延びる途中で平泉寺に立ち寄ったと「義経記」に記されているそうだ。義経・弁慶は山伏姿だったとされるが、僧兵装束の二人は、義経・弁慶を連想させるかもしれない。
また、中世の最盛期には48社・36堂・6000の坊院が建ち並び、8000人もの僧兵がいたという日本屈指の宗教勢力であったと考えられる。
さて、令和の話に戻って、5月24日の僧兵行列には、既に30人近い申し込みがあった、と勝山市・商工文化課の担当者。なかでも女性の数が多いという。「性別、国籍は問いません」という但し書きに惹かれた人が多いのかもしれない。
5月24日、僧兵になるのも良し、僧兵行列を見るのも良し。福井県勝山市に出かけてみてはいかが。
僧兵になりたい場合は、申し込み期限は3月31日。参加費は衣装代込みで1万1000円だ。